
暴走族
↑前回の続きです。
カンタ#8
夜中の高速道路下を、甲高い音をあげて走るバイク…原付。
半ヘルを被り、小さい体が、小さい原付にしがみつき、闇を切り裂いている、つもりのカンタ。
「もうちょっとスピードだせるな。」
片側4車線の道路、夜中の人通り、車の通りも少ない。
今日は少しだけ騒がしいが、思い切って走りに来て良かったと思っていた。
信号が変わり、Uターンしてまた直線を走り出す。
風になる、のでは無い。風が当たるから。痛いくらいに。
薄目、上目で正面を睨みまた走り出す。
後ろの方から騒がしさが近づいてくるのがわかる。
「暴走族だ。」
数十台ありそうな、バイクがけたたましい音をあげて、こちらに近づいてくる。
自分が1人、そしてバイクという事を、一瞬で思い出す。
暴走族はエンジンをフカし、蛇行しながらこちらに近づく。
「やば。」
一気に走り出す、スピードに乗れば乗るほど、上がるマフラーのボリューム。なるべくひっそり、速く走り去りたいのに。
上がるスピード。
集中。
更に上げるスピード。
風にはなれないが、風みたいに速く。
「速い。」
過去1番のスピード。視界がいろんなものを置いていく。
「赤だ。」
目の前の信号で止まる。
近づく騒音。
「あ。」
「おい、坊主、こんな夜中にやになってんのよ。」
バイク2台ヤンキー4体が他の連中に手で合図を送り、先に行かせる。
固まるカンタ。
「……」
「聞こえない?」
「あ…バイクの練習してました。」
カンタのバイクを薄く笑いながら見る。
「お。」
「Nチビじゃん。しかもすげえカスタム。」
何かを察するカンタ。
「そうなんです、知り合いがバイク好きで、色々改造して」
「うるせーよ。」
「はい。」
「タバコある?」
ポケットからグチャグチャのタバコをだし、そのまま渡す。
「1本でいいわ。」
震える手でつまみ出し、それをそのままヤンキーが咥える。
そして、顎で合図。
百円ライターの火に、手を添えて差し出す。
少し斜めに傾けた顔を火に近づけるヤンキー。
「……。」
「お前、ここら辺に夜は来るな。」
「他の奴ならタバコじゃ済まねえ。」
バネ人形みたいに首を振るカンタ。
「はい、はい!」
「気ぃつけてかえれ。」
けたたましい音と、カンタを後にするバイク2台とヤンキー4体。
「え、かっこいい。」