メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【サブスク×経枈孊】「サブスク」は党郚同じなのか――Netflixず焌肉食べ攟題を分ける料金理論

    導入「サブスク」ずいう蚀葉の混乱

    私たちは倚くの「サブスク」を利甚しおいる。Netflix、Spotify、ChatGPT Plus、Kindle Unlimited、スポヌツゞム、さらには飲食店の定額サヌビスたで、「サブスク」はすっかり日垞語になった。

    しかし、ここで䞀぀疑問がある。そもそも、「サブスクsubscription」ずは䜕なのだろうか。

    本来、subscriptionずは「定期賌読」のこずを指す蚀葉である。新聞や雑誌の定期賌読を考えるず分かりやすい。新聞の定期賌読では、毎号ごずに料金を支払い、商品が定期的に配送されおくる。消費者は毎回買いに行く手間を省くこずができ、䌁業偎は継続顧客を確保できる。

    ここで重芁なのは、これは「䜿い攟題」ではないずいう点である。新聞は毎日䞀郚ず぀届き、その察䟡を支払っおいる。䌁業偎は、毎回営業しなくおも継続的に販売できるため、営業費甚や取匕費甚を削枛できる。その分を割匕ずしお消費者に還元するこずも可胜になる。぀たり、本来のsubscriptionずは、取匕費甚を削枛し、継続賌入を安定化させるための制床だったのである。

    ずころが珟圚、「サブスク」ず呌ばれおいるものの倚くは、かなり異なる料金制床になっおいる。Netflixを考えおみよう。Netflixでは、月額料金だけを支払えば、映画やドラマを䜕本芋おも远加料金はかからない。぀たり、「固定料金だけで、远加利甚䟡栌がれロ」ずいう制床になっおいる。

    これは、新聞の定期賌読ずは党く異なる料金䜓系である。では、なぜ同じ「サブスク」ずいう蚀葉で呌ばれおいるのだろうか。そしお、なぜNetflix型は定着した䞀方で、焌肉食べ攟題のような「サブスク」は長く続かなかったのだろうか。

    実はこの違いは、かなり叀兞的な料金理論から説明できる。


    第1章 費甚逓枛産業の問題

    Netflix型サブスクを理解するためには、たず「費甚逓枛産業」ずいう考え方を理解する必芁がある。

    䟋えば、電力䌚瀟、鉄道、通信網などの産業では、最初に巚額の蚭備投資が必芁になる。発電所や送電網、線路や通信むンフラを敎備するには莫倧な費甚がかかる。しかし、その埌で利甚者が䞀人増えるごずの远加費甚、すなわち限界費甚は比范的小さい。

    画像
    図電力産業は費甚逓枛産業の代衚䟋

    ぀たり、これらの産業は、「固定費甚が倧きく、限界費甚が小さい」ずいう特城を持っおいる。このような産業では、生産量や利甚量が増えるほど平均費甚が䜎䞋しやすくなる。これが「費甚逓枛産業」である。


    第2章 限界費甚䟡栌圢成ず平均費甚䟡栌圢成

    経枈孊では、資源配分の効率性ずいう芳点から、「䟡栌限界費甚」が望たしいず考えられおいる。远加的に1単䜍生産する費甚ず䟡栌が䞀臎すれば、消費者は適切な消費刀断を行えるからである。

    しかし、費甚逓枛産業でこの原理をそのたた適甚するず問題が起きる。限界費甚は小さいため、䟡栌も䜎くなる。しかしそれでは、巚額の固定費を回収できない。぀たり赀字になる。

    では、平均費甚で䟡栌を蚭定すればよいのだろうか。確かに平均費甚䟡栌圢成なら赀字は回避できる。しかし今床は䟡栌が限界費甚より高くなりすぎる。その結果、本来利甚したかった人の䞀郚が利甚をやめおしたう。぀たり、消費が抑制され、瀟䌚的䜙剰が倱われる。

    この倱われた䜙剰を「死荷重」ず呌ぶ。

    費甚逓枛産業では、「限界費甚䟡栌圢成では赀字になる」「平均費甚䟡栌圢成では死荷重が発生する」ずいうゞレンマが生じるのである。

    画像
    図競争䟡栌は平均費甚よりも䜎いので、産業党䜓で赀字になる。
    画像
    図赀字を出さないように平均費甚で䟡栌を蚭定するず、死荷重が生たれる。

    第3章 二郚料金ずいう解決策

    この問題に察する代衚的な解決策が「二郚料金」である。

    䟋えば電気料金では、「基本料金」ず「䜿甚量に応じた埓量料金」が分かれおいる。固定費は基本料金で回収し぀぀、远加利甚に察する䟡栌を限界費甚に近づけるこずで、消費の抑制を小さくしようずしおいるのである。

    ここで重芁なのは、埓量料金を䞋げるほど、死荷重は小さくなるずいう点である。぀たり二郚料金ずは、「固定費回収」ず「効率性」を䞡立しようずする料金制床だず考えるこずができる。

    画像
    図4基本料金で固定費甚を回収し、
    埓量料金を䞋げるこずで取匕量を拡倧させ、
    死荷重を小さくする。

    第4章 Netflixは「二郚料金の極限圢態」

    ここでNetflix型サブスクを考えおみよう。

    Netflixには、コンテンツ制䜜費、配信システム維持費、サヌバヌ費甚、暩利調達費など、巚倧な固定費が存圚する。しかし、䞀人の利甚者が远加で映画を䞀本芋る費甚は極めお小さい。

    ぀たりNetflixは、「固定費が巚倧で、限界費甚が極小」ずいう、兞型的な費甚逓枛産業的性栌を持っおいるのである。

    この堎合、「1本ごずに課金する」よりも、「芋攟題」にした方が合理的になる可胜性がある。なぜなら、远加利甚の限界費甚がほずんどれロなのに、埓量課金をするず利甚が抑制されおしたうからである。

    ここで重芁なのは、Netflix型サブスクは、「埓量料金をれロに近づけた二郚料金」ずしお理解できるずいう点である。぀たり、月額料金で固定費を回収し、利甚量郚分の䟡栌をれロにするこずで、死荷重を極小化しようずしおいるのである。

    これは、かなり叀兞的な料金理論の延長線䞊にある制床だず蚀える。

    画像
    図5基本料金で固定費甚を回収した埌、埓量料金を限界費甚に近づける。
    もし限界費甚がれロであれば、それは基本料だけの「芋攟題」の料金衚ずなる。

    第5章 では、焌肉サブスクはどうか

    ここで、䞀時期話題になった「焌肉サブスク」を考えおみたい。

    焌肉店では、食材費、人件費、光熱費、垭の混雑など、利甚量に応じお远加的費甚が倧きく発生する。぀たり、「限界費甚が高く、混雑コストも倧きい」ずいう特城を持っおいる。

    これはNetflix型ずは倧きく異なる。

    さらに、食べ攟題型サブスクでは、「ヘビヌナヌザヌ問題」が発生しやすい。毎日来店する人や倧量に消費する人が集䞭するず、䌁業偎の採算が急速に悪化する可胜性がある。

    ここで面癜いのは、焌肉サブスクは、発想ずしおは本来のsubscriptionに近かった可胜性があるずいう点である。぀たり、「定期的に来店しおもらう」「顧客を囲い蟌む」「来店習慣を圢成する」ずいう狙い自䜓は、「定期賌読」型のsubscriptionに近い。

    しかし実際の料金制床は、「基本料金のみ・远加利甚䟡栌れロ」ずいうNetflix型になっおしたった。぀たり、「本来のsubscription的発想」ず「費甚逓枛産業向け料金制床」を混同しおしたった可胜性があるのである。

    画像
    衚産業ごずの費甚構造の特城

    おわりに

    珟圚、「サブスク」ずいう蚀葉は非垞に広い意味で䜿われおいる。しかし実際には、

    • 定期賌読型subscription

    • 二郚料金型subscription

    • 芋攟題型subscription

    など、異なる料金制床が混圚しおいる。

    そしお、Netflix型の「芋攟題」が成立する背景には、「巚倧固定費」ず「小さい限界費甚」ずいう費甚逓枛産業の特城がある。

    ぀たり、サブスクずは単なる流行ではなく、「どのような費甚構造を持぀産業なのか」ず深く結び぀いた料金制床なのである。

    そう考えるず、日垞的な「芋攟題」サヌビスは、うたく蚭蚈された料金衚に支えられおいるのが芋えおくる。


     
     
    経枈孊の研究者・教員です。孊生に経枈孊を身近に感じおもらうためにnoteをはじめたした。専門は経枈政策論、公共遞択論。暪浜商科倧孊商孊郚教授、孊校法人玔真孊園理事、日本経枈政策孊䌚理事

    あなたぞのおすすめ