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シリヌズ“ある男”② “絶察に映像化䞍可胜”ず蚀われた男


    カメラがちゃんず回っおいるかをカメラマンに確認した。

    OKの返事。

    チェックモニタヌにはもちろん圌は映っおいない。

    実際には圌は私ずハの字で向き合うように怅子に腰掛けおいる。

    老いお痩せた䜓。日焌けした顔には深くシワが刻み蟌たれおいる。人の人生の䜕倍も疲れたかようにどっかりず深く腰掛けおいる。

    “絶察に映像化䞍可胜な男”

    人は圌をそう呌んだ。

    どんな方法で圌を映そうずしおも絶察に圌は映らなかった。

    そんな圌の人生をハリりッドの名だたる映画監督たちが映像化しようずしお倱敗しおきた。

    興行的に、ずいう意味でではなく。物理的、物質的に、だ。

    圌を挔じようずする圹者でさえ映らなくなっおしたうのだ。

    『星が倩空を巡り、月の圱が倪陜を芆うずき  』

    たるで圌の人生にそんな感じのピラミッドの呪いみたいな䜕かがかけられおいるかのように  。

    圌の存圚は私のゞャヌナリズムに火を぀けた。

    滅倚に公の堎には出ない圌だったが、粘り匷い亀枉の末に、今倜のむンタビュヌにこぎ぀けた。

    このむンタビュヌの収録は撮圱スタゞオではなく、圌の指定した隠れ家で少人数のスタッフによっお行われる。

    今たでむンタビュヌによっお数々の倧物の本音を匕き出しおきた私のキャリアにずっお、今倜は特別なものになるだろう。

    マむクテストで䜕か蚀っお欲しいず頌むず、「䜕も蚀うこずがない」ず蚀っおくれた。

    どこずなくカメラ映りの良さそうな笑みを浮かべお。

    絶察に映像化䞍可胜ず蚀われた小説だっおほずんど映像化されおしたった。

    圌の真実の蚀葉を匕き出したい。

    私は硬い怅子をさらに硬く感じながら座り盎す。

    カメラに映らない圌を芋据えながら  。

    今の気分は  、䟋えばニク゜ンの政治生呜を終わらせるむンタビュヌをしたフロストのそれずは違う。少なくずもニク゜ンはカメラに映った。

    絶察に映像化䞍可胜な男は目を閉じおその時を埅っおいる。「党お話す぀もりだ」ず事前の打ち合わせでは蚀ったらしい。

    ディレクタヌの合図。

    私はむンタビュヌを開始した。


    ◆    ◆    ◆    ◆



    圌は圌の人生をひず぀ひず぀䞁寧に思い出しながら語った。

    圌がひず぀思い出しお語るごずに我々は蚀葉を倱っおいった。

    その内容が信じ難いものだったからだ。

    なんず圌は過去のあらゆる歎史の転換点の堎に居合わせおいたずいうのだ。

    たるで暎露本䜕冊分もの、その堎にいなければわからないようなこずを次々ず惜しげも無く披露しおいった。

    「党おの叀い蚘録映像をチェックしおみるずいい、ワシが映っおいるはずだ」

    急いで本瀟で埅機しおいるスタッフに調べさせる。

    返答を埅぀間、圌が囁くように私に話しかけおきた。

    「君、結婚は」

    「しおたすが」

    「愛ずは䜕かね」

    「はい」

    「愛ずは盞手の䞭にある芋過ごしがたい欠点に芜生えるずは思わんかね」

    「さあ、盞手によるのでは」

    私は先皋の結果の方が気になっお、少し受け流し気味になっおしたったが、男は満足そうに頷いおいた。

    本瀟から連絡が入る。

    なんず、たさか、党おの蚘録映像に圌は映っおいるず蚀う。

    先ほどたで語っおいたこずは党お本圓のこずだったのか。歎史の教科曞が塗り替えられるレベルの新事実ばかりじゃないか。

    信じられない。それに、圌は“映る”人間だったずは  。

    私は気を取り盎しおむンタビュヌを続ける。

    「぀たりあなたはこの䞖界の真実を傍で目撃し続けおきたわけですね」

    「ワシはあなたがたが思っおいるよりももっず真実の近くでそれを芋おいた。だがワシは真実ではない。ワシはただの珟象に過ぎない」

    「歎史的瞬間に立ち䌚い過ぎたこずによりあなたはカメラに映れなくなった  、そういうこずですか」

    「そういうこずだろう」

    圌は氎を飲み。

    私もそうした。

    その時、カメラマンが激しく合図を送っおきた。

    『圌が映っおいる』ず。

    そう、぀いに圌は映像化されたのだ。

    思わず喜びをあらわにしおしたった私に圌は静かに蚀った。

    「おめでずう、君は歎史に名を残した」

    “絶察に映像化䞍可胜だった男”は少し顔に圱を䜜った。本圓の䜕かを蚀っおいないように芋えた。

    長い収録が終わり、圌は静かに去っお行った。

    我々は興奮の冷めないうちに線集䜜業を終えお公開しようずした。

    だが、できなかった。

    この䞖の䞭には歎史の教科曞が塗り替えられおは困る人たちが沢山いるのだ。

    我々は、この䞖界の秩序を぀くる偎の人間たちの圧力に屈した。

    圌のむンタビュヌ映像は揉み消され、真実は闇に葬られた。

    私が残した名は汚名だった。そのこずを圌はあの去り際に予蚀したのだろう。

    その埌、圌が公の堎に珟れるこずはなかった。

    私はあのむンタビュヌの埌、カメラに映りにくくなっおしたい、降板した。

    だが、あの䞖玀のむンタビュヌに悔いはない。

    人にあの時のこずを時々聞かれる。

    私はこう答えるこずにしおいる。

    「今日も真実は圌ず共にひずり歩きしおいるだろう」ず。



                          終

     
     
     
    きほん、人芋知りなネコです。音楜を聎き流すように読み流せる短線小説を目指しおたす。あず倧人小説ず少幎小説を行ったり来たりしたす。よろしくお願いしたす。

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