教えることが、育てることとは限らない
「わからないので、教えてください」
部下からそう言われたとき、どうしていますか?
先日のコーチング研修で、こんな質問をいただきました。
「知識や経験がまだ十分ではない部下から、『わからないので教えてください』と言われたとき、どのように関わればよいでしょうか?」
そこで、こんな問いを返しました。
「そのとき、『あなたはどう考えたの?』『今の時点では、どう判断している?』と聞いていますか?」
答えは、
「聞いていません」
でした。
もちろん、知識や経験が足りず、上司が教えた方がよい場面はあります。
安全に関わることや、知らなければ判断できない専門知識については、きちんと教える必要があります。
でも、「知らないことがある」と「何も考えられない」は、同じではありません。
正しい答えを知らなくても、今持っている情報から考えたり、仮の判断をしたりすることはできます。
答えを教える前に、「あなたはどう思う?」
たとえば、部下から相談を受けたとき。
すぐに答えを教える代わりに、
「あなたは、どう考えた?」
「今の時点では、どうするのがよいと思う?」
と聞いてみる。
もし、
「わかりません」
と言われたら、
「何がわかれば、判断できそう?」
「どんな情報が足りないと思う?」
と聞くこともできます。
こうした問いは、単に答えを引き出すためのものではありません。
自分で考え、判断する経験そのものをつくる問いです。
「まだできない人」として接すると、どうなるか
「まだ若いから判断できない」
「経験がないから、こちらが教えなければ」
そう考えるのは、ある意味では自然です。
そして、答えを教えた方が仕事も早く進みます。
でも、それを繰り返していると、
「わからなければ上司に聞けばいい」
「自分で判断するより、答えをもらった方がいい」
という学習が起きることがあります。
部下に主体性を求めながら、日々の関わりの中では、上司がすべて答えを出している。
そんな状態になってしまうこともあります。
上司の「人の見方」は、問いに表れる
同じ部下に対しても、
「まだできない人」として答えを与えるのか。
それとも、
「今の時点でも考えられる人」として、まず判断を聞いてみるのか。
この違いは、とても大きいと思います。
上司が部下をどんな存在として見ているかは、制度や方針だけでなく、日々どんな問いを投げかけているかにも表れます。
そして、その積み重ねが、部下の考え方や行動にも影響していきます。
明日から使える4つの問い
部下から「教えてください」と言われたとき、すぐに答えを伝える前に、こんな問いを一つ挟んでみてください。
「あなたは、どう考えている?」
「今の時点なら、どう判断する?」
「そう考えた理由は?」
「どんな情報があれば、もう少し判断できそう?」
全部を聞く必要はありません。
一つ聞くだけでも、「教えてもらう時間」が「自分で考える時間」に変わります。
もちろん、考えてもらったうえで必要な知識を教えることも大切です。
教えるか、質問するか。
どちらか一方ではなく、相手の成長のために使い分けていく。
教える前に、まず聞いてみる。
「あなたは、どう考える?」
そんな小さな問いかけの積み重ねが、自分で考え、判断できる人を育てていくのだと思います。
カーニバルライフでは、組織開発・人材開発の視点から、管理職育成やコーチング、質問を活用したマネジメントの支援を行っています。
