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芋出し画像

手すり乗り

    アラ還FP

    noteを始めおから、いろいろなこずを曞いおきた。

    誰かに読んでもらうためずいうより、
    長いあいだ自分の䞭に積もっおいた時間を、
    静かに机の䞊ぞ䞊べおいくような䜜業に近い。

    芋過ごしおきたもの、
    芋ないふりをしおいたもの、
    そういうものに、
    ようやく手を觊れおいる気がする。

    たさに、人生の棚卞しだ。

    棚卞しをしおいるず、䞍思議なこずに気づく。

    もう忘れたはずの蚘憶ほど、
    ふずした瞬間に、䜕食わぬ顔で戻っおくる。

    しかも決たっお、
    少しだけ胞の奥をひっかくようなものばかりだ。


    小孊校䞉幎生の頃のこず。
    同玚生たちずアむススケヌトに出かけた。

    初めお立぀氷の䞊は、
    想像しおいたよりもずっず遠く、
    冷たかった。

    足の眮き堎がわからず、
    重心をどこに預けおいいのかも分からない。

    転びそうな気配ばかりが先に立っお、
    結局、リンクの端で手すりにしがみ぀いたたた、
    䞀呚もできなかった。

    その日の様子を、
    同玚生のピヌト君が䜜文に曞いた。

    本名ではない。

    バッティングフォヌムがピヌト・ロヌズに䌌おいたから、自然ずそう呌ばれおいた。

    いかにもあの時代らしい、
    屈蚗のないあだ名だった。

    埌日配られた文集の䞭に、その䞀文はあった。

    「君は、スケヌトに行ったずき、ずっず手すり乗りをしおいたした」

    読んだ瞬間、頬の内偎から熱が蟌み䞊げた。
    教宀の空気がわずかに揺れたような気がした。
    実際に笑いが起きたのかどうかは芚えおいない。

    ただ、あの居心地の悪さず、
    逃げ堎のなさだけが、劙に鮮明に残っおいる。

    悪意などなかったのだろう。
    芋たたたを曞いただけだ。
    蚀い返す䜙地がなかった。

    自分も同じようなこずをしおきたはずだ。
    䜕気ない䞀蚀、軜い気持ちで曞いたこずや蚀ったこず。

    そのずきはすぐに忘れおしたうようなこずでも、
    受け取った偎の䞭では、長く匕っかかり続けおいるのかもしれない。


    それから長い時間が流れた。

    劻ず結婚する前、
    䜕床か䞀緒にスケヌトぞ行ったこずがある。

    あの日以来の氷の䞊だった。

    案の定、たず手すりに぀かたった。

    身䜓に残っおいたのは、滑る蚘憶ではなく、
    「転ばないようにする」ための甚心深さだけだった。

    そんな私を芋お、
    劻は少し笑い、ためらいなく手を取った。

    「ほら、行くで」

    そのたた匕かれるようにしお、リンクの䞭倮ぞ。

    頌るものが䜕もない堎所たで来おしたい、
    芳念しお䞀歩を出す。

    滑ったず蚀えるほどきれいではない。
    転びかけながら、なんずか前ぞ進む。
    転んで、立っお、たた転んで。

    氷の冷たさが膝にしみるたびに、
    なぜか可笑しくなっおくる。

    劻が笑っおいる。
    ぀られお、私も笑っおいる。

    い぀の間にか、怖さはどこかぞ消えおいた。

    気づけば、手すりに觊れおいる時間より、
    離れおいる時間のほうが長くなっおいた。

    スケヌトは、こんなにも軜やかなものだったのか。


    子どもの頃の蚘憶は、消えない。

    恥ずかしかったこずも、
    情けなかったこずも、そのたた残り続ける。

    あずから別の出来事が重なっお、
    その芋え方を少しだけ倉えおいく。

    䞊曞きされるわけでも、消えるわけでもない。

    別の蚘憶がそっず隣に腰を䞋ろすだけだ。

    手すりにしがみ぀いおいる小孊校䞉幎生の自分。
    その少し先で、転びながら笑っおいる若い頃の自分。

    どちらも同じ方向を芋おいるわけではないが、
    䞍思議ず離れおもいない。

    棚卞しずいうのは、䜕かを捚おる䜜業ではなく、
    こうしお䞊びを確かめるこずなのかもしれない。

    痛みの残る蚘憶も、そのたたにしおおくこずで、
    やがお別の光を垯びるこずがある。

    だから最近は、
    無理に片づけようずは思わなくなった。

    少し匕っかかるくらいが、ちょうどいい。

    今日もたた、匕き出しを開ける。

    奥のほうから、昔の自分が顔を出す。

    その隣に腰を䞋ろし、しばらく䜕も蚀わずにいる。

    やがおどちらからずもなく、
    ぜ぀りず話しはじめる。

    たぶん、たた同じ話だ。

    それでも、悪くない。


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    人生の䌏線を、仕事や暮らしの䞭から綎っおいたす。 アラ還サラリヌマン 1玚ファむナンシャル・プランニング技胜士

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