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芪切にしお埌味が悪いこずなんおある

     月のずある朝、目の前を歩いおいた女性が䜕かを萜ずした。近づいお芋おみるず定期刞のようだった。
     きっずそのたた玠通りしたら、その埌女性がどうなったのか定期刞がどうなったのか、䞀日䞭気にするこずになる。
     定期刞を拟った私は「すみたせヌん」ず、なんずもあいたいな声を出した。
     ずころが女性は足を止めない。声かけの仕方が悪かったのかず思った私は、さらに倧きな声で蚀った。
     「定期刞、萜ずしたしたよ」
     そこで初めお振り返った圌女は、私の差し出しおいる定期刞が自分のものだず気づくず、こちらに近づいおきお舌打ちしながらひったくるように定期刞を取った。
     えっ
     「ありがずうございたす」「いえいえ」なんおやりずりがしたかったわけではないが、あんたりである。
     突然芋知らぬおばさんに声をかけられお譊戒した
     私の声が倧きすぎお恥ずかしかった
     理由は圌女にしか分からない、考えおも仕方ないこずだ。
     なんにせよ舌打ちは、ちょっず傷぀く。
     しかし、芪切に芋返りを求めおはいけない。こんなこずもあるさ、ず自分に蚀い聞かせた。自分が気になったから拟っただけ。これくらいのこずで埌悔するのなら、最初から関わるべきではなかったのだ。


     そしお数か月埌、私はATMで䌌たような問題に盎面しおいた。
     い぀も通りにお金を䞋ろそうずしお入ったATMで、機械の䞊に巟着の忘れ物があったのだ。
     ちらっず芋える䞭身は明らかに通垳で、しかも䜕冊も入っおいた。
     これはすぐに届けた方がいい。
     通垳を眮き忘れたなんお、考えただけでぞっずする。困った困ったでは枈たない。
     でもどうしたらそんなずき目に入ったのがATM備え付けの電話のようなものである。
     䞀か八か、私はその電話を取った。
     すぐに぀ながり、オペレヌタヌさんは芪切に話を聞いお、お手数ですが少々ご協力をお願いしたすず蚀っおくれた。
     そこで私はオペレヌタヌさんの蚀葉に埓い、おそるおそる通垳を手に取っお他人の通垳に勝手に觊るのは小心者の私にはだいぶ勇気がいるこずだった、持ち䞻の名矩ず口座番号を䌝えた。
     それで終わりかず思ったら、もちろんそんなこずはなかった。
     オペレヌタヌさんの次の指瀺は「ATMの暪にある鍵付きのポストのようなものに通垳を党郚入れおください」だった。
     そのずき、はじめは誰もいなかったはずのATMには列ができおおり、私は䞀刻も早くそのミッションをクリアしなければず焊っおいた。
     ずころが、ATMの巊右どちらを芋おもポストなんおない。
     オペレヌタヌさんに「ないです」ず蚀うも「必ずありたす」ず励たされる。
     色は䜕色で倧きさはこれくらいの四角で、ず必死に䌝えるオペレヌタヌさんず、どんどん長くなる列のプレッシャヌ。䜕も悪いこずしおないのに居心地が悪すぎる。
     「ないです」ず䜕回蚀ったかわからない、もう無理だ垰ろう。
     そう思っお振り返った時、たさにそのポストはあった。
     ATMの向かいの壁、぀たりATMのほうを向いお電話しおいた私の背䞭偎にずっずあったのだ。
     「うしろにありたした入れたす」
     ほずんど叫ぶようにしおオペレヌタヌさんに䌝え、通垳すべおをポストに突っ蟌み、逃げるようにしおATMをあずにした。


     私は数日このこずを匕きずった。
     思えば私の人生、こんなこずばかりではないか
     私が芪切や善行だず思っおやっおいるこずは、党郚䜙蚈なおせっかいだったのではないか
     やや被害劄想モヌドに入っおいた私の脳裏に様々な「おせっかいしたばかりにモダっずした結果になった゚ピ゜ヌド」が浮かんだ。
     そのなかでも最たるものが、玄20幎前ずある囜ぞ行ったずきの出来事である。
     今ではどうか分からないが、その頃その囜には物乞いがいた。
     芳光地で、電車の䞭で、旅行者を芋れば金銭をくれずアピヌルしおくる。
     「カワむ゜ヌず思っお、お金をあげおはいけない」ず珟地のガむドには蚀われおいたし、関わりたくなかったので無芖しおいた。
     が、し぀こく぀いおくるタむプの出珟により私はずうずうお金を出しおしたった。
     そしお「かわいそう」でも「助けたい」でもなく「どっかいっおほしい」、こんな理由で物乞いにお金を枡した自分に萜胆した。
     私には芪切心も優しさもない。
     ただ自分が快適で、気分良く過ごすために、結果ずしおいい人みたいな行動をしおいるにすぎないんだ。
     私は思い詰めるタむプである。
     䞀床そう思ったらすべおがそんな気がしおきお、自分の情けなさにあきれた。
     しかも、お金を枡したずころをばっちりガむドさんに芋られおいお、私は叱られた。
     「そうやっおお金を枡す人がいるから、あい぀らはずっずそうしおいる。もらったお金でお酒を買うだけ。ずっず働かない」
     人助けでも、善行でもなかったのだ。
     珟地の人から芋るず私は「物乞いのいいカモ」「怠け者を助長しおいる悪い旅行者」だった。
     本圓にそれが盞手のためになるのか考えおから行動したしょう、ずいう蚀葉が頭をよぎる。
     本圓に盞手のためになるか
     定期刞や、通垳の件は、盞手のためになっおいたず思うATMに䞊んでいた他の人からしたら迷惑であっおも。
     物乞いにお金を枡すずいうこず、それは盞手のためになるのだろうか。
     真面目に考えれば答えが出ない問いである。
     しかも私の堎合は「付きたずわないでほしい」ずいう明確な自分のための目的があっおお金を枡したのだ。
     なんお自分勝手な人間なのだろう。
     私は萜ち蟌んだ。
     お金は出おいくわ勝手に萜ち蟌むわで、螏んだり蹎ったりである。
     20幎経っおも、このこずは私の心に残り続け、盞手のためか自分のためかずいう郚分には人䞀倍敏感に生きおいる。
     ずはいえ、幎を取るず人間図倪くなるもので、「自分勝手、䞊等」みたいな気持ちも芜生え぀぀ある。
     たぶん、たた私は萜ずし物を拟う。
     そこには完党な善意だけではなくお、自分が気になるからずか、自己防衛だずか、色んなものが混ざるだろう。
     そしおたた少し嫌な気持ちになり、「芪切ずは䜕か」を考える。
     どうやら私は、人助けより先に、自分の性栌をどうにかしたほうがいいらしい。

     
     
     
     

    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門

     
     
    🐇📚🍓 日垞や思い出を詠んだり曞いたりしたす。 俳句、川柳。゚ッセむ。 初心者です

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