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第91話湯けむりの䞭の哲孊

    第91話湯けむりの䞭の哲孊


     いいながめ台から車で坂を降りおすぐ。俺たちは、山あいに䜇む『遊湯ぎっぷ』に到着した。


    「わぁ、立掟な建物 早く入りたい」

    「さ぀き、そんなに急がないの。  でも、確かに楜しみだね」


     はやる気持ちを抑えきれない二人の姿に、俺は自然ず口元が緩む。
     受付で人数分の貞しタオルセットを受け取り、二人に手枡した。


    「はい、これ。忘れ物しないようにね。ゆっくり入っおおいで」


     俺が声をかけるず、二人は嬉しそうに頷いお゚ントランスの奥ぞ向かった。


     光明石の湯か  。
     倧济堎、庭園颚呂、寝颚呂、ゞャグゞヌ。

     高い倩井に氎音が響く倧济堎に浞かるず、党身の力が抜けおいくようだった。


    「  ふぅヌヌヌヌ  」


     光明石の成分が、酷䜿した腕にじわりず熱を届けおくれる。
     隣で目を閉じおいた雅人先生が、静かに切り出した。


    「竜胆。お前、音倧は考えおないのか」

    「  正盎、考えたこずはありたす。でも、頑匵るだけが取り柄の自分が、音だけで食っおいけるずは思えなくお」

    「そういうや぀だからこそ、䌝えられるこずもあるんだぞ」


     雅人先生は目を開け、湯気で霞む倩井を芋䞊げた。


    「孊校の先生になれば、吹奏楜郚を持っお、生埒ず䞀緒に䞀から音を䜜るこずだっおできるんだ。うたくいかない奎の気持ちがわかるお前なら、倱敗したあずの『その先』に付き合えるだろ」


     先生の蚀葉が、お湯のように心に染みた。

     比垃の空の䞋で䞭孊生たちが芋せおくれた笑顔。あの光景の続きを、い぀か自分で䜜れるかもしれない。


    「  自分にも、そんな資栌があるんでしょうか」

    「資栌なんお、これから䜜ればいい。タクトを振るお前の姿、なかなか悪くない景色だず思わないか」


     先生はそう蚀っお、俺の肩を力匷く叩いた。


       が。そんな感動的な䜙韻は、脱衣所に戻った瞬間に吹き飛んだ。


    「  えっ。雅人先生、ブリヌフ掟なんですか 掟手掟手蚀っおたのに  」


     あたりの衝撃に、぀い蚀葉が挏れた。
     あんなにカッコよく将来を語っおいた人が、あたりに堂々ずした「癜ブリヌフ」姿だったからだ。


    「なんだその目は この支えずフィット感が、俺に安心感ず自信をくれるんだよ」

    「自分はトランクスの自由こそが、責任感に繋がるかず思っおたしたけど」


     雅人先生の熱意に、俺も情熱で答えたのだった。


     ロビヌで合流したハルちゃんずさっちゃんは、頬を林檎のように赀くしおいた。


    「  䜕、二人ずも。そのやり遂げたような顔は」

    「いや、ちょっずな。男同士のこだわりに぀いお話しおたんだ。それよりも倕食にしよう。ここのご飯は旚いんだぞ。今日は俺の奢りだ、気にするな」


     雅人先生が意気揚々ず案内しおくれたのは、斜蚭内にあるお食事凊だった。
     広い䌑憩所には、開攟的なテヌブル垭ず、足を䌞ばしおく぀ろげる広々ずしたお座敷が広がっおいる。


    「やったヌ   わぁ、矎味しそうなものがいっぱい 葵、楓、芋お ザンギがあるよ、ザンギ」

    「本圓だ、お店の䞀抌しみたいだね。  私は、地元の人に人気っおいう醀油ラヌメンにしおみようかな」


     葵も少し䞊気した頬で、楜しそうにメニュヌを遞んでいる。
     結局、俺たちはザンギにラヌメン、そしお山盛りの癜飯を囲むこずになった。


     運ばれおきたのは、ツダツダに茝く炊き立おのご飯。
     比垃で䞹粟蟌めお育おられた『なな぀がし』だ。


    「比垃っお『ゆめぎりか』が有名だけど、ここは『なな぀がし』なんだね」


     さっちゃんがふず気づいたように呟くず、雅人先生が「わかっおるじゃないか」ずニダリず笑った。


    「ゆめぎりかはそれだけで完成された䞻圹だが、定食やラヌメンには、この『なな぀がし』のさっぱりした甘みが䞀番合うんだよ。おかずを匕き立おる、最高のパヌトナヌんだ」

    「なるほど  。䞻圹を支えるための、あえおの遞択っおこずか。なんだか、吹奏楜の䌎奏みたいだね」


     俺がそう蚀うず、ハルちゃんが「楓、いいこず蚀うね」ず小さく笑った。


     濃いめの味付けでゞュヌシヌなザンギ。
     銙ばしい湯気が立ち䞊る醀油ラヌメン。
     それらを受け止める、地元産の癜飯。

     湯䞊がりの空腹に、これ以䞊の莅沢はなかった。


     矎味しい食事を囲めば、話題は自然ず今日の挔奏のこずに。

     プロず音を重ね、自信を぀けた二人の瞳は、倜の窓に映る灯りよりも眩しく茝いおいた。


    「  今日は本圓に、いい䞀日だったな」


     俺が小さく呟くず、雅人先生が満足げに頷いた。


    「ああ。竜胆、さっきの話、忘れるなよ。お前が振るタクトの先にどんな景色が広がるか、俺は楜しみにしおるからな」


     先生の蚀葉ず、お腹から満たされおいく枩かな幞犏感。

     比垃の颚に乗っお、俺たちの倏は、確かな䞀歩を刻み始めおいた。

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    ■ 著者あずがき  創䜜倧賞2026に寄せお
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    最埌たでお読みいただき、本圓にありがずうございたした
    䜜者の歊埳䞞ぶずくたるです。

    本日7月8日をもちたしお、本䜜『小説の䞻人公になれない理由は、異䞖界転生でもなく、原付で走る14kmの田んが道にある。』の「創䜜倧賞2026」ぞの挑戊、そしお比垃町コラボ線の䞀連のストヌリヌは、ひずたずここで矎しい区切りを迎えるこずずなりたした。

    䜜䞭に登堎した「比垃町ぎっぷちょう」の玠晎らしい景色や名産品、そしお「君の倢プロゞェクト」をはじめずする枩かい取り組みは、すべお実圚するものです。

    この特別線を執筆するにあたり、比垃町の村䞭町長には倚倧なるご理解ずご協力をいただき、公匏なコラボレヌションずいう圢で倧奜きな北海道の魅力を物語に組み蟌むこずができたした。この堎を借りお、村䞭町長、そしお比垃町の皆様に心より深く感謝申し䞊げたす。

    本䜜は、どこにでもある普通の、けれど誰よりもたっすぐで熱い「郚掻の仲間たち」の青春を描いたコメディヌです。プロの音に觊れ、比垃の枩かい懐に抱かれお、䞍噚甚ながらも確かな䞀歩を螏み出した楓たちの物語は、ここで終わりではありたせん。圌らの青春のタクトは、これからもただただ続いおいきたす。

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    これたで応揎しおくださった読者の皆様、本圓にありがずうございたした。皆様のPVや応揎のコメントが、毎日執筆する䞊での最高の゚ネルギヌでした。

    もし少しでも「面癜いな」「北海道や比垃町に行っおみたいな」ず感じおいただけたしたら、感想などで最埌の䞀抌しを応揎しおいただけたすず幞いです

    たた次の景色でお䌚いしたしょう

    2026幎7月8日 歊埳䞞

    【今埌の曎新に぀いおのお知らせ】
    今埌も本䜜はnoteでの連茉を続けおたいりたす
    たずは手元にあるストック分を定期的に投皿しおいき、珟圚「小説家になろう」で連茉䞭のペヌスに远い぀いた段階で、なろうの公匏連茉週2回曎新ず完党に連動したスケゞュヌルで最新話をお届けしおいく予定です。

    楓たちの青春の続きを、ぜひこれからも䞀緒に芋守っおいただけるず嬉しいです


    #小説家になろう
    #北海道
    #創䜜倧賞2026
    #゚ンタメ原䜜郚門
    #青春
    #コメディ

     
     
    【実瞟】 ・第1回ブシロヌドワヌクス小説倧賞 䞀次通過 ・第7回HJ小説倧賞前期 䞀次通過 ・なろう文芞ゞャンル日間1䜍 ・比垃町長公認コラボ䜜家 ・Xé–‹èš­5ヶ月でフォロワヌ2000名超 広すぎる北海道の空の䞋、懐かしく枩かな青春小説を執筆䞭物語を通じお北海道の魅力を発信䞭

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