
I Am A DJ(DJの主張)
8月23日(火曜日)晴
BUSKING
エンジェル駅
16:00~18:00
BGM
『Rock D.J.』 by ロビー・ウィリアムス
バスキングの最中に「ロンドンでDJをやっているナントカ」と名乗る日本人の若者から声をかけられた。自分のデモCDを聴いてもらいたいとのこと。それは興味深いと、ありがたく1枚頂戴した。
家に帰ってさっそく聴いてみると、曲はすべてダンス系なのだが、楽曲、アレンジ、各楽器の音色、最終的なミックスバランス、どれも完璧だ。これにはびっくりした。まったく隙が無く、このままCDショップの店頭に並んでいてもおかしくない。
僕は興奮して、すぐに彼に電話を入れた。
「デモCD聴いたよ! キミ、すごいね! 僕の知り合いにダンス系のレーベルで働いている人がいるから紹介するよ。あれなら、すぐに契約できるよ!」
彼は答えた。「えっ、でもあのデモCDは、ほかのレコードから集めた曲なんだけど…」
僕ははじめ、彼の言っている意味がよくわからなかった。
結局、彼がデモCDと呼んでいた代物は、すでに発売されているプロのアーティストの楽曲を集めだけだったのだ。僕はてっきり自分が作曲した楽曲を自分で演奏、録音したものだと思っていた。
「中学生の男女交際じゃあるまいし、自分の好きな曲集めて渡すなよっ!」などと言うのは大人げない。僕は気持ちを鎮めて会話を続けた。
「でも、それだと自分の個性や主張ってものが相手に伝わりにくいんじゃないかなあ?」
彼は、ムッとして答えた。
「なに言ってんですかっ! DJは選曲で主張しているんですよっ!」
僕はキレそうになった。
ぬぅあんだとぉ〜!、そんなものを「主張」とぬかすなら、チャリングクロス駅でヘロヘロの音程で『ドナドナ』を、ショボい笛で長年吹き続けている、今にも死にそうなジイさんバスカーの方がよっぽど主張してらぁ〜い!
こんなことを言っても、わかってくれそうもない。僕は「ウーン」と唸ったっきり黙ってしまった。
本日の稼ぎ 15ポンド