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今日の一福

    うつしみ屋

    2024/03/04


     個包装がいい。
     表は金色だとなお良し。黄金の延べ棒をつまむ気分だ。

     ちなみにセロファンはいけない。映えばかり気にしすぎるのはおよしなさい。
     中身が透けるなんざとんだ興ざめ。裏切り行為よ。ペカペカと、光さえはね返すくらいのお高い調子で居てほしい。
     これぞファン心理。わきまえねばならない。

     よって紙もダメだ。
     めくるときの音がペラい。やすい。単一でときめかない。手触りもそのへんのメモ用紙と大差なく、ここで日常に引き戻される。
     テンションだだ下がり。サービスがなってない。

     そんなこんなで銀色のアルミだ。
     あのカシャカシャとはじける音がやたらたのしい。ネオンのようだ。そんな魔法だ。お祭りだ。期待値はぐんと跳ね上がる。ただよう香まで色づく始末。
     それをごく密やかに、薄っすらと、そしてピッタリとその身にまとっていただければ生唾もの。しかし慌てるな。まだだ。肝心なのはその最奥。ほんのひと口のお楽しみが息をひそめて待っているのだから。
     それはそれは甘く、滅法昏い。
     天にも昇る気分と同時、地獄の沼底へ真っ逆さまよ。

     いやつまり。
     何でもない、チョコレートのこと。
     あの化け物級のカワイ子ちゃんとティータイムをご一緒して幸せだった。それが忘れられずに、寝る前にもうひと粒。
     ああいけません。たまりませんなと。
     この罪悪感の絶頂どうよ。
     そんな救えないひとり言。

     

     
     
     
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