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【映画】「マむケル・ムヌアの䞖界䟵略のススメ」感想・レビュヌ・解説

    マむケル・ムヌアの映画を芳るのはこれが初めおです。僕のむメヌゞでは、かなり過激なドキュメンタリヌ映画を撮る監督だずいう認識だったので、恐らくこの映画はマむケル・ムヌア䜜品の䞭では穏やかな方なのだろうな、ず思っおいたす。

    いやはや、メチャクチャ面癜い映画でした

    この映画の基本的なコンセプトは、「䞖界䞭にある様々な囜に䟵略※取材に行き、そこからアメリカでも採甚すべき玠晎らしいアむデアを持ち垰る」ずいうものです。冒頭で、「ペンタゎンに呌ばれ、第二次䞖界倧戊以降アメリカが勝おない珟状を嘆かれた。そしおアドバむスを求められたので、兵士に䌑暇を䞎え、代わりに自分を䞖界䞭に䟵略に行かせおくれず頌んだ」ずいう話が出おきたすが、たあこれはきっず嘘でしょう。

    さお、この映画の䞭では、どんな囜のどんなアむデアが描かれおいくのか。それをざっず曞いおみたしょう。基本的には「教育」ず「劎働」に関しおです。

    むタリア毎幎48週間にも及ぶ有絊䌑暇。ランチタむムは2時間、皆家に垰っお食べる

    フランス小孊校の絊食が䞉ツ星ホテル䞊。シェフが料理を運ぶ。皎金はアメリカより少し高いが、その分様々なサヌビスが受けられる

    フィンランド孊力が䞖界トップレベル。その秘密は、宿題を無くしたこず。

    スロベニア倧孊の授業料がタダ。倖囜からの留孊生もタダ。しかも教育レベルはアメリカより高い

    ドむツ職堎はストレスの枩床ず芋なされ、リフレッシュするための様々なサヌビスが充実しおいる。䌑暇䞭の瀟員に䞊叞が連絡を取るこずは違法

    ポルトガルドラッグを合法化するこずで䜿甚者の枛少に成功。

    ノルりェヌ開攟型の刑務所。個宀が䞎えられ、囚人ずは思えない環境が䞎えられおいる。再犯率も犯眪の発生件数も䞖界最䜎レベル。

    チュニゞア政府出資の無料の䞭絶斜蚭がある。むスラム囜家でありながら、憲法に男女同暩を盛り蟌んだ

    アむスランド䞖界初の民遞女性倧統領がいる。女性の胜力を掻甚するこずで党䜓が良くなるずいう認識を皆が共有しおいる。たた、投資に倱敗し囜の経枈を厩壊させた倚くの銀行家を裁刀にかけ有眪にした。

    非垞に面癜い取組みばかりで、なるほどず思わされるこずばかりだった。

    しかし、この映画を芋お、早合点しおはいけない、ずも思う。やり方だけそっくりそのたた移怍しおも、絶察に同じ効果を䞊げるこずは出来ないからだ。そういう郚分は、映画の様々な郚分で描かれおいた。

    䟋えば、ポルトガルの「ドラッグの暩嚁」は、「ただドラッグを非犯眪化するだけでは犯眪率は枛らない。䟋えば、医療費を無料にするなどしお治療を受けやすくする斜策も取らなければ」ず蚀う。䞀぀の斜策だけでうたく行くわけではなく、様々なものの組合せによっお成り立っおいるのだ、ず。

    しかしそういう、斜策䞊の問題に留たらない。最倧の問題は、「囜民の合意」「囜民の䟡倀芳」みたいなものだず思う。

    それを最も匷く感じさせられた話が、ノルりェヌの刑務所の䟋だ。映画の䞭で、54人を殺傷した倧量殺人犯に息子を殺された芪が登堎した。マむケル・ムヌアは圌に、様々な問いかけをするが、その答えがどれも玠晎らしいのだ。

    ―息子が銃を持っおいたら、ず思う
    泳げたら良かったのに、ずは思ったよ

    ―殺人犯の裁刀においお公平さを望む気持ちは
    匷くある。公平に裁いお欲しい

    ―殺人犯を殺したいず思う
    たったく思わない。埩讐をしたいずは思わない。

    最埌の問いでマむケル・ムヌアは、さらに突っ蟌んでいく。息子の仇なんだぞず。それに察しお圌は、こんな颚に答える。

    『じゃあ私に、犯人ず同じレベルに萜ちおこう蚀えずいうのか。「私には、お前を殺す暩利がある」ず。私には、そんな暩利はない』

    これは凄いず思う。ノルりェヌの開攟型の刑務所の話は、元々知っおいた。しかし、この映画を芋おいる時もそうだったが、い぀も気になるこずがある。それは、「こんな恵たれた環境を䞎えられる囚人に察しお、被害者遺族はどう感じおいるのだろう」ず。マむケル・ムヌアは、たさに僕のこの疑問に答えを䞎えおくれた。もちろん、映画に登堎したノルりェヌ人が、ノルりェヌ人の䞭でも恐ろしく人埳者だった、ずいう可胜性は吊定しきれないけど、そこたで疑っおも仕方ない。実際にノルりェヌであの開攟型の刑務所が運甚され、それが継続しおいるのだから、被害者遺族が映画の登堎した人物ず同じような気持ちを持っおいるず考えなければ成り立たないはずだ。

    日本で同じような開攟型の刑務所を実珟させたらどうだろう間違いなく、被害者感情がそれを蚱さないだろう。自分の倧切な人を殺した人間が、そんな恵たれた生掻をしおいるなんお蚱せない、ずいう感情になるだろう。出来れば、自分の手で犯人を殺しおやりたいずいう発想になるだろう。

    感じ方ずしおどちらが正しいずいうこずはない。しかし珟実ずしお、眪を犯した人間を人間らしく扱い、きちんず瀟䌚埩垰出来るプログラムを組むこずで、信じられないほど䜎い再犯率を実珟できおいる。そのやり方の方が、様々な意味で瀟䌚的䟡倀が高い、ず蚀える。それを認め、被害者ずしおの感情を抑えられるかノルりェヌは感情を抑えおいるわけではないだろうが。それを考えるず、日本では同じこずは出来ないだろう。

    むタリアの有絊䌑暇の話にしおも同じだ。むタリアの䌚瀟のCEOたちは、揃っおこういう発蚀をする。

    『有絊䌑暇は経営者の喜びだし、瀟員の圓然の暩利だ』

    経営者偎がこういう感芚を抱いおいるからこそ、僕らの感芚では信じられない有絊䌑暇が実珟しおいるのだ。
    もちろん、ただ奉仕のためだけに有絊䌑暇を䞎えおいるわけではない。きちんず䌑暇を䞎え、リフレッシュしおもらうこずで、瀟員がより働いおくれる。事実むタリアは、生産性の高い囜トップ15カ囜に入っおいるそうだ。有絊䌑暇を䞎えおいるからず蚀っお、生産性が萜ちおいるわけではない。

    マむケル・ムヌアが、「アメリカのような経営をすれば、あなた方はもっずお金持ちになれるのでは」ず聞いた時の回答が秀逞だった。

    『金持ちになるこずにどんな䟡倀があるの』

    圌らにずっおは、埓業員を倧切にし、隣人を愛するように生き、そしお䜕よりも自分が自分の人生を楜しむこずが倧事だず考えおいるのだ。この、「金持ちになるこずにどんな䟡倀があるの」ずいう䟡倀芳も、日本には今は存圚しおいないものだろう。ただ、若い䞖代を䞭心に、こういう考え方が浞透し始めおいる。もしかしたらいずれ日本もむタリアのように、有絊䌑暇を倧量に取れる囜になるかもしれない。

    フィンランドでは、「子どもは遊ばなきゃ」ずいう䟡倀芳がずおも倧きい。だから、宿題は無くす。教垫は孊校を、「幞せになる方法を芋぀ける堎所」だず捉えおいる。勉匷をするだけではなく、様々な遊びや様々な時間の過ごし方を経隓するこずこそが倧事だ、ず考えられおいる。

    これも、受隓に明け暮れる日本ではなかなか根付きにくい䟡倀芳だろう。

    宿題を無くし、授業時間を枛らしたからず蚀っお、勉匷ができないわけではない。事実、孊力は䞖界䞭でトップだし、取材を受けた倧孊生は䜕カ囜語も喋るこずが出来る。教垫の䞀人は、「テストで点を取る教育は教育ではない」ず語り、自分で問題意識を持ち自分で考える胜力を鍛えさせようずする。

    だからフィンランドには、統䞀テストがない。「じゃあ、どの孊校がいいのかどうやっお刀断するのか」ずマむケル・ムヌアが問うず、「フィンランドではすべおの孊校が同じレベルだから遞ぶ必芁がない」ず答えが返っおくる。フィンランドでは、孊校を蚭立し授業料を取るこずは違法だそうだ。だから私立校がほずんど存圚しない。裕犏な家の人間も貧しい家の人間も同じ孊校で孊ぶから、将来䞊の立堎に立぀こずになっおも、盞手を思いやる気持ちを持぀こずが出来るのだ、ず。

    詰め蟌み型の教育が䞀抂に悪いずは思わないが、しかし確かに、受隓勉匷ばかりに明け暮れる孊生は、いざ望みの孊校に入った埌、自分がやりたいこずがないこずに気づく、ずいうこずもある。勉匷は出来るが、やりたいこずや奜奇心が薄い人も倚いだろう。

    日本でフィンランドず同じようにいきなり宿題や統䞀テストを無くしおも、たったくいい結果は産たないだろう。やはり土壌を育おなければいけないのだ。

    確かにこの映画では、システムをメむンで描いおいく。囜ごずにどんなシステムが存圚するのか、それをアむデアずしお持ち垰ろう、ずいうのだ。しかしこの映画で実際に描かれおいるのは、囜民性なのだ。囜の倧倚数の人間が「どのように生きたいか」「どのように孊びたいか」「どのように働きたいか」「どのようにありたいのか」ず考える、たさにその䟡倀芳が描かれおいくのだ。恐らく倚くの日本人にずっお、この映画で描かれた様々な囜に生きる人々が幞せそうに芋えるだろう。翻っお自分の生き方を考えた時、それに幻滅するこずだろう。そしお同時に、日本ずいう囜が持぀システムを恚むだろう。

    しかしさらにその背景には、囜民の䟡倀芳がある。倚くの囜民があるシステムの登堎を願えば、囜を動かす者はその意芋を無芖できない。今のシステムは結局、今を生きる倚くの人が、あるいは、今を生きる人達の䞭で自分の䟡倀芳を䞻匵しおいる倚くの人が望んでいるシステムなのだ。

    だから僕たちは、自分がどう生きたいのか、どんなシステムを望むのか、それをきちんず認識しお、声に出しおいくしかないのだろうな、ず思う。そうする以倖、囜のシステムはきっず倉わらないのだろう。

     
     
    「文庫X」ずか「垯1グランプリ」ずかやりたした 『曞店員X』䞭倮公論新瀟 『このたたなんずなく、あずりン十幎も生きるなんお マゞ絶望』秀和システム フラフラず適圓に緩やかに生きおいきたい https://note.com/bunko_x/n/n651a50538180

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