26/08/08 夏野菜すき焼きのススメ
昔の人って牛肉好きだよね~。
…というレベルで収まらないくらい、実家の祖母は牛肉が好きである。それも和牛。たっぷりとサシが入っているやつ。
90歳を超えた彼女は、今でもサーロインステーキを一人前完食できる。そして食後に洋菓子をモリモリ食う。
一方で、私自身はあまり牛肉が得意ではない。正確に言うと、牛肉は好きだが牛肉の脂が好きではない。他の肉に比べて融点が高いと聞く。おそらく自分はそれが消化できない。子どもの頃から、ちょっと食べすぎれば夜中には吐いていた。今もだが。
祖母が好きだからと、夕食にステーキが出れば、半分くらいはこっそり飼い犬にあげていた。犬の方もそれを覚え、夕食時にはそれとなくテーブルの下で私の両足の間にスタンバイするようになっていった。
母は忙しい人だったので、私が子どもの頃は祖母が夕食をつくってくれることが度々あった。祖母は料理が苦手だったからなのか、そしておそらく自身が牛肉が好きだからなのだろうが、多かったのはすき焼きである。
九州出身の祖母がつくるすき焼きは非常に甘かった。定番の具材はナスだ。甘く脂を吸ってテリテリになったナス。うどんは、シメではなく最初から入っていた。
シメはなぜかカレーだった。最後、少し具材が残っているところへ、ご飯とカレー粉を入れてちょっと炒める。肉のうまみと野菜のうまみと、そして塩分と脂を全て吸い込んだカレー。今思えば震えるほどにギルティである。
当時は何も疑問に思わなかったが、カロリー計算ができる大人になって振り返ると震えてしまう。アレを頻繁に平然と食し、それでも健康診断オールAなのがうちの家系だ。強すぎる。
私はすき焼きの味が好きだ。甘いナス。とろとろのネギ。ちょっと固くなっってそれもヨシな豆腐。だがしかしbut、牛の脂はご勘弁。そうして一人暮らしになってからは、なんとなく離れていたすき焼き。
そんな折、SNSで「トマトすき焼き」をしている人を見かけた。トマトとすき焼き。ない組み合わせ。斬新である。他の具材にはクレソンが入っていた。おしゃれすぎる。
トマトすき焼きやってみたいな~とぼんやり眺めながら、いや待て。たしかにすき焼きはもっと自由でいいよなと考えてみた。白菜とネギと白滝って、誰が決めたんだ。あと実家のすき焼きにナスが入っているのだって、そもそもこれも多数派ではないだろう。
でもナスが美味いんだから、あの甘じょっぱい味付けに合うものはもっとあるのではないか。
っていうかいっそ牛肉である必要もないのではないか。だった鶏すきとかもあるじゃんよ。
甘じょっぱい味付けに合う野菜。夏野菜はかなり合うのではないかと考える。ナスは言わずも。ゴーヤは黒糖で煮る調理法があるくらいだから絶対いける。焼きとうもろこしのイメージでいけば、とうもろこしも大丈夫。オクラの豚肉巻きで甘辛の味付けすることあるし、オクラも合いそうじゃないか。肉の脂とピーマン、行っとこう。なにより夏のピーマンは美味い。
肉巻きのアイデアを借りるなら、肉は絶対豚バラだ。
オーケー、ならば薬味をたくさん用意しよう。ミョウガ。大葉。バジル。すき焼きの甘辛味付けで、野菜と薬味を豚バラで包むようにして食べる。
美味いだろ。
絶対美味いだろ。
お盆の浮かれた雰囲気に押されて、近所のスーパーで野菜を大量に買い込む。合うかどうかは知らないが、パプリカやアスパラなんかも買う。そしてもちろんトマトも。トマトはさっと煮がいいだろう。
カルディで買ったワインはピノノワールで。

ジャっと最初に豚肉を焼いて、はちみつと酒と醤油を入れる。割下を入れない、関西スタイル。豚と野菜の味を活かしたいので、今回は出汁とか入れない方がいいと思いました。赤ワインにもそっちの方が合いそうだし。
さっと煮たズッキーニと大葉を、焼いた香りの残る豚バラで巻きながら食べる。生卵は気持ち程度にくぐらせる。なくてもよかったかも。はい、美味しい。はい、優勝。
ガンガンにエアコンで冷やした部屋の中で、私の腹の温度が上がる。一人暮らしとはこういうことですよ。実家の好きな味を引き継ぎながらも、自分が好きなもので固めるのだ。
ゴーヤ、美味い。ナス、当然美味い。
夏野菜でこれだけ美味しいんだから、春野菜とか秋野菜とかでもアレンジ考えられるなぁとうっすら思う。キノコもりもりとかもいいよなきっと。カボチャも合う。食べながらもう、次につくるもののことを考える。そうして当然合わせる酒のことも考える。
そろそろ日本酒はひやおろしの季節になるなと考えつつ、次の肉を入れる。
