
書評 岩波明著『医者も親も気づかない 女子の発達障害』青春出版社
沖田×華さん(漫画家)と著者の対談が最高です。
感覚過敏のため、「私は旦那が履かなくなったユルユルヨレヨレのパンツを履き続けている」などのぶっ飛んだ発言オンパレードの沖田さんに対し、若干引き気味、適度にツッコミを入れ、それでも優しくあたたかく、落ち着いてインタビューを続ける著者。
そのバランスの良さが素晴らしいです。
スクールカウンセラーとして「このようにクライエントの話を聞けたらなあ」と憧れます。
沖田さんも気持ち良さそうにしゃべっています。
ほかのADHDの方との対談でも、辛い話はたくさんあるのですが、「鞄に何も入れないで登校したり」「飲み会に行くにも、絵の具のついた服しかなくて」「キャンプで一生懸命靴ひもを結び、集合時間を忘れた」「父を亡くした友人のお通夜で『落ち着いたら、ごはん行こうね』と言った」など、随所にユーモラスなエピソードが光ります。
当事者も家族も支援者も、こういった特性を一緒に笑い飛ばせたら強いですね。
また、当事者へのアドバイスとして、「上司に反論しないように注意しましょう。特に、人前ではっきりと反論したら『アウト』です」というものがあります。
なぜなら、上司に恥をかかせると後々まで恨まれるから。
ソーシャルスキルトレーニングは理由も含めて、これくらい具体的に行う必要がありますね。
いい時代になってきました。
私がスクールカウンセラーを始めた約20年前は、社会全体の発達障害に対する偏見が今よりも強く、保護者に疑いを伝える時は、もっとビクビクしていました。
今はだいぶ理解が進み、保護者、教員、そして本人も「まあ、そういうこともあるよね」と受け止められる時代になりました。
もちろん今でも偏見などの問題は山積していて、難しいことも多いのですが、このような著書がたくさん出版されるのは良いことです。
そして近い未来、これらが常識となり、発達障害の著書を出版する必要がない時代が来ることを願っています。