メインコンテンツへスキップ
見出し画像

浮いている、人。チェコ、カレル橋の夕暮れ。

    この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
    題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」


    カレル橋に着くまで、大道芸をわかったつもりでいた。

    プラハ。カレル橋。
    ヴルタヴァ川にかかる、石の橋。

    観光客が、たくさんいた。
    歩くのも、大変なくらい。
    橋の両側には、聖人像が並んでいる。
    三十体。
    どれも、古い。
    重厚だ。

    そして、大道芸人がいた。
    あちこちに。

    楽器を弾く人。
    似顔絵を描く人。
    人形劇をする人。

    そして。浮いている人がいた。
    本当に、浮いている。
    いや、浮いているように見える。
    杖を持って、空中に座っている。
    足は、地面についていない。

    どうなっているのか。
    近づいた。
    じっと、見た。
    わからない。

    トリックがあるはずだ。
    だが、わからない。

    人だかりができていた。
    みんな、写真を撮っている。
    わたしも、撮った。

    浮いている人は、微動だにしない。
    じっと、している。
    まるで、彫刻のようだ。
    不思議だった。

    夕方になる。
    太陽が、沈んでいく。
    空が、オレンジ色に染まった。
    カレル橋の聖人像が、シルエットになる。
    プラハ城も、シルエットになる。
    ヴルタヴァ川に、夕日が映る。
    きらきらと、光っている。
    夕日に照らされて、オレンジ色に染まっている。

    橋を渡り終えた。
    浮いている人は、微動だにしない。
    セカイはまだナゾにみちている

    ―ああ、またひとつ、夕日の橋で、ひとりごつ。


     
     
    異文化ライター / AI対戦会主催 / 年間マンガ500冊レビュー / SF短編小説家 / プロいく一期生 スターバックス勤務20年。ゲーム実況15年。シェアハウス10年。 ヘッダ画像はタプローム遺跡(本人撮影)。木の根が寺院を包み込む様子が神秘的。 amazonアソシエイト参加