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僕の仕事論

    この記事で書きたいのは、昔の働き方を正当化することではありません。

    僕が20年かけて、理不尽な人、尊敬できる人、逃げたくなる経験、その全部から何を受け取り、どんな仕事論にたどり着いたのかという話です。

    コンプライアンス的にも、現代的な考え方でもない部分があると思います。

    それでも、今の自分の仕事観として、一度書いておきたいと思いました。

    何もしてこなかった僕が、建設業に入った

    僕は今まで、人を殴ったことはありません。
    喧嘩というものも、小学生の時に少しした程度です。
    とても「普通」な人生を送ってきました。

    そんな僕は、20代後半で建設業界に入りました。
    それまでは運送業ばかりで、建設業は全くの未経験。

    どんな仕事もそうだとは思うのですが、最初はとても辛いものです。
    ほかの記事にも書いていますが、僕の最初の親方は、背中に人生を背負っている人でした。

    舐められまいと、最初はいきまいていました。したこともないのに、ちょっと不良ぶったり。ガムを噛んだり、腕を組んだり。
    その程度しか思いつかない、高校デビューレベルの行為でした。

    「おまえ明日からガム食べるな。」

    その一言で、僕のメッキは剥がれました。
    その日から、僕の奴隷生活はスタートしました。
    口答えや意見、意志を持ってはいけない。
    完全なるイエスマンとして、教育していただきました。

    それは努力といえば努力だったような。
    ただ単純に怒られたくなかっただけ、逃げてるだけといえば、そうなるのかもしれません。

    現場までの道のりを、仕事が終わったあとに2時間かけて下見をし、準備万端で臨めば

    「俺のアドバイスが要らねぇってことだな。」

    と言われました。
    後ろから地図が飛んでくるわ、空き缶が飛んでくるわ。
    色々ありまして、その親方とは1年半の付き合いでした。

    当時はそんなこと思ってもいませんでしたが、その親方からはいわゆる「根性」というものをつけてもらえた気がします。

    でも、ギリギリでした。

    耐えられず、仕事を辞めようと思ったこともあります。

    社畜に、自ら志願した

    でも、社長が僕を助けてくれましたんですよ。単純なんですが、僕はそれから社長のために生きることを決心しました。

    俗に言う社畜に、自ら志願したのです。

    当時付き合っていた彼女にも、社長ファーストを宣言して、プライベートよりも仕事を優先しました。
    日勤と夜勤を連続でこなし、7連勤で働いたこともあります。
    休みが3ヶ月ないこともざらでした。
    ひとつの現場が終われば、次の現場に行くこともありました。
    休みだった日が急きょ仕事になることなんて、当たり前になるくらいでした。
    気づいたら、乗るはずのない高速道路に乗っていたこともあります。
    立ち仕事をしながら寝たことだってあります(笑)

    僕を成長させてくれた人たち

    建設会社は、大体が零細企業です。
    なので協力会社という、仲間みたいなものがいます。
    そこでは、いろんな個性的な人たちと出会い、僕を成長させてくれる人たちがいっぱいいました。

    まずは、その理不尽大魔王の初代親方。
    暴力、暴言がマスト。
    精神的にも追い詰めていただきましたし、外傷と呼ばれる目に見える傷も負わされました。

    続きまして、ザ・B型の職人。
    こんなことを言うと、全B型の人を敵に回しそうですが、何を言ってもゴーイングマイウェイ。
    何を言っても自分に都合の悪いことは

    知らない。
    知ったこっちゃない。

    ちょっと仕事が薄くなると、仕事中でも自分の車を清掃し始めるような人でした。

    お次は、人としては全く尊敬できないけれど、職人としての歴は長い、ちょっと年上の先輩。

    この人も、まあ言うことを聞かない。
    ダメだと言われることを平気でする。
    仕事で呼ばれたのに、段取りはおろか、

    「そんなこと聞いてないからやらない。」

    という暴論。
    そして、人生で初めて言われました

    「俺の酒が飲めないのか?」

    飲めませーん(笑)

    同じ会社の先輩。

    社長のお兄さんという絶妙なポジション。
    そして、社長の兄弟とは思えない職人としての腕。
    目上の人がいなくなった途端、態度が変わり、理不尽大王へと変身していきました。

    ちょっとキリがないので、代表的な人だけを書きました。

    でも本当に、人として尊敬どころか、職人として憧れる存在でもない人がたくさんいました。

    僕が憧れる四皇

    そんな中で、僕には憧れる四皇と呼んでいる人たちがいます。

    まずは社長。
    この人は、ポジティブを絵に描いたような、太陽みたいな人です。
    仕事は妥協せず、一級品の作品を生み出します。
    野生の勘がすごくて、天井を眺めてアイソメを書き、実際に天井で作業をすると、その通りに配管が収まります。

    お次は、その社長のお師匠様。

    みんなはその人を「神」と呼んでいます。
    決していじっていません。
    普通はスケールというもので寸法を測るのですが、神はそんなものいりません。
    目検で測ります。
    そして、その寸法がドンピシャ。
    意味がわかりません。
    知識も豊富で、「神」たる所以にふさわしい人でした。

    お次は、ロジックの天才。
    昔かなりやんちゃしていたそうですが、僕と知り合った時は、だいぶ落ち着いていらっしゃいました。
    その人は、やることなすこと、全て理論立てて仕事をしていました。

    やることにはすべて意味がある。

    そして、その理由をちゃんと理論立てて僕に教えてくれました。
    ちょっとお喋りがすぎる、お酒大好きな人です。

    最後に、僕がミスターヒューマンと呼んでいる人。
    職人としてはもちろん、人間性がピカイチで、こういう大人になりたかったと思わせてくれる人です。
    仕事にプライドを持っていて、現場にいると、どんな関係も丸いひとつの輪にしてくれる。
    誰しもがこの人を好み、誰からも嫌われる要素がない。
    最高の人柄です。

    嫌な経験も、自分の一部になった

    僕は、色んな人と出会いました。

    色んな辛い経験をして、嫌な思いをして、人前で思わず涙を流したこともあります。

    最後のミスターヒューマン以外は、出会わない方が楽な人生を選べたんじゃないかって思うくらい、ずっと辛かったです。

    でも、ふと思ったんです。

    物事って一方的な角度から見るんじゃなくて、多角的に見た方がいいってことに。
    そう考えると、色んな人から教わったものがありました。

    根性。

    常に先を考えて、頭をフル回転させること。

    寸法の取り方。

    段取りの仕方。

    現場で会う人たちとの距離の取り方や接し方。

    仕事の丁寧さと、プライドを持つこと。

    仕事の細かい一つひとつの作業方法。

    気難しい人の扱い方。

    数えあげればキリがありません。

    今、僕の中には、今まで出会った人たちのいい部分が全て入っています。
    もちろん悪い部分、見習わなくていい部分は削除しています。
    そうやって色んな人の良い部分を自分の中に取り込んで、ハイブリッドになっていくこと。
    それが、仕事を上達させる核なのだと思います。

    おかげさまで、今ではいろんな職人を見ても、良いところと足りないところが自然と見えるようになりました。

    誰かを見下したいわけではありません。

    ただ、色んな人から色んなものを吸収してきたからこそ、仕事を見る目を養えたのだと思います。
    そして、どんなことが起こっても、簡単には動じない心を手に入れられました。

    権利もある。でも、得られるものもある

    今の世の中、パワハラ、アルハラ、モラハラ。新人に先輩が仕事を教えたら、それもハラスメントらしいですね。

    飲み会は仕事じゃないから行かない。

    仕事以外のプライベートなことは関係ない。

    休みの日は仕事の電話やメールに出ない。

    返信しない。

    努力したくない。

    努力はダサい。

    努力ってめんどくさい。

    働いたら負け。

    これは全部、権利だし、個人の意見を批判したいわけではありません。
    しなくてもいいし、しなくてもいい。

    僕は酒が飲めないのに、飲み会に行っていました。
    そもそも、飲み会のあの雰囲気が大っ嫌いです。
    テンションが高い人も苦手。
    意味の無い会話も大っ嫌いです。
    でも、お付き合いです。
    これもお仕事。
    一緒に協力してもらわないといけない人たちです。
    毎年、年末は憂鬱な時期です。

    でも、嫌々ながら参加していた飲み会で、大嫌いだった人と仲良くなれました。
    そこでしか出会えない人と出会えました。
    僕にとってはデメリットの多いイベントだけど、その中でもメリットはちゃんと見つけられます。
    要は起きてる事実をどう捉えるかです。

    暴力や人格否定からは逃げていい

    ただ、これだけははっきり書いておきたいです。
    暴力や人格否定からは逃げてください。
    僕は人を殴ったことがないので、その感情がわかりません。
    でも、暴力で人を教育しようとする人は、きっと何を話しても意味がないと思います。
    その場所にいて心や体が壊れそうなら、逃げた方がいいです。

    建設業界なんて、パワハラとセクハラの温床です。
    当たり前のように日常に溶け込みすぎて、感覚が麻痺するほどです。
    僕も色んな人に、物理的にも精神的にも追い込まれました。
    逃げ出したくなったし、仕事にも行きたくなかった。
    脳死状態で仕事をすることなんて当たり前でした。
    ただただ一日が過ぎることだけを考えて、しょっちゅう時計を見ていました。

    ある日から、恩をいただいて、ただその恩のために一心不乱に仕事をしました。
    あとから思えば、その時、僕は覚悟したんだと思います。

    その人のために尽くす覚悟を。

    その場所で、何ができるかを考える

    この間、知り合いの会社の社長に相談を受けました。
    長年一緒に働いていた社員から、

    「こんな仕事をするつもりなんてなかった。」

    と言われたそうです。
    僕は、この世で働く人のほとんどは、やりたいことを仕事にしているわけではないと思っています。
    初めからやりたい仕事がわかっている人なんて、そう多くないと思います。

    でも、何かしらの縁でその会社に入ったのなら、覚悟を決めて、その場所で自分が何ができるかを考えて努力することが、新入社員の責務だと思います。
    どんな仕事だって、ある程度の経験を積めば、なんとなくはできます。
    人間は変化に対応できる生き物なので。

    僕たちホモ・サピエンスは、そうやって生物の頂点に立ちました。
    その仕事の上位グループに入れるかどうかは、運と才能も加味されます。
    でも、ほとんどの人がいわゆる普通です。

    そして、デキる人って、僕が思うに、人の何倍も努力しているんです。
    人よりも働いて、考えて、数をこなして、酸いも甘いも経験する。
    そして初めて、効率の良い自分なりの仕事術を見つけて、さらに加速がかかるんだと思います。

    何事も、始めた時は大変なことばかりです。
    プライベートなんて関係ないくらい大変です。
    これは仕事だけではありません。
    だから逃げずに戦うんです。
    努力して、その壁をよじ登るんです。

    じゃなきゃ、仕事をこなせるようになんて、なるわけないじゃないですか。

    仕事は経験なんですよ

    色んなピンチを乗り越えるからこそ、そのピンチが来た時に冷静に対処できるんです。
    色んな経験を積んだからこそ、どんな場面にも対応できるんです。

    仕事は経験なんですよ。

    何も経験しない人が、

    「自分のやりたいことじゃない。」

    「こんな仕事とは思わなかった。」

    「やりがいを感じない。」

    僕からすれば、全部他責です。
    やりたいことかどうか。
    仕事の全貌を知るには早すぎる。
    やりがいを感じられないのは、自分の考え方次第。

    みんなと同じように仕事して、みんなと同じように休んで、仕事とプライベートは別。
    そんな考え方をして、
    「なかなか成長できない私を評価してほしい。」

    「こんなに頑張ってるのに、なんで認められないの。」

    当たり前でしょ。

    そもそも、頑張っていることや評価というものは、他人がするものです。
    自分で価値を決めるものではないんです。
    どんな努力も、どんな頑張りも、まわりが認めてくれなければ報われません。

    ただ、自分の中での経験にはなります。

    土台になります。

    最近よく言われる「質」というものが、そこで初めてわかります。
    わかれば、その質を上げることだってできます。

    普通の人が社会を回している

    今って、時代が変わり、みんなの意識も変わらなきゃという思いで、色々試行錯誤している過渡期なのかなと思います。
    働き方改革や週休二日制なんてまさにそうですよね。

    だから意見がぶつかり、昭和だの平成だのと言われる。
    底辺と言われる建設業界には、未だに昭和平成の空気が流れています。

    でもね。

    人間の根本的な性質かどうかはわかりませんが、仕事ができる人って、いつの時代も誰よりも働いて、誰よりも考えて、誰よりも行動して、いっぱい失敗して、色んな感情を味わった人が、長い年月を経てなれるものだと思います。

    一発逆転で成功する人もいるでしょう。

    でも、いい夢を見たかったら、その代償を払うべきです。
    ローリスクハイリターンは、ほとんど起こりません。

    野球をやって、大谷翔平になれる人。

    サッカーをやって、久保建英になれる人。

    彼らは希少だから人気があるんです。
    ほとんどの人は普通の人です。

    夢を諦めて、普通に暮らす人です。

    でもね。

    そのすごい人たちだけじゃ、経済って回らないんですよ。
    普通の人がいっぱいいて、ちゃんと働いているから経済が回って、みんな生活ができるんです。
    だから、普通の人が一番偉いんです。
    普通でいることの勇気を持ちましょう。

    そのうえで、誰よりも働き、努力し、考え、行動し、色んな経験をすること。

    私利私欲に走らず、利他的に生き、常に自分の言動を俯瞰すること。

    自己受容をし、己を知ること。

    これが、僕の20年建設現場で働き、10年間個人事業主をして、そして起業し、会社経営2年目になってたどり着いた仕事論です。
    結果なんて求めなくてもあとから着いてきます。

    自分の人生には、自分で意味をつける

    最後に一つだけ。

    努力することは、人間に与えられた力の使い道だと思っています。

    それがどんな努力かは、人それぞれです。
    仕事でもいい。
    勉強でもいい。
    家族のためでも、自分のためでもいい。
    大事なのは、自分の人生を他人任せにしないことです。

    もちろん、心や体を壊してまで頑張る必要はありません。
    でも、戦う前に逃げるのは違うと思います。
    戦った末に逃げることは、何も恥ずかしくありません。
    逃げた先で、また立て直せばいい。

    自分の人生には、自分で意味をつけるしかないのです。
    せっかく高度な知性と理性を持って生まれた人間なんですから。
    その力を、自分を壊すためではなく、自分の人生を少しでも面白くするために使いたい。

    僕はそう思っています。

    #創作大賞2026 #ビジネス部門

     
     
    配管工として20年。見えなくなる配管ほど手を抜けないように、人間も表面だけではわからない。仕事、覚悟、社会の違和感を書いています。 質問箱はこちらです↓ https://note.com/qa/brisk_zephyr9683

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