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創作エッセイ「まっすぐじゃなくても」

    「傾いてるよ。」

    娘にそう言われて、ガジュマルを見た。

    確かに傾いている。

    小さなガジュマルを育てている。
    はじめは花言葉が気に入ってスパティフィラムを選んだ。
    ところが、コバエが発生してしまい、あえなく挫折。
    その代わりにやってきたのがガジュマルだった。

    この子は土ではなく、炭を原料にしたチャコボールで育てている。
    土と違ってコバエの心配はほとんどないが、よほど根を張らないと安定感がない。少し触れただけでも動いてしまう。

    だから、気になるけれど、できるだけ触らないようにしていた。それがよかったのか、ガジュマルは少しずつ大きくなった。ところが、いつの間にか片方に傾いていたのである。

    もともと気になっていたので調べてみると、どうやら日光の当たる方向が関係しているらしい。まっすぐ育てるには、鉢の向きを変えたり、支柱を立てたりして矯正する方法もあるという。

    鉢の位置はときどき変えている。
    それでも、この子は同じ方向へ伸びていく。
    きっと、その向きが好きなのだろう。

    まっすぐ育つのがいいというのは、人間の勝手な思い込みかもしれない。

    少しくらい傾いていてもいい。
    好きな方向へ伸びていけばいい。

    傾いたガジュマルを見ながら、私は鉢を回さず、そのままにしておいた。


    #創作大賞2026 #エッセイ部門 #観葉植物 #ガジュマル

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