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Photo bylisa500ml

さびしくならないサラダを探して<第十一話>

    お昼休みはあれから山根君と取っていなかった。おはようもおつかれもいうし。相変わらずミブナをふたりでちぎってるし。バイクで妹さんは迎えに来ているけれど、渋谷さんおつかれーみたいな陽気な山根君は最近影を潜めている。

     物産展の特設ブースで<べジルド>が出店することになって助っ人で駆り出されていた。わたしは任務を終えてもとのデパ地下へと帰ろうとしていた途中で館内放送が<雨に唄えば>に変わったことに気づいた。

     外は雨が降ってきたことに気づいた。店内にいる従業員にそっとわかる暗号みたいな曲が<雨に唄えば>だった。

     現場に戻ったらまずアパートの紙袋の表側にビニールをセッティングすることを始めなければいけない。単品買いの人が多いサラダショップではそんなに重宝されることはなかった。
     でもまれにグラタンを買い占めてゆくようなおばさんがいたり、ほかの買い物の品を入れたいからと、そのビニール袋入りの紙袋をちょうだいっていうお客さまもいるから、ちゃんと用意しておかなければいけなかった。
     こういうことはまだまだわたしやバイトの山根君の仕事だ。
     今年はなぜか5月のほうが雨が多くて、はやめに梅雨がきているような気配だった。
     
     隣のキムチ専門店の<清彩館>の売り子さんたちは、本場の韓国生まれの人達だった。お客さんが途絶えた時、あめふってきましゅたねとかわいいニュアンスでおにぎり屋さんの<米蔵>のお兄さんたちに話しかける。彼女たちの言葉が音楽のように響いてくるせいか彼らは嬉しそうだ。ほんとだね。かさ、かさ持ってきた? って横から話に加わって来た<米蔵>のチーフの雲田さんが傘をパッと開くジェスチャーをしながら、向かい同士で会話している。彼女達はその姿が一生懸命すぎて滑稽だったのか、チマチョゴリの光沢のある胸元をゆらしながら、口元に手をやってふたりして顔をみあわせて笑っていた。
     
     シマ子さんと目が合う。会釈をしたら、ブースから出てきてしおちゃん元気? 元気そうでよかったって声を掛けにきてくれた。彼女の元気はどんな人にも影響力があって、ほんとうにすごいなって思う。おかげさまでって答える時、ほんとうに元気の妙薬を嗅いだような気持ちになる。そんな天性の明るさが時折、羨ましい。
     
     雨が降るとなぜか<ベジルド>では<まるごとポテト>に人気が集まった。
     どちらかというとサラダよりも揚げ物全般が売れてゆく。その心理はわたしにはわからないけれど。
     カウンターのオブジェは硝子の細長い瓶の中にドライハーブが重なっていて、その間にパンプキンシードが山吹色に彩色されたものがところどころに入っている。ひとつの瓶の中に身を寄せ合っているハーブや種を見ていると、人間の縮図のようにもみえるし。もっとじぶんに照らし合わせてみたらこのデパ地下のようにも思えてくる。色とりどりの色彩はいろいろな人たちの行き交う雑踏にも似ているから。

     「働いて誰かを幸せにしていますか?」そんなCМを夜中見ていて立ち止まっていた。わたしが働くことで誰かを幸せにできているのか?
     あの日四葉さんに勧められたこの仕事はほんとうに渡りに船だったし、感謝している。その動機をわたしは活かしているのか。そのことが不安でならなかった。

     黒木チーフのミッションが頭をもたげながらも。誰かを幸せにするってそれは不遜だなって一方で思う。だけどどこかでだれかがそう思っていたら、嫌な気はしない。なるべく接客に関してはじぶんの気分を職場に持ち込まないことを最近覚え始めたばかりだ。かなしみもちいさないかりも、屋上の風に紛れさせてしまえたら。

     ふいにそんなことを山根君といつか話したいとも思ったりする。

     翌日の朝礼で悲しいお知らせがあった。朝礼の時いつもよりメンバーが少ないなって思っていたら、<湘菜市場>の面々がごそっといなかった。

    不穏な予感がほんとうは少ししていた。あの時のシマ子さんの明るさがとても透きとおりすぎていて、ちょっといつもとは違う明るさだったのだ。その予感は店長の言葉で確信に変わった。

    「今までお客さまの皆様にご愛顧して頂いていた<湘菜市場>さんが昨日限りで店舗を閉めることになりました。次に入って頂く野菜コーナーは、京野菜の老舗さんが入ってくださいます。京丸さんです」。

     社長の文言はまるで、素人参加番組のМCのようだった。それではどうぞの合図で歌い出すみたいに軽すぎたような気がしてならなかった。

    「突然のことでしたので、今日から野菜をワゴン販売しますが、もしお客様に野菜コーナーはどこですか? などと聞かれた時はやさしく丁寧に笑顔でお答えくださいね。「ほほえみはあなたの財産」ですからね。」

     そういうことかって思った。数字がとれなければ、お店まるごといなくなってしまうのだ。今日のこの朝礼のことを誰かと思いっきりディスりたかった。ちょっと気持ちがささくれだっていた。
     
     少し客足は遠のいていたって聞いていたけど。どこもそんな感じだったので、正直そんなに気にしていなかった。コーナーをリニューアルするんだって、フロア長とも話し合ってくださいって言ってるからってシマ子さんは嬉しそうに報告してくれていたのに。偽善だな。撤退することしってリニューアルの話もちかけるなんて。世間だな。

    <天神屋デパート>は売り場の新陳代謝が激しい。わりかし老舗であるとか、支店の多さも関係ない。東京で稼ぎ頭であってもここのデパ地下で数字がとれないと、ある日突然いなくなるなんてことはほんとうはざらだった。ここにバイトに来るようになって、そのことが身に沁みていた。

     シマ子さんがあわててトマトやキュウリを開店前のわたしの口につっこんで、この味を忘れないでねって言っていたあの言葉がリフレインされていた。あの時のトマトのほどよい酸味ときゅうりの苦みがそっと舌の中に蘇りそうだった。その日から数日後。
    <べジルド>でわたしは一段階上のハードなシフトを強いられた。物産展には必ず助っ人で入ってほしいと言われた。物産展の忙しさはデパ地下とは比にならない。時間が秒刻みでやってくる。

    可哀想にねって<大山豆腐>のしげさんが、お喋りと共になんどもサラダを買いに来てくれたり。豚カツ専門店の<カツ庵>のちまこさんに千切りのキャベツをわけてもらい、時折フラ専門店の<バリージャ>のいつもハイビスカスを耳元あたりにつけているお姉さん方とも仲良くなって貝があしらわれたブレスレットをプレゼントしてくれた。

    そんなシーズンの後、<べジルド>に新しい女の子が入ってきた。わたしは彼女の顔を見て、この人のことを知っているとなぜか思った。数秒後「あっ」と声が漏れそうだった。

     まずあの日の屋上が浮かんだ。<グリーンサム>の四葉さんに名前を呼ばれて、ちぎった紙をセロテープでつなぎとめていた時のことを。 
     そして目の端に入った大好きなパン屋さんの<ジョナサン>のパンを苦しそうに食べていたあの子が目の前にいた。

     名前は木村由弓。由弓はわたしに会釈した後、山根君にも頭を下げていた。

     少し遅れてお昼休みを取ろうと思って、山根君を誘おうと思ったら彼女が声をかけてきた。

     あのご一緒してもいいですか?
     彼女はあの日と同じ<ジョナサン>の赤い袋を持っていた。

     ほんとうは彼女のお昼の時間はもっと前だったはずなので、まだ食べてなかったの?って驚いて聞いたら、はいとうなづいた。
     黒木チーフが今空いてるから行ってきていいよっておっしゃったので、もしよかったらご一緒していいですか?

     山根君もわたしたちのそばにやってきて。天井を指しながら行く?っていうジェスチャーをした。
     彼女がわからないと思って屋上のことねってわたしが説明したら、はいと大きな健やかな返事が返ってきた。

     屋上は相変わらず、明るくて空が近かった。
     深呼吸したくなる。
    <グリーンサム>の店内をさっと見渡したけど四葉さんはいないみたいだった。
     舞台になったステージの前の席は空いていたけれど、山根君とわたしはそこからはずれた場所のベンチに座った。

     彼がグリーンと白のチェックの包みを開ける。ふたを開けると卵焼きの黄色が目に飛び込んできた。

     わぁ、お弁当なんですね山根さん。すっごく美味しそう。
     由弓ちゃんはいつかこの屋上でみせていた表情とはちがって快活だった。
     もともと明るい子なのかもしれないとわたしは思った。
     
     ああこれ。家族が作ってくれたから。俺じゃないんだ。
     鶏のつくねやきんぴらごぼうが、発芽玄米とも相性がよさそうなそのお弁当を見ながら山根君は答えていた。

     彼が妹じゃなくて「家族」って言い換えていたことは多少気になっていた。

     そうは言うものの彼女、由弓はなかなか食べ始めなかった。
     ん? どした? 飲み物忘れた?
     山根君がお箸を置いて、気遣う。

     ちがうんです。だいじょうぶです。
     彼女は手の甲をみせてこっちの言葉をやんわりと制するような仕草をした。

     「ちがうんです、だいじょうぶです」ってなんなんだと耳の中でわたしは再生する。その赤い<ジョナサン>の袋には誰も知らない空気にさえ触れさせてはいけない生き物が入っているかのような手つきでもって、サンドイッチを取り出していた。

     まるで生物研究室での出来事のようだった。

     由弓は呼吸を整えてる。アスリートが試合前にする儀式のような深い呼吸だった。山根君もわたしも箸の手を止めて彼女を見守っていた。

     風が吹いてくる。少し湿った潮をふくんだ風だった。ため息ひとつつくと由弓は意を決したようにサンドイッチを包んでいたラップのつなぎめを丁寧にはずす。

     まるで儀式のように。
     視線はうつろで不安げだった。

     お、うまそうじゃん<ジョナサン>じゃん。あそこのカレーパン絶品だよね。揚げてない焼きカレーパンなんだけど。中のカレールウがまったりしていて、スパイシーで絶品なの。

     山根君が不自然に盛り上げる。
     女子に気を遣い慣れてないことを露呈しているなって感じたけど、かえってその努力が健気で、山根君ほんとうにいいやつってわたしは心の中で繰り返す。

     山根君が盛り上げたにも関わらず由弓はじっとフリーズしている。

     やっと由弓ちゃんがパンを指でちぎって口に入れる。一口入れるたびにやるせない表情をする。これは只ことではないとわたしは思う。こんなに苦しそうに物をたべる人をこんなまじかで見たことはなかった。

     でもそれ以上何も言うことはできなくて山根君もわたしもじぶんのお弁当に集中した。由弓には視線は送らないでいようとふたり無言で決めたみたいにそれから一切彼女の方をみなかった。

     わたしが爽健美茶に手を伸ばした時、由弓が話し始めた。
     屋上ではしゃいでる子供連れの声にかき消されそうに彼女の声がもやもやと風にのまれていった。

     ん?
     山根君がつなぐ。
     ゆっくりと由弓が口を開く。

     あの、なんか重たい想いにさせてしまってすみません。わたしだめなんですあの、とっても。
     なにが?
     今度はわたしが繋ぐ。

     だから、あのぉ。食べるのが。
     下を向いたまま、何か重要な話をふたりに手渡そうとしているのがわかった。泣きそうな横顔をみて罪悪感にも苛まされた。山根君もまいったなって顔をしていた。ちらっとわたしをみる。無言で困ったねってサインを送り合った。と、思ったら山根君が踏み出した。

     ぜんぜん、すみませんとかじゃないんだけどね。なんか抱えてる?
     バイトのこと? 黒木チーフのこと? なんか言えそうなら言って。

     山根君がいつにもまして積極的でわたしは驚いていた。
     由弓は、ほんのすこし顔をあげるとちょっとだけ空を仰いで山根君を見た。

     笑われるかもしれないけれど。
     そんなの人の悩みを笑わないぼくら、そこまでちゃれてないから。

     山根君のぼくらの「ら」がわたしはちょっと嬉しかった。ちゃれてないって。まあ、そうだけど。

     絶対笑いませんか?
     ぜったいって言われるとわかんないけど。わらわないと思うよ、たぶん。
     息をまっすぐ吐きだすと由弓は言った。

     山根さんは、食べるのが好きですか? 幸せな気持ちになりますか?

     わたしはその好きというちいさなテーマから幸せ論に飛躍した時、由弓の抱えているものの大きさを感じていた。

     嫌いかって言ったら嫌いじゃないよ。食べるの好きだよ。そうじゃないと今のバ先を選ばなかったと思うよ。デリカショップだもんね。

     いいですね。そういうの。うらやましいです。
     由弓は遠い目をして言った。わたしは不謹慎にも由弓のひざ元にあるその<ジョナサン>のサンドイッチが食べられることなくそこにあることが可愛そうでたまらなくて。目にするのもはばかられていた。

     わたしがデリカショップの<ベジルド>を選んだのは克服するためだったんです。
     その時わたしは少しだけ昔のじぶんを見る気がしていた。山根君はきょとんとしていた。ふたりでたぶん由弓のことを穴が開くほどみつめてしまったかもしれない。

     おふたりとも顔が近いです。恥ずかしいですと言われて、互い違いにごめんって言いながら山根君もわたしも我に返りすこし顔を引いた。

     食べるのが大の苦手になりました。ほんとうは義理の父と食事し始めてからなんです。

     これはかなり重たい話だと感じていたけど、こういうことって世の中にたくさんある。みんなが食べることを幸せにかんじているんじゃないってことへの想像力は明け渡していないとわたしは自負があった。

     山根君が思いのほか由弓のその声に耳を傾けようとしていることがわかった。

     あ、すみません。わたしの話ばかりで。おふたりともお食事してください。

     でもわたしもそんな似た時があったとは言えなかった。軽々に言えなかった。ただ由弓の痛みが少しでも和らぐことを願っていた。
     
     今日のわたしはコンビニのパンしか選べなかったのだけど。大好きな濃厚ミルクフランスのフランスパンにかじりついた。彼女の悩みを聞きながら、濃厚ミルクフランス食べたことはいつまでも覚えていたいと思っていた。

     それで?山根君が話を促す。

     義理の父はわたしが算数ができないことを悔やんでいて、いつも食事の時に怒鳴るんです。算数できないと一生泣くぞって、くいっぱぐれるぞって。毎日毎日テーブルの食事が冷えるまで怒鳴られていたせいかもしれない。わたしが算数ができないのが悪いんですけど。ほんとうにわたし算数できなかったから。

     わたしもできなかったよって輪唱のようにレスポンスしようと思ったけど。きっと否定するだろうから黙っていた。こういう時にわたしは親身になってあげられない。心の中では叫んでるのに。こういうとこやぞって透の声が聞こえてきそうだった。

     腹が立つよね。山根君が言葉を放つ。
     山根君の方がよっぽどやさしい。

     それは由弓に言っているようでどこか宙に放ったような言葉でもあった。確かにじぶんのことを責め続けてる由弓を見ていたらその義理の父親に腹が立つ。

     しかし、算数と食べることがこんなにも悲しい化学反応を起こすなんて。未知の領域に近い話に耳を傾けていた。濃厚ミルクフランスのミルクの甘さが今日はすこし物足りなく感じていた。

     由弓がありがとうございますとちいさく声にする。山根君が言った腹が立つよねの言葉に対してのようだった。

     それから会食とかぜったい無理になってしまって。それがあると思うだけでストレスになって。お医者さんに行ったんです。そしたらちゃんと病名がありました。拒食症でもなかったんです。

     山根君もわたしもおもむろに顔を見合わせた。病名? その食べられないってことに病名があるの?拒食症とかじゃなくて?彼がくらいつく。

     はい。会食恐怖症です。笑っちゃいますよね。わたしその病名を心療内科で聞いた時笑いました。

     いや。わらいごとではない。わたしも山根君もたぶん生まれてはじめてじゃないかっていうぐらいの表情をその時していたに違いない。

     わたしも一度そんなことに陥ったことがあった。学食でご飯が食べられなくて。透はコンクリート壁のちょっとこじゃれた隠れ家のようなカフェに誘ってくれた。

     あの時ナンパされたわたしは飯行こうよって言われた時無理ですって答えた。なんでお腹減ってない?いいえ。人前で食べられないんです。お茶とか液体なら大丈夫そうで。そういうとそしたらお茶にしようって、歩み寄ってくれた。人前で食べられるまで透がいつもそばに居てくれた。

     その想い出を由弓に話してもよかったのだけどわたしのエゴでまだ大事にしておきたかった。

     社会不安障害のひとつなんです。

     しゃかいふあんしょうがい。ふたりで少しだけ他意はないのにはもってしまった。

     あの頃わたしは病院に通うこともしないでひたすら透に治してもらった。
    治るといっていいのかわからないけれど。食べることが怖くなるまで一緒にいてくれたことを思い出していた。そしてとても会いたくなっていた。

     給食とかおふたりは食べられました?

     心なしか由弓が饒舌になっていた。たぶん話すことで楽になりたいんだと思う。話すは放す離すやからなって言っていた透の言葉を思い出す。

     給食はいつもパンをね、引き出しに入れてたよわたしがほんとうのことを言ってみた。
     わあ、おんなじです。おんなじなのに渋谷さんはそんなにおいしそうに食べられるのいいな。

     墓穴を掘ってしまった。
     
     義理の父親にどの面下げて食ってるんだって罵倒されてから、食べることが悪だと思うようになったんです。なにかを誰かと食べることが恐ろしくなりました。

     でも、わたし以前ここでおふたりをおみかけしたことがあって。とても楽しそうにランチされてました。その時思ったんです、あのおふたりとならわたしもまたご飯が食べれるようになるかもしれないって。でもだめでしたね。

     なんか申し訳ないぐらいの気持ちにわたしもなっていたら、山根君が言葉を投げかけた。

     木村さんの痛みをどれぐらい俺が感じられるのかほんとうに自信ないけど。でもさ、気休めに聞こえるかもしれないけど。焦らなくていいよ。会食なんてさ、もしだよ。一生できなくても生きていけるよ。それより、ひとりなら食べられるっていう、食べることがひとりなら平気になれたらいいんじゃないかな。僕は心療内科の先生じゃないからまちがってるかもしれないけど。

     由弓が首をすくめてちょっと涙目でありがとうって言った。

     山根君がお弁当をバンダナで包んでるともしよかったらまたお昼ごいっしょしてもくださいますか?って由弓が二人の眼をみて言ってきた。

     もちろんだよ。
     わたしは黙って頷くしかできなかった。

     山根君が今日はとても頼もしかった。

     だいじょぶ、だいじょぶ。
     そんなのお安い御用、同じ休み時間の時はそっちからも誘ってきてよ。

     <ジョナサン>のサンドイッチはゆびでちぎられたままぐちゃぐちゃになったまま由弓の膝の上に半分以上残っていた。
     わたしは<ジョナサン>に心の中で合掌を送りたい気持ちだった。


     
     
     
    ダ・ヴィンチ誌でエッセイ連載後、歌集『ゼロ・ゼロ・ゼロ』刊行。note公式コンテスト#推したい会社 創作大賞2023、2024恋愛小説部門中間通過、ベストレビュアー賞受賞。クリネックス涙腺短歌佳作受賞。短歌アンソロジー『星のうた』(左右社)寄稿。

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