
本当はひとりが好きなんだ
これはひとりが好き。そう堂々と胸を張ってまだ言えない私のために書いている。
あなたは結婚していて子供がいる主婦で可愛い保護猫2匹と暮らしている。自分が好きなことで稼げる仕事を持っている。仲間がいる。あなたが持っているものはあなたがどんなに頑張っても夢みてもひとりでは得られなかったもの。あなたは人とのご縁に感謝している。
例えば長毛種のノルウェージャンフォレストキャットを保護猫で迎えるなんて。それは誰かの夢なんだよ。あなたはよくそのことを知っている。
あなたは美大も芸大もでていない。芸術の仕事をしている。
あなたは2種類の仕事を持っている。ふたつともサービス業だ。
個人事業主のアートの仕事。雇用される仕事。ほかにもあるのだろうか。主婦も母親もあなたの大半を占めている。
あなたは職場で笹の葉に吊るされた七夕の短冊の片付けをする。利用者さんの文字をあなたははじめてしっかりと見た。"電車に乗ってお出かけがしたい""お母さんとビールを飲みたい"“沖縄へ行きたい“3つの短冊に沖縄へ行くことを願う文字をあなたは見つけた。知的障害の方の文字はいびつでしっかりとしている。
あなたはこの間仕事で沖縄へ行った。離島でのアートの仕事をしに行った。海を渡るアートセッションの仕事はあなたの夢だった。2年目でそれが叶った。伊江島にあなたは呼ばれた。石垣島、山梨、神奈川、千葉、東京、伊江島からお客さんが来てくれた。
あなたはアル中で短気でタバコを吸う人と子供と暮らしている。あなたは甘えん坊の長毛種とさび猫と暮らしている。あなたには自分の部屋がない。あなただけの息がつけるスペースをあなたは持っていない。
あなたは、一日中、同じ場所で多くの人と関わる先生のような仕事をしている。あなたには子供の学費が必要だ。子供の矯正や免許代。あなたの夫は金銭的に頼れない。子供の司法試験合格まではしっかり働こう。あなたはそう決めている。あなたは決めたらやる人だ。
あなたは職場でだいたい27人くらいの人と1日を共にする。あなたは優しい雰囲気と言われるから人にくっつかれる。あなたは嫌じゃない。かわいいと思う。懐いてくれるのを嬉しいと思う。
更衣室では女性たちと会話し質問に答える。休憩時間にも質問に答える。17時になるとあなたは着替えてその場所から門を開けて出る。17時でまだ太陽は高く暑く眩しい。行きたい場所も帰りたい場所もないけれど夕飯の買い物を考え必要なものの買い出しを考え駅へ向かう。目と鼻の先に違うコンビニがある道に人が所々にたむろしている。歩きタバコを平気でする人がいる。淡々と駅へ向かう。
駅から家までのバス停には人が並んでいる。今日は座りたかったから1本見送ってからバスへ乗った。20分の乗車時間にあなたはよく寝過ごしてしまう。ぐっすりと寝てしまう。バスに座ると目の前に人の姿は見えない。あなたは雨の日のバスに揺られながらガラス越しに大通りを眺めるのが好き。
最寄りのバス停に着いた。あなたはスーパーへ向かう。子供が疲れているかなと好きそうなものを考える。あなたは何も買わずにスーパーを出る。
あなたは公園へ向かう。風に吹かれて蚊に群がられて、絵画教室のことを考える。アートの仕事のことを考える。立ち上がり家へ向かう。

KOBITO FUKAMI
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日々禊。アートは本氣の自分自身との戯れ。濁りも澱みもある地球で本来の人が持つ魂の美しさを五感を使い目に見える形で開花させていくことをお手伝いすることが喜びです。
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