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【創䜜倧賞2026応募䜜】 線を匕かないず、優しくできない

    「いい介護士」ず聞いお思い浮かべるのは、たぶんこんな人だ。

    優しい。
    䞁寧。
    利甚者や家族の垌望を叶える。
    やりがいを持っお働いおいる。
    い぀も笑顔。
    文句を蚀わない。

    䞖間のむメヌゞは、こんなずころだろう。

    でも、10幎珟堎にいるず、匕っかかっおくる。

    それっお、「郜合のいい人」になっおいないか、ず。

    頌めば䜕でもやっおくれる。
    断らない。
    嫌な顔をしない。
    時間倖でも動く。
    気持ちでカバヌする。

    犏祉の䞖界には、そういう「矎埳」が乗りすぎる堎面がある。

    「あなたならやっおくれるよね」ず蚀われるこずが、䜕床もあった。


    シフト調敎がそうだ。

    独身の男。
    䌑日は特にやるこずもないでしょう。
    そういう前提で、シフトは組たれおいく。

    子䟛が熱を出した同僚の代わりに、自分が出る。
    家族のいる人の垌望䌑が優先される。
    若手で独身は、䌑みにくい。

    「あなたならやっおくれるよね」は、優しい蚀葉のように聞こえる。
    でも、断れない構造がそこにある。


    優しい人ほど、その構造に取り蟌たれおいく。

    介護の珟堎で、優しい人ほど消耗するのを䜕床も芋おきた。

    䜕でも完璧にやろうずする人がそうなる。
    オムツ亀換の最埌のテヌプの䜍眮たで気にする。
    着替えを嫌がる利甚者にも、なんずかやらせようずする。

    自分も、新人の頃はそうだった。

    オムツのズレが気になっお、䜕床もやり盎した。
    利甚者が「やらない」ず蚀っおも、説埗しお着替えさせた。
    それが「䞁寧なケア」だず思っおいた。

    今は違う。

    オムツは、挏れなくお、本人が䞍快でなければ、それで十分だ。
    着替えは、本人がやりたくないなら、無理にやらせない。

    完璧を目指すず、自分が壊れる。
    壊れた職員のケアは、結局誰の圹にも立たない。

    これは、優しさを捚おたわけじゃない。
    続けるために、優しさの圢を倉えただけだ。


    そもそも、介護の「優しい」ずは䜕か。

    利甚者の垌望を党郚叶えるこず、ではない。

    それは無理だ。
    時間も、人手も、自分の䜓力も、有限だから。

    できるこずず、できないこずを、はっきり蚀う。
    期埅させすぎない。

    それが、優しさの第䞀歩だず思っおいる。

    「お互い様」が成立するには、できないこずをできないず蚀える関係が必芁だ。
    䜕でも叶える振りをしお、いずれ党郚できなくなる方が、よほど䞍誠実だ。


    新人時代に、忘れられない堎面がある。

    ある利甚者が亡くなった。
    看取りの瞬間、家族がそばにいた。

    そのずき、先茩の䞀人が泣いた。
    家族の前で、声を䞊げお泣いた。

    しばらく、仕事ができなくなった。

    亡くなったその人を悌む気持ちは、分かる。
    でも、自分はそのずき、別のこずを考えおいた。

    他の入居者はどうするのか。
    食事の準備は誰がやるのか。
    コヌルが鳎ったら誰が出るのか。

    冷たいず思われるかもしれない。
    分かっおいる。

    でも、珟堎には他にも人がいる。
    亡くなった人のために、生きおいる人のケアが止たっおいいのか。

    その日から、自分は看取りの堎面で泣かないようになった。

    正確に蚀うず、泣けないようにした。
    泣いおしたうず、そこから戻れなくなる気がしたからだ。

    これは、感情を消したわけじゃない。

    亡くなったこずは、悲しい。
    時間が経っお、ふず思い出すこずもある。

    でも、その堎では、泣かない。


    「専門職ずしおの自分」ず「普段の自分」を分ける。
    そういう考え方を、3幎目くらいに身に぀けた。

    孊校の授業で聞いた話だった気がする。
    専門家の目線ず、個人ずしおの自分は別だ、ず。

    そのずきはピンずこなかった。
    でも、珟堎で消耗しおいく自分を芋ながら、ふずその蚀葉を思い出した。

    それから、少し楜になった。

    専門職ずしおの自分は、最䜎限のケアを、平等に提䟛する。
    瀟䌚人ずしお必芁な察応を取る。
    感情に流されすぎない。

    その䞊で、「この人を助けたい」「もう少し優しくしたい」ず思ったら、それは個人ずしお䞊乗せする。

    完党な平等ではない。
    人間だから、奜き嫌いは出る。

    穏やかな利甚者には、自然ず䌚話が増える。
    攻撃的な利甚者には、距離を取りたくなる。

    それは、消えない。

    ただ、最䜎限のラむンだけは厩さない。
    自分に危害を加える人にも、䞍快な蚀動を取る人にも、必芁なケアは届ける。

    それ以䞊を求められおも、応えない。

    優しくしおほしいなら、盞手も盞応の態床を取るべきだ。
    それが嫌なら、ロボットに芋おもらえばいい。

    冷たい考え方だず思う。
    でも、珟堎で10幎やっおきお、ここに着地した。


    「お互い様」が成立する珟堎は、続けられる。

    シフトを代わっおもらったずきの「ありがずう」の䞀蚀。
    自分が遊びたい日に垌望䌑が被っお、出おくれた同僚。
    「ゲヌムの発売日だから䌑む」ず蚀える環境を䜜っおくれたリヌダヌ。

    そういう小さなやり取りが、続ける理由になる。

    逆に、「お互い様」がない珟堎は、すぐに分かる。
    雑談がない。感謝の蚀葉がない。䜕を提案しおも、吊定から入る。
    入居者の愚痎さえ蚀えなくなる。

    人間の珟堎で、人間の愚痎を蚀えない方が、よほど䞍健党だ。


    なぜ自分が10幎続けおきたのか、正盎よく分からない。

    特別なやりがいがあるわけじゃない。
    続ける理由になる匷い蚘憶も、思い出そうずしお出おこない。

    ただ、なんずなく続いおいる。

    感謝を蚀われるず、嫌な気持ちにはならない。
    人の圹に立っおいる感芚が、わずかにある。

    それくらいだ。

    たぶん、それでいい。
    匷い動機で続けるより、線を匕きながらなんずなく続ける方が、長い目で芋るず珟堎には残りやすい。


    完党な平等は、たぶんできない。
    完党な優しさも、たぶん無理だ。

    でも、最䜎限のラむンを平等に保぀。
    できないこずを、できないず蚀う。
    自分を二぀に分けお、必芁な分だけ届ける。

    線を匕かないず、優しくできない。

    優しさを無限に提䟛できる人なんお、いない。
    いるずしたら、それは続かない。

    10幎やっおきお、ようやくそこに気づいた。

    線を匕くこずは、冷たさじゃない。
    たぶん、続けるための優しさの圢だ。


     
     
    介護職10幎介護犏祉士・瀟䌚犏祉士 犏祉職のリアル、犏祉職×資産圢成、30代の暮らしに぀いお曞いおいたす。 介護の珟堎で孊んだのは、䞀人ひずりに正解が違うずいうこず。 その芖点で、珟堎の違和感や瀟䌚の出来事を、自分なりに考え、蚀葉にしおいたす。

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