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インノウ

    カンナ

    昨夜、父96才のトイレから助けを求める声が聞こえてきた。
    見に行くと、便器や床が血だらけだ。
    何が起こった?
    血便?血尿?
    お尻を拭いても拭いても血がつく。
    腸から血が流れて続けている?

    違った。
    陰嚢だった。
    陰嚢の皮膚が、まるでみかんの皮を剥いたようにパックリと切れて穴が開き、直径2〜3センチのクレーター状になっている。
    その縁から血がジワジワと湧き出している。
    ナニコレ?
    ことの重大度がさっぱりわからない。
    これは縫うレベルの裂傷なのか?
    血が止まらないのが嫌だ。
    父は脳梗塞で、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる。
    きっとそのせいだ。
    救急に行くか悩む。
    近場の総合病院は、その症状だと担当医がいないからと断られた。
    地域の夜間診療所も、その症状は診られないと断られた。
    #7119で受信できる病院を訊いた。
    二件のうち一件は先に断られた総合病院で、もう一件は電話に出なかった。
    仕方がないので、何とか明日までやり過ごし、朝一でかかりつけの泌尿器科へ電話することにする。

    翌朝、血はほとんど滲まなくなっていてホッとした。
    泌尿器科に電話すると、午前中に診てもらえることになった。

    朝の服薬は、血液サラサラ薬をやめておいた。

    泌尿器科受診。
    どうしてこんなところの皮膚が切れてしまったのか、先生もびっくりしていた。
    下の皮膚が再生するのを待つしかない、ということで、絆創膏を貼って終わりだった。

    血液サラサラ薬は一週間くらいやめておきましょう、ということで、今朝の判断は合っていた。


    昨夜から今朝まで、電話口で症状を説明するのに、こんなに「陰嚢」を連呼したのは初めてだ。

    まったくいつ何が起こるかわからない。

    大事でなくてよかった……と、スマホから「陰嚢」の検索記録を消した。

    なんのはなしですか


     
     
     
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