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番外編:21  かもくの人

    勤務先で話す場面があると、声がデカいと言われがちだった。
    声に張りがあると言われたこともあった。

    いくつかある異名のうち、声にまつわるものは、
    「とどろき がおこ」だった。

    kimchiさんがしゃべると、2階、3階まで声が轟くよ、がぉ~ってね。
    ゆえに、「とどろき がおこ」

    イベントの進行をすると、マイクを通した声が聞きづらいから、声を小さくして話して、とのこと。
    ハウリングか?
    失礼な・・・
    地声が大きくて、機材に要調整ってことか?


    しかし、外部団体での司会進行時には、
    「耳障りのよい声、話すスピードは、わかりやすくてよかった」との声。

    どっちなんだい?

    ことほどさように、他人の評価は千差万別。

    ゆえに、TPOに合わせて、迷惑になっていなければいいさ、と思うようになった。


    TPOに合わせるのだから、おのずと勤務先では必要な時に必要なこと以外はしゃべらなくなっていった。

    うるさいと思われるのもいい気持ちはしない。
    そんなつもりはなくても出しゃばりだと思われても心外だ。
    自分を守ることを優先する。

    様子をうかがい、顔色をうかがい、余計なことは言うまい。
    ある意味、『寡黙かもくの人』を選択していたわけだ。


    コロナ禍の時にさかのぼろう。

    福利厚生施設にプールがある。
    そら豆のような形をしている。
    長い方が15mくらいのコンパクトなサイズ。

    本来なら、人数に関係なく、
    希望者全員が利用可能なのだが、
    当時は人数制限をして、
    週2回までで、一コマ4名までだった。

    私は、火曜日と木曜日に申し込んだ。
    『火・木かもくの人』をここでも選択したわけだ。


    『火・木かもくの人』の日は、
    しゃべった。

    BGMが流れている。
    ジャグジーはぼこぼこと音を立てている。
    バッシャーン、チャポチャポと水の音が響く。

    最大4名の社交場。

    しゃべりたいなら、轟かないと、会話が成立しない。
    ここでのTPOはメリハリのある声を出すこと。
    寡黙だと置いてけぼりをくらう。

    ちなみに、泳げないから、私はアクアウォーキング専門。


    週に1~2回の顔合わせ。

    「こんにちは」
    「お疲れ様」

    これらが号砲だ。

    コンパクトサイズのプールを何往復もしながら、会話が重なる。

    笑い話あり。
    ジョークあり。
    思い出話あり。
    エスプリ話も。
    様々な経験談。


    やがて。

    人となりが見えてくる。
    生き様が見えてくる。
    こだわりが見えてくる。
    得手不得手がみえてくる。

    輪郭がクリアになっていく。


    そして。

    それらは、双方向に生じていた。

    健康維持しつつ
    楽しみつつ
    知らず知らずのうちに
    刺激を受けて、気づきを得ていた。
    栄養分だったろう。


    その後。

    ある人は、
    海外行きを選択した。
    数年後、仕事しながら、
    現地で世界的スポーツイベントを盛り上げる文化活動に挙手して飛び込んだ。

    私は、
    現状に自ら終止符を打つ決意をして、
    うまくいくとも限らない未知なる世界に、
    おそるおそる足を踏み入れて挑戦することを選んだ。


    もちろん、アクアウォーキングの時間が決定打になっているとは思っていない。
    でも、one of them ではあるだろう。


    TPOは大事。
    だから寡黙はあり。

    語ることは
    その語りによって副産物が実る。

    いつ実るかも
    いつ取れるのかもわからないけど。

    結果的に私が果実をもぎ取れたのは、
    『寡黙かもくの人』 < 『火・木かもくの人』 だった。

    轟き 万歳\(^o^)/

    と、
    自分の声をたたえよう。




    再訪のみなさま、今回もお越しくださってありがとうございます。
    新たにお目にかかるみなさま、今後ともよろしくお願いいたします。

    お読みいただいた方へ

    番外編にようこそいらっしゃいました。
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    ありがとうございました。
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    kimchi 拝