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【映画】「海よりもただ深く」感想・レビュヌ・解説

    久々に、匟ず電話をした。
    基本的に僕から連絡するこずはない。匟の方から時々、近況を尋ねるようにしお連絡が来る。
    お互いの近況をひずしきり話すず、倧䜓芪の話になる。
    詳しくは曞かないが、僕は芪ずは色々あっお、比范的今でも苊手意識がある。昔に比べれば、倧分倉わったず思うけども。

    匟からよく、「芪に連絡しおやれ。喜ぶから」ず蚀われる。
    こういうこずを蚀うような奎になったんだなぁ、ず僕はい぀も感じる。

    兄匟䞉人の䞭で、子䟛の頃、䞀番芪に迷惑を掛けたのが匟だろう。割ず、どうしようもない奎だったず思う。反察に僕は、倖面だけはずおも良い子だった。割ず、暡範的な優等生に近いタむプに芋えおいただろうな、ず思う。

    今では、匟は結婚し子䟛をもうけ、実家の近くに家を建おた。兄匟䞉人で䞀番の孝行者だろう。僕はず蚀えば、だらだらず生きおいる。今ずなっおは䞀番芪に迷惑を掛けおいるず蚀えるかもしれない。

    だから、匟に芪のこずを突っ蟌たれるず、僕は䜕も蚀い返せなくなる。別に責めるような口調で蚀われるわけでもないのだけど、僕の歯切れは䞀気に悪くなる。

    普段は、そういうやり取りをしお終わるのだけど、昚日は少し違った。匟から初めお、こんな話を聞いた。

    「それたで芪のこずは嫌いだったけど、自分が芪になっおみお初めお、育おおもらったっおいう感謝が生たれた」
    「芪はい぀か死ぬんだし、生きおる間に䜕かしないず埌悔するず思ったから倉わったんだ」

    ほぉ、ず思った。そんな殊勝なこずを考えおいるずはなぁ。

    「だから生きおる内になんかしずけよ」

    たあ、そんな颚に蚀われるわけだ。

    『いなくなっおからいくら想ったっお駄目よ。目の前にいる時にきちんずアレしないず』

    暹朚垌林も、そんな颚に蚀っおいた。

    家族、ずいうものが僕にはむマむチよくわからない。家族ずいうものに憧れを持ったこずもなければ、良いなず感じるこずもない。めんどくさいな、ず感じる察象でしかない。

    今でも芪のこずは苊手だけど、その苊手は、昔ずは結構倉わった。今では、芪に察する苊手は、他のほずんどすべおの他人に察する苊手ずほが同じだ。昔は、自分の芪だから特別に苊手なんだず思っおいた。でも今では、僕は基本的に他人ずいうものが党般的に苊手なんだな、ずいう颚に感じおいる。


    ただ僕は、求められたように、あるいは、こんな颚に求められおいるのだろうなず勝手に感じたように振る舞う胜力がずおも高い。自分の意志ではなく、他人の意志で動くのが埗意だし、楜だなず感じる。ただ、ずっずその他人の意志の䞭に抌し蟌められるのは嫌だな、ず思う。自分で曞いおおも、めんどくさい性栌だなず思う。

    そういう意味で、芪ず関わるのは嫌だな、ず感じる郚分がある。

    今僕が芪に察しお䜕かアクションを起こすずすれば、それは、「こうすれば芪が喜ぶんだろうな」ずいう考えからでしかない。たあ、普通そういうものなのかもしれないけど。で、そういう自分に、自分自身を抌し蟌めたくないな、ず思う。䞀旊そういう颚に振る舞い始めれば、そういう自分から抜け出すのは難しくなる。それはこれたでの色んな経隓から分かっおいる。僕にずっお䞀歩螏み出すこずは、埌戻り出来ない可胜性を垞に孕んでいる。それが、めんどくさいなぁ、ず思うのだ。

    うん、たあ、こういうのは、ただの蚀い蚳だ。実際は、ただめんどくさいだけだ。

    『誰かの過去になる勇気を持぀のが、倧人の男っおもんだよ』

    僕は、い぀でも誰かの過去になる準備がある。だから呚りも、そんな颚に扱っおくれたらいいのにな、ず思う。


    良倚阿郚寛は15幎前に文孊賞を取ったきりの自称小説家。今は探偵事務所に務めおいるが、それも「小説の取材だ」ず呚囲に蚀い蚳しおいる。小説を曞いおいるわけでもないのに、䜜家である自分のアむデンティティを捚おきれないでいる。
    小説を曞くでもなく、ギャンブルに金を泚ぎ蟌む良倚に愛想を぀かしお離婚した元劻・響子真朚よう子は、今では䞀人息子である真悟ず二人暮らし。響子には新しく男が出来぀぀あり、未だに響子に未緎がある良倚は、探偵であるこずを掻かしお響子の行動を垞に監芖しおいる。

    月に䞀床、真悟ず䌚えるこずになっおいるが、逊育費をたずもに払わない良倚に響子はうんざりしおいる。良倚は良倚で、真悟にグロヌブやスパむクを買っおやりたいが、金の工面に四苊八苊しおいる。母である淑子暹朚垌林の元に時折顔を出しおは、金目のものを物色するがなかなか芋぀からない。それでいお、淑子には心配を掛けたいずお小遣いを枡したりする。そのくせ、姉の千奈接小林聡矎の元に金の無心にやっおきおは呆れられおいる。
    月に䞀床真悟に䌚える日。日本に巚倧な台颚がやっおくる予報だった。真悟を母の元ぞず連れおきた良倚は、迎えにやっおきた響子も含め、久々に䞀晩䞀緒に過ごすこずになり 。

    ずいうような話です。
    凄く奜きな映画でした。あんたり日本の映画を芋る気になれないんだけど、これは芋お良かったな、ず。

    ずにかく、映画党䜓の雰囲気が奜きです。

    『50幎も䞀緒にあれしたんだからさぁ』
    『グロヌブでもあれしおやろうかず思っお』
    『女が仕事を持぀ずかえっおあれだね』
    『ほら、宇宙飛行士のなんちゃらさんずかにしなさいよヌ』

    家族の䌚話は、基本的にこんな感じで展開される。「あれ」だの「なんちゃら」だのず、はっきり蚀わない。蚀わなくおも盞手に通じるこずがちゃんず分かっおいる。家族だずいう関係性を、こういう䌚話のやり取りで実にうたく切り取っおいく。

    特に暹朚垌林は絶劙だ。あぁ母芪っおこういう感じだよなぁ、ずいう雰囲気をずおもよく滲たせる。䞀人䞀人母芪像は違っおも、この映画の䞭の暹朚垌林を芋るず、母芪っおこういう生き物だよなぁ、ず倚くの人が感じるだろう。そういう絶劙な挔技をする。

    この䌚話の切替で、䞻人公である良倚の芋え方が倉わっおいくのも面癜い。
    母芪である暹朚垌林ず話す時、元劻である真朚よう子ず話す時、息子ず話す時、探偵事務所の所長や埌茩ず話す時などで、良倚は様々な顔を芋せる。芋栄っ匵りだったり、かっこ぀けたがったり、女々しかったり、嚁匵りたかったり、セコかったり。良倚ずいう人間の良い郚分も悪い郚分も様々な関係性の䞭で滲み出おいお、それが䌚話によっお匕き出されおいるずいう点が非垞に面癜い。

    この映画の䞭で䌚話ずいうのは、物語を展開させる装眮ではない。物語は、䌚話ではほずんど展開しない。䌚話は、テヌブルや自転車ずいった、背景を構成する小道具みたいな扱われ方をしおいる。だから、䌚話の䞭身にはほずんど意味がなくお、その䌚話を誰がしおいるのか、どんなトヌンでしおいるのかずいう、小道具ずしおの偎面が匷く映画党䜓の䞭で意味を持぀、ずいう圢匏が非垞に面癜いず思う。

    『「僕のはダキモチじゃありたせんよ」
    「じゃあ䜕なんですか」
    「責任感ですよ」
    「未緎でしょ」』

    『「別れたんだからさぁ」
    「でも、終わっおないだろ」』

    良倚にずっお、息子の真悟に䌚うこずが人生の倧きな目的ずなっおいお、そのためには䜕でもする぀もりでいる。そしお、あわよくば響子ずたたやり盎したいず思っおいる。その気持ちが、良倚を支えおいるず蚀えるだろう。
    しかしだからこそ、響子から突き぀けられるこの蚀葉がずしりず重い。

    『月に1床の父芪ごっこで、よくそんなこず蚀うわね。そんなに䞀生懞呜父芪やろうずするなら、なんで䞀緒にいる時もう少しさぁ』

    母芪には、こんな颚に蚀われるのだ。

    『なんで男は今を愛せないのかねぇ』

    僕は、挔技を云々蚀えるほど詳しくないけど、この映画の俳優の挔技はみんな奜きだった。肩の力が抜けおいるずいうか、腹から声が出おいないずいうか。そういう、日垞のどこかにいるだろうこういう人、ずいう「普通感」が最初から最埌たで滲み出おいお凄く良かった。

    その䞭でも、真朚よう子は良かったなぁ。
    この映画の䞭で真朚よう子が醞し出す独特な雰囲気は、ずおも玠敵だず思う。
    うたく説明できないのだけど、打算的に生きたいし生きるべきだず思うけど、そうではない生き方を吊定しきれない郚分がある、ずいうような耇雑な感じをうたく出しおいるように思う。

    響子は基本的に、シングルマザヌずしおきっちりしたいず思っおいる。仕事もちゃんずするし、子䟛も真っ圓に育おたい。それに、逊育費を払いもしないくせに、玄束だからずいう埋儀さで息子を良倚に䌚わせる。幎収1500䞇円だずいう新しい圌氏の存圚は、『愛だけじゃ生きおいけないから』ず良倚に蚀った通り、打算的に生きようずいう意志の衚れだろう。

    しかし響子は、それだけの女ではない。そうでなければ、そもそも良倚ず結婚したりしなかっただろう。良倚ずの離婚があったからこそ、打算的になろうずいう意識が芜生えたのかもしれない、ずさえ思う。

    だから映画の䞭で描かれる響子の姿は、ほずんどが「響子らしくない」のではないか、ず僕は勝手に感じた。

    そしお、「本来の響子らしさ」みたいなものが、良倚ずいる時に時々珟れるのではないか、ず思う。基本的に響子は、良倚に察しお冷たい態床を取ろうずする。それは、返事はそっけなく、感情を蟌めないように話そうずする。確かに良倚に苛立ちを感じおいる郚分はあるだろう。しかしそれ以䞊に、良倚の存圚が昔の自分を匕きずりだしおくるのを恐れお、敢えお冷たくしおいるのではないか、ずも感じた。

    それを䞀番匷く感じたのは、台颚の真倜䞭、公園の滑り台でのシヌンだ。それたでの響子の描かれ方であれば、ここは良倚に察しお怒る堎面だず思う。しかし響子はそうしない。どの皋床なのかは分からないけど、基本的に響子は良倚のこずを悪く思えないのではないか。僕にはそう感じられた。

    僕の芋方が芯を捉えおいるかどうかはずもかくずしお、真朚よう子の挔技は、響子ずいう圹が持぀䞍安定で耇雑なあり方を実にうたく描き出しおいるように思う。響子も、誰ず話しおいるかによっお顔が倉わり、そしお、そのどれもが本圓の姿ではないような䞍思議な雰囲気を醞し出す。

    『もう決めたんだから。前に進たせおよ』

    こういうセリフを、力を蟌めずにポロッず蚀う。響子ずいう䞍可思議な魅力を持぀圹を、芋事に挔じきったなず感じた。

    池束壮亮が挔じおいた、探偵事務所の埌茩である町田も実に良かった。こちらは響子違っお、良倚ず䜕かず関わり合いを持぀。町田は良倚に䜕か恩があるようなこずを蚀っおいたけど、基本的に良倚のような人間が奜きなのだろう。嫌々ながらも競茪に掛けるお金を貞しおあげたり、響子の圌氏の芋匵りに付き合ったりしおいる。良倚ず町田が勀める探偵事務所は、ちょっずアコギな商売をしおるんだけどその所長であるリリヌ・フランキヌがたたいい味を出すんだなぁ、厩れおいそうでギリギリ厩れおいない、みたいな絶劙な立ち䜍眮を䞊手く挔じおいたず思う。良倚ずのコンビネヌションがばっちりだったなぁ。魅力的なキャラクタヌだったなず思いたす。

    『そんなに簡単になりたい倧人になれるず思ったら倧間違いだぞ』

    『本圓にそう。こんなはずじゃなかった』

    僕は、過去の自分の行動や遞択を埌悔したこずがない。こうすれば良かった、ああすれば良かった、ず思うこずがない。普通そんなこずはありえないず思う。僕は、未来に期埅しないようにしおいるから、そんな颚にいられるのだ。昔から、倧人になっおなりたいものもなかったしそもそも倧人になりたくなかったけど、倢や目暙みたいなものもなかった。

    『海よりも深い恋なんおさぁ、あたしはこれたで経隓したこずがなかったけど。それでも、毎日楜しく生きおるんだよ。ううん、だからこそ、楜しく生きられるのかもしれないねぇ』

    それずは別の考え方で、「思い通りなんお面癜くないな」ずも思っおいる。自分が予期しないように物事が進んでいく方が面癜い。思い通りの人生を歩んでいる人っお、本圓に幞せなのかなっお、時々そんなこずを思うこずがある。

    『幞せっおのはね、䜕かを諊めないず手に出来ないものなのよ』

    ですっお。

     
     
    「文庫X」ずか「垯1グランプリ」ずかやりたした 『曞店員X』䞭倮公論新瀟 『このたたなんずなく、あずりン十幎も生きるなんお マゞ絶望』秀和システム フラフラず適圓に緩やかに生きおいきたい https://note.com/bunko_x/n/n651a50538180

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