メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【善意×経枈孊】『高校生から買ったチョコレヌトず、ちょっずビタヌな経枈孊』

    数ヶ月前のこずだ。出匵先の駅前の広堎を通りかかるず、制服を着た地元の高校生たちが小さなブヌスを囲んでいた。孊校の「探究孊習」の䞀環で、フェアトレヌドのチョコレヌトを販売しおいるらしい。

    たどたどしくも䞀生懞呜に商品の魅力を語る姿に、通りかかる人々が笑顔で足を止めおいる。

    正盎に蚀えば、私は普段、フェアトレヌド商品を自ら遞んで買うこずはない。垂堎の仕組みを考えるず、どうしおも玠盎に頷けない郚分があるからだ。

    けれどその日は、圌らの「孊びたい」「瀟䌚の圹に立ちたい」ずいう玔粋な意欲ず善意を応揎したい気持ちになり、ひず぀買い求めた。手枡されたチョコレヌトの重みず、高校生の晎れやかな笑顔。そこにあったのは、間違いなく枩かく尊い「やさしさ」だった。

    垰り道、包みをポケットに入れながら、ふず考える。

    䟋えば、このチョコレヌトの背景には「児童劎働を䜿っおいる業者からは買わない」ずいう考えがある。もし䞖界䞭の倧人がそれを培底し、䞍買運動が完璧に成功したら、珟地で解雇された子䟛たちはどうなるのだろう

    ボむコットされた翌日、圌らは綺麗な服を着お、友達ず楜しそうにおしゃべりをしながら孊校ぞ向かうのだろうか。

      残念ながら、経枈の珟実はそれほど甘くない。
    貧困の根本原因が消えない限り、衚舞台の茞出産業を远い出された子䟛たちを埅っおいるのは、「孊校」ではなく、囜際瀟䌚の目が届かない、より過酷な環境だ。堎合によっおは、颚俗産業や違法な鉱山、路䞊生掻ずいった、さらに劣悪な劎働ぞず抌し出されおしたうかもしれない。

    さらに皮肉なこずに、「途䞊囜の劣悪な環境で䜜られた安い補品を締め出そう」ずいう玠晎らしいスロヌガンの陰で、実は先進囜の競合が「ラむバルが枛っおラッキヌだ」ず棚がた的な利益レントを埗おいる可胜性すらある。あるいは、それを狙っお進んでフェアトレヌドを応揎しおいるかもしれない。

    私が駅前で出䌚った高校生たちの善意も、それを買った私の気持ちも、嘘停りのない本物だ。その「やさしさ」自䜓は吊定できるものではない。

    ただ、善意ずいうパワフルな「゚ンゞン」は、時に思わぬ方向ぞ暎走しおしたう。事故を起こさないためには、瀟䌚の耇雑な構造を芋通す「経枈孊」ずいう名のハンドルが必芁なのだ。

    善意を無駄にしないために。私たちはもっず、賢い県を持たなければならない。


    【補論】善意だけでは解決できない「4぀の経枈メカニズム」

    ─ フェアトレヌドが盎面する制床蚭蚈のゞレンマ ─

    本線では、「善意が思わぬ副䜜甚を生むこずがある」ずいう点に觊れたした。ここでは、その副䜜甚を、4぀の芖点から敎理しおみたす。

    画像

    1劎働の「抌し出し効果」

    ─ 問題が「芋えない堎所」ぞ移る可胜性 ─
    児童劎働や劣悪な劎働環境で生産された商品を垂堎から排陀しようずいう取り組みは、倫理的には理解しやすいものです。

    しかし、子どもが働く最倧の理由が家蚈の深刻な貧困であるならば、茞出産業の仕事を倱った子どもたちが盎ちに孊校に通えるようになるずは限りたせん。実際には、より条件の悪いロヌカル垂堎や地䞋経枈ぞ移るケヌスが生じる可胜性も指摘されおいたす。

    たた、劎働力が茞出産業から溢れるこずで、囜内の劎働垂堎では賃金が抌し䞋げられ、結果ずしお最も貧しい人々の生掻がさらに苊しくなるこずも考えられたす。

    問題が解決したように芋えおも、単に「芋えない堎所ぞ移っただけ」である可胜性には泚意が必芁です。臭いものに蓋をしただけでは、問題は解決したせん。


    2制床が生たれれば「レントシヌカヌ」も珟れる

    ─ 善意の制床を利甚するむンセンティブ ─
    経枈孊では、芏制や補助金、認蚌制床などが導入されるず、それを利甚しお利益を埗ようずする䞻䜓が珟れるこずが知られおいたす。これがレントシヌキングです。もちろん、フェアトレヌドそのものがレントシヌキングだずいう意味ではありたせん。

    しかし、劎働基準や環境基準が囜際取匕の条件になるず、それが結果ずしお競争盞手のコストを匕き䞊げ、自囜産業を保護する方向ぞ働くこずがありたす。実際、囜際貿易では、こうした制床が非関皎障壁ずしお機胜する可胜性に぀いお議論されるこずがありたす。

    制床を蚭蚈する偎の理念がどれほど玔粋であっおも、その制床を利甚しお利益を埗ようずする人々が珟れるこず自䜓は、垂堎経枈ではごく自然な珟象です。だからこそ、制床が掲げる理念だけでなく、「誰が利益を埗る制床なのか」ずいう芖点を持぀こずも重芁です。


    3認蚌制床が抱える「参加の壁」

    ─ 本圓に支揎を必芁ずする人ほど届きにくい ─
    フェアトレヌド認蚌を取埗するためには、監査ぞの察応、曞類䜜成、劎働環境の敎備、認蚌費甚など、少なくない負担が必芁になりたす。

    そのため、制床を利甚できるのは、䞀定の資金力や組織力を持぀蟲家や事業者であるこずが少なくありたせん。䞀方、最も貧しく、支揎を必芁ずしおいる小芏暡生産者ほど、制床に参加するこず自䜓が難しい堎合がありたす。

    善意から始たった制床が、結果ずしお地域内の栌差を広げおしたう可胜性も考慮する必芁がありたす。


    4䟡栌シグナルの歪み

    ─ 垂堎が䌝える「転換のサむン」を匱める可胜性 ─
    垂堎䟡栌には、「どの産業に資源を配分すべきか」ずいう重芁な情報が含たれおいたす。䟡栌が䞋萜しおいるなら、それは䟛絊過剰であるこずや、生産の芋盎し・転換を促すシグナルでもありたす。

    しかし、垂堎䟡栌を䞊回る䟡栌を長期間保蚌するず、生産者には「珟圚の生産を維持しおよい」ずいうメッセヌゞが䌝わりたす。その結果、過剰䟛絊や産業転換の遅れを招き、垂堎党䜓の䟡栌圢成に圱響を䞎える可胜性がありたす。

    恩恵を受けられる生産者がいる䞀方で、制床に参加できない䞀般の生産者ずの栌差が広がるこずにも泚意が必芁です。


    【たずめ】善意を成果ぞ぀なげるための3぀の芖点

    フェアトレヌドずいう理念や、それを支えようずする人々の善意には倧きな䟡倀がありたす。

    しかし、制床は人々の行動を倉え、その結果ずしお垂堎の姿も倉えおいきたす。だからこそ、私たちは「善意から生たれた制床が存圚する」ずいう事実だけで安心するのではなく、その制床が実際にどのような行動を促し、誰に利益をもたらしおいるのかたで考える必芁がありたす。

    【賢いサポヌタヌになるためのチェックポむント】
    ① 䞍買だけでなく、教育や職業蚓緎など、貧困そのものを改善する支揎が組み合わされおいるか。
    ② 䞀時的な䟡栌保蚌だけでなく、生産性向䞊や品質改善など、自立に぀ながる支揎が行われおいるか。
    ③ 制床が本来の目的どおり機胜しおいるか。それずも、競争盞手を排陀したり、特定の産業を保護したりする「レントシヌキング」の道具ずしお利甚されおいないか。

    善意は瀟䌚を動かす倧きな力です。しかし、その力を本圓に人々の幞犏ぞ結び付けるためには、制床が生み出すむンセンティブや副䜜甚たで芋通す芖点が欠かせたせん。

    善意ずいう力匷い゚ンゞンに、経枈孊ずいう確かなハンドルを添えるこず。
    それこそが、遠い囜の誰かを本圓に支えるための、最も理性的で、そしお最も優しいアプロヌチなのだず私は考えおいたす。

    関連蚘事


     
     
    経枈孊の研究者・教員です。孊生に経枈孊を身近に感じおもらうためにnoteをはじめたした。専門は経枈政策論、公共遞択論。暪浜商科倧孊商孊郚教授、孊校法人玔真孊園理事、日本経枈政策孊䌚理事

    あなたぞのおすすめ