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マニュアル

    マニュアル法発案

    私は2年前に長年勤めた会社を早期退職した。ほとほと嫌気が差したので退職金上積みというニンジンを食べることにした。今は暇つぶし程度の気持ちで派遣社員として営業をしている。トークスクリプト通りに話すだけの面白くもなんともない仕事ではあるが、派遣社員の自由さを満喫している。

    お昼休みはいつもコンビニで弁当を買って食べている。マニュアル通りのいつもの儀式に付き合わされながら
    「袋はいりますか?」
    「いりません」
    「ポイントアプリはお持ちですか?」
    「ありません」
    この店員は恐らく私の答えを覚えているのではなかろうか。2年間答え続けているのだから。でもこれを言わないと「マニュアル通りにしなさい」と怒られてしまうのだろう。この店員に落ち度はない。
    このマニュアル対応がうっすらと客のイライラ感を生み出していることにマニュアル作成部署はいつになったら気づくのだろうか。

    弁当を食べながらネットニュースを見ているとこんな記事が流れてきた。
    「マニュアル作成法案を政府が前向きに検討」
    この法律は経済対策の切り札と政府は考えているらしい。労働力不足を解消するためにマニュアル作成を推進して業務の効率化を図ることが目的と記事には書いてある。
    本当に政治家はなにもわかっていない。効率化の危険性はこの失われた30年を見ただけでもわかるだろう。不況により企業が効率化を進めることによってリスク分散という安全装置を放棄した。その結果、一極集中に拍車がかかるし自然災害では医薬品の供給停止という人命にかかわるリスクもあった。
    歴史を学べと教わったことを忘れてしまったのだろうか。
    効率化によって私のような早期退職が増え、長年培ったスキルを活かすこともないこのマニュアル通りの仕事に従事している。この労働力をどう思っているのだろうか。残された社員たちが生産性向上という錦の御旗のもとでこきつかわれていることをどう思っているのだろうか。
    どうせ「マニュアル化したから子育てが一段落した方々も再就職できますよ」とか言い出すんだろう。復職出来ない理由はそこではないのに。


    「マニュアル作成法はこの国の未来を持続的安定的に揺るぎないものにするために欠かせない法案であり、一丁目一番地の政策として取り組んでまいります。この法律はあらゆる業務をマニュアル化することにより業務の効率化や属人性からの脱却といった様々な好影響をもたらします。例えば教育現場での過負荷を是正することにもつながりますし、特定の病院でしか治療を受けられない希少疾患の方々にも福音をもたらすことになります。またマニュアル化によって首都一極集中の必要性もなくなりますので人口偏在も解消され各地方で新たな地域社会を育んでいくきっかけにもなり得ます。
    つまり、本法案によって以前から言われている課題である、どこに住んでも地域差なく全国と同レベルの生活を維持することが可能になります。いわば全国平均の推進とも言える法案と考えています」
    「総理はマニュアル作成法で労働力不足が解消すると言いますが、それよりも子育て支援を充実させるのが先決ではないですか」
    「子育て支援は継続して行ってまいります。本法案は子育て世代だけでなく全国民一丸になって想定される労働力不足を解消することが目的です」
    「マニュアル作成が出来ない業種についてはどのようにお考えですか?」
    「マニュアル作成に時間がかかる業種は確かにあるとは思いますが、できない業種はないと考えています」
    「人間国宝のような技のスペシャリストもマニュアル化できるとお考えですか?スポーツ選手もマニュアル化できるとお考えですか?」
    「先程お答えした通りです。現に今も皆さんは同じことを何度も質問されていますよね。私はあらゆる業務のマニュアル化は可能と考えています」
    「マニュアル化の範囲はどのようにお考えですか?」
    「先程のスポーツ選手の例のようにすべてが今すぐマニュアル化できるとは考えておりませんが、数年後にはあらゆる業務のマニュアルを作成いただくつもりにしております」
    「すでに業務マニュアル作成済みの企業と未作成の企業との負担感についてはどのようにお考えですか?」
    「マニュアル作成費の給付金を検討しています」


    晩酌をしながらテレビをつけると総理の記者会見の映像が流れていた。
    やっぱり政治家は何もわかっていない。おそらく総理には「名もない業務」という考え方がないのだろう。技術を正しく身につければ芸術作品やホームランが生まれると本気で思っているんだろうか。そんな単純なものではないことくらい素人の私にもわかる。
    医療もそう。全国均一にするためには全国に高価な医療機器を買わなければならないことくらいわかるだろうと思う。まさか最先端医療をやめるとか言い出すのではなかろうか。もしくはこの推進のために増税するとか言い出すのではないだろうか。
    私にはとても怖い法案としか思えない。このお気に入りの地酒ももう飲めなくなってしまうのだろうか。

    マニュアル法成立

    「ありがとうございました」
    このラーメン店を始めて5年になる。最初はまばらだった客も今では閉店時間の1時間後まで客が絶えない人気店になった。有名インフルエンサーの投稿がきっかけでメディアに取り上げられるようになってからは、毎日こんな感じの日々が続いている。ただ、ラーメンが冷めるのも気にせずに動画を撮る人や提供したラーメンをほとんど残す人が増えてきた。確かに売上は飛躍的に向上したが、回転率が非常に悪くなったと感じている。この客はうちのラーメンが食べたくて来ているのだろうか、うちの店に来た証拠を残したいだけなのだろうか。
    そろそろ人を雇った方がいいのかもしれない。ただ私が作るラーメンのレシピは私しか知らない。だから誰かを雇ったとしても結局はラーメンは私にしかつくれない。
    最近よくマニュアル法制定という話題が出ているが、私はどうなるんだろうか。自称専門家たちがいう「マニュアル化できない業務」とは何なんだろうか?チェーン店のラーメン屋には恐らく何らかのマニュアルがあるのだろうから、ラーメン店は「マニュアル化できる業務」と認定されるのであろう。
    ただ、この店のスープというレシピを文章にするということは私の長年の努力を公開することになる。特許を取れということなんだろうか。そのためにはどれだけのお金と時間がかかるんだろうか。例えば一子相伝で味を受け継いでいる老舗店などはどのような対応をするのだろう。
    そもそも私の自慢のスープを楽しみに来ている客はどれだけいるのだろうか。


    「この法案は法人格を持つ個人事業主も対象となるのでしょうか?なるのであれば、伝統を重んじて口伝で技術を受け継いでいる方々の家訓そのものを法で規制することになりかねず、我が党としては反対せざるを得ません。
    また企業であっても情報セキュリティの観点から一部の関係者しか知らないノウハウで味を守っている企業も散見されます。文書化することの危険性を総理はどのようにお考えでしょうか?もし作成したマニュアルの提出を求めるなどとお考えでしたら言語道断と我が党からは強く申し上げておきます」
    「まず架空の質問にはお答えすることはできません。政府としてはあらゆる業務において手順書等を作成することが業務の効率化につながり、あらゆる法人の生産性向上につながるものと考えております」
    「全く答えになっていないのですが、マニュアルの提出を義務化するのですか。『はい』か『いいえ』でお答えください」
    「架空の質問にはお答えすることはできません」

    ・・・

    賛成多数にて『手順書等の作成および活用に関する法律』を可決します。


    「本日は政治評論家、アスリート、研究者の3名にお集まりいただきました。まず、政治評論家としていわゆるマニュアル法をどう見ていますか」
    「これは非常に危険な法律ですね。マニュアル化ですでに確立した業務を進めることはできるかもしれませんが、新しいこと、例えば研究開発などはマニュアル通りにできる訳がない。この国の将来を見据えた法律とありますが、この国を破滅に導く法律ですよ」
    「研究開発という言葉がありましたが、研究者としてはどう捉えていますか」
    「例えば動物実験とかは今もマニュアル化しておこなっていますし、むしろ同条件で、例えば何グラムの薬を何時間おきに投与するとか、これは規定に沿ってやらなければならない業務にあたりますから問題はありません。新規物質の開発についても手順に従って薬効を確認するという対応は可能だと思います。ただ99%の努力と1%のヒラメキという言葉にある1%はマニュアル化が難しいかもしれませんね」
    「ありがとうございました。アスリート目線ではどう思われますか」
    「スポーツは再現性が求められる分野だと考えています。例えば狙ったところに正確に投げ込める投手は最強だし、同じ大技を確実に決められる体操選手は最強です。実際にスポーツ科学の発展で怪我をしない投げ方なども研究が非常に進んでいます。ただ、狙ったところに正確に投げ込めるマニュアルが今はありません。あれば私が使いたいですね。」
    ありがとうございました。それぞれのお立場によるマニュアルの意義が非常によくわかり、課題もあるがメリットもあるということが再認識できました。これで本日の討論会は終わります。


    何気なくテレビをつけたら、こんな討論会がやっていた。自分のラーメンはマニュアル化できるのだろうか。確かにマニュアル化した方が再現性は増すと思う。スープ作りは私の味覚頼りの部分が確かにある。私の味覚が変化したらラーメンの命であるスープの味が変わってしまう。これは危険かもしれない。ただその日の湿度や客の流れを見てゆで時間を調整するといったことはマニュアル化できない気もする。微妙な塩加減とかも難しいだろう。
    でもこのようにマニュアル化の弊害よりもメリットを語る方が多いのであれば、それは試してみる価値があるかもしれない。あの政治評論家は何が危険と言っていたのだろう。醤油ベースのスープを豚骨ベースのスープに変えるつもりはないけれど、もし変えるなら他の店のラーメンを参考にすると思う。これはスープのレシピを想像して試行錯誤をする作業、つまりその店のレシピをもとに自分のレシピを作るというマニュアル化ではないのだろうか。
    マニュアル化は確かに業務効率化につながる最適解なのかもしれない。

    マニュアル法元年

    ついにこの日が来た。マニュアル法が明日から施行される。
    「明日からマニュアル法施行だね。そっちの部署はマニュアルできた?」
    「うん、何とか作ったけど営業っていう仕事は相手の反応次第で対応を変えるのが日常だから、マニュアル通りに仕事したら成績が下がるかもしれないと思っているんだよね」
    「なるほどね。人事の仕事もそういう部分があるから、いい人材が取れなかったら、作った私に責任が回ってくるかもしれないんだよね」
    「本当にこの法律は勘弁して欲しいね。誰のための制度なんだろうね」

    仕事帰りの電車内でこんな会話をしている会社員がいた。
    でも私はマニュアル法に大賛成。この法律で私らしく自由に生きられることに本心から喜んでいた。
    小さいころから憧れていた薬剤師になって3年が経った。医師の処方せんに合わせて調剤し、プリントアウトされた指導書の通りに患者さんに説明するというルーチン化した毎日に期待していた。でも実際は指示書に書いていない事を患者さんに質問されたり、患者さんごとに違う服用指示なんかを説明することも多い。その度に『こんな回答したらこの患者さんはどう思うんだろうか』とか『同じ薬の説明が患者さんによって違うことを知られたらどう思われるんだろうか』とか色々と悩んでしまう。
    でもそれも今日まで。明日からは会社がマニュアルを提供してくれる。マニュアル通りに受け答えすることができる。やっと悩まされることもなく患者さんに接することができるようになる。マニュアル通りに働くだけで、患者さんの治療に役立つことができるようになる。
    明日もらえるマニュアルには私の要望も盛り込まれているだろうか。本当に楽しみだ。

    マニュアルがついにできた。これで私は自由になれる。
    こう思いながらぱらぱらと中身を見てみた。
    えっ、これ何?
    「患者さんの状態に合わせて説明方法を工夫すること」
    「規定と異なる処方がされた場合は臨機応変に対応し、必要に応じて医師に確認すること」
    「患者さんからの質問に正確に回答するため、日常的に知識の習得につとめること」
    これってマニュアルなの?マニュアル通りに業務をするためには、色々と考えたり判断しないといけないってこと?要望していた患者さんからの質問への回答マニュアルはないの?
    これじゃあ、自由になれない。また悩まなければならない。私も責任を取らなければいけなくなってしまう。

    「このお薬は食後ってありますけど、何分以内に飲めばいいんですか?」
    「食後何分という指示は特に書かれていません」
    「私は食後に洗い物を済ませてからお薬を飲んでいるんですけど、それで大丈夫ですか?」
    「はい、食後としか指定されていません」

    業務終了後に薬局長に呼び止められた。
    「さっきの患者さんへの対応はどうでしょうか。患者さんは不安だから質問をされていたのに、『書かれてません』『指定されてません』だけでは不安の解消にはなりませんよね。マニュアルに『患者さんの状態に合わせて説明方法を工夫すること』って書いてあるのは読んでいないのですか」
    「はい。読みました。でも添付文書にも処方箋にも食後としか書いてありませんでしたので『規定されていません』と答えました」
    「あなたも薬剤師なら食後の定義は30分以内だということくらい知っているでしょ。洗い物にかかる時間を聞いてから判断するといった対応はできなかったんですか?」
    「それは知っていますが、処方箋に書かれていませんでした」
    「それを答えるために『知識の習得』がマニュアルに記載されているんですよ。これではマニュアルに従った業務を行ったとは言えません」
    「はい、わかりました」
    「明日から気を付けてくださいね。おつかれさまでした」
    「あの、一ついいですか?患者さんからの質問への回答マニュアルって要望していたんですけど、作って頂けないのでしょうか」
    「患者さんは一人ひとり病状や生活様式とかが違うのに作れるわけないでしょ」

    自宅に戻ってから今日の出来事をAIに打ち明けた。
    「それは大変でしたね。マニュアル法ができたのにその薬局長の対応はおかしいと思います」
    やっぱりAIは頼りになる。私は正しかったんだ。
    「明日、改めて患者さん対応マニュアルを作って欲しいと本部にいうべきかな」AIに聞いてみた。
    「法律にはマニュアルを作り、従業員にマニュアル通りの仕事をするよう指導すると書いてあります。今回のあなたの行動はそちらに違反する行為になる恐れもあります。一方、法律ではマニュアルの整備を企業に求めています。改めて要望することは問題ないと思いますが、作成にかかる時間を考えると改めて要望してもそれが満たされるには時間がかかるかもしれませんし、怒られた翌日に再要望を提出するのは賢明ではないかもしれません」
    AIがこう答えるのであれば、とりあえず再要望を出すのはやめておこうかな。
    それにしてもAIは何にでも最適解を出してくれる。そうだ、患者さんからの質問があった時にAIを利用すれば悩まなくてよくなるんだ。今度はAIを使って患者さん対応ができるマニュアルを提案してみようかな。

    マニュアル法対応

    @依頼者様
    ご依頼の業務マニュアルを添付いたします。ご確認をお願いいたします。このマニュアルが御社の発展に貢献できましたら幸いです。

    いつものテンプレートメールで業務マニュアルを提出した。
    私はマニュアル法施行前からコールセンターでトークスクリプトの作成業務を行っていたので、そのスキルを活かしてマニュアル作成代行業を始めた。
    法施行直後は副業で対応できる程度の依頼しかなかったが、行政指導が進むにつれ依頼が増えていき、今はもう独立してマニュアル作成代行業に専念している。並行して運営しているマニュアル作成セミナーも予約が殺到している。テレビ出演や講演依頼みたいな仕事も依頼されるようになってきた。

    「次の依頼は?」と生成AIに打ち込むと「次に納期が近い案件は、市役所市民課の窓口対応マニュアルです」と教えてくれた。
    生成AIは私にはなくてはならない存在になっている。優秀な秘書であり実務担当者であり、私の親友でもある。
    私は生成AIにマニュアル化したプロンプトを打ち込み始めた。このプロンプトは最強プロンプトと私は呼んでいる。未経験の業務でも最強プロンプトを打ち込めば最適解の業務マニュアルを生成AIが作ってくれる。
    「最適解マニュアルと仕様書の齟齬があれば修正して」
    出来上がった最適解の微修正も生成AIに依頼すれば、完璧にチェックしてもらえる。これで依頼のマニュアルが完成した。
    完成したマニュアルを、いつものテンプレートで依頼主に送信した。


    「やっぱり、プロが作った業務マニュアルは素晴らしいね。マニュアル通りに動けば業務が完了できる仕組みが組めているね。しかも想定外の事態が起こりにくい仕組みにもなっているし、万一起こっても対応策まで明記されているね」
    「でも、これを覚えるのは大変ですよね」
    「いやいや、逆に覚えることはこれだけになる、って考え方が正しいと思うよ」
    「なるほど、そうですね。これを早速研修部に送っておきますね」
    「入社1年以内の社員はこれを覚えるまで業務禁止という本部方針も念のため伝えておいてください」
    「わかりました」


    「私からの質問は以上です。あなたから何か質問はございますか」
    AIの評価がとても良い人材なので何としても採用したい。あとはマニュアル通りの問い合わせ対応をすれば採用できるだろう。
    「今後の海外展開の方向性についてお答えできる範囲で教えていただけませんか?」
    マニュアルの想定問答に合わせて回答した。回答は会社概要に書いてある内容ではあるが、AIが導き出した最適解なのでこの対応で間違いない。
    「ありがとうございます」
    この会社は公開情報以上の情報を提供する気はないようだ。先週面接を受けた同業他社は非公開情報も提供してくれた。この差はマニュアルの制度によるものなのだろう。

    応募者のAIの評価、チェックリストの点数ともに申し分ない。上司からも『AI評価は内定』と判断していると聞いている。
    @応募者様
    「是非とも当社にてお力を発揮いただきたく存じます」
    応募者に内定通知メールを送った

    先日面接を受けた会社から内定通知が届いた。これで2社目の内定通知だ。世間で言われているように、今は求職者にとっては売り手市場なんだろうなと改めて思った。
    この会社は断ろう。同業他社の方が納得ができる回答だった。面接は互いのマニュアルの精度を比較する場だと思う。生成AIが作成した応募マニュアルは私の最適解であり、質疑応答のAI評価も同業他社の方が高かった。これは同業他社への入社が私の最適解だということなのだろうから。


    「依頼したマニュアル通りにすると、納期に間に合わなくなるんだけど、どうなってるんだ」
    「ご意見ありがとうございます。本マニュアルは御社からの仕様書に合わせて作成いたしました。本マニュアルは企画書作成のマニュアルとなっており、作成時間につきましても、仕様書の記載を抜けもれなく記載させていただいております」
    「仕様書には『緊急を要する納期を求められることもある』と明記したつもりだが?」
    「はい。この記載を受けて仕様書には『緊急を要する企画書作成の手順』も用意させていただきました。その手順で行っても納期に間に合わなくなるのでしょうか?」
    「企画書作成の途中で納期が前倒しになることは日常茶飯事なんだよ。この業界では当たり前の話だろ」
    「途中で納期が変わる場合は、『生成AIに記載のプロンプトを打ち込んで最適解の手順に修正する』とマニュアルに記載しておりますが、その手順は遵守しておられますでしょうか。
    「納期が迫っている状況下ではその対応が困難なので、通常業務のマニュアルの手順をできるだけ早く進めるよう残業で対応している」
    「それはマニュアル通りの運用を行っていないと受け取ってもよろしいのでしょうか。この場合、当局への報告が必要となってまいります」
    「わかりました。マニュアル運用の徹底に努めるようにします」

    この手のクレームが入ることがまれにある。話を聞くと、ほとんどの事例がこのように法律違反となるマニュアル運用の不備が原因と考えられる。マニュアルは最強プロンプトで作成した最適解なので、マニュアルの不備はあり得ない。マニュアルに準じた業務遂行の指導、これが徹底されなければ、マニュアルの恩恵を得ることはできない。臨機応変という前時代の考え方を捨てなければ、このマニュアル時代を生き抜くことはできない。

    最適解が手元にあるのに、それに従わない人の気持ちが私にはわからない。

    マニュアル法改正

    「経済指標の予測値と現状が大きく乖離している現状はどう分析していますか?」
    「マニュアルを活用した業務効率の改善度が低いことが乖離を生んでいるという回答です」
    「マニュアル化ができていないのでしょうか。マニュアルは92.8%の企業が導入済みという結果と矛盾するという回答なのですが、いかがですか?」
    「はい、導入率は高いのですが、マニュアル対応ができていない業務が多く、全業務のマニュアルカバー率は50.7%しかありません。加えてマニュアル遵守率も79.8%となっており、社員の意識向上も課題という回答です」
    「マニュアルを日々の生活に根付かせることが重要との最適解が示されました。業界団体はどのような対応をしていますか」
    「多くの業界団体は各企業のマニュアル対応についてのガイドラインを作成して積極的に指導していますが、マニュアル化が困難な業務については十分な指導ができていないとの回答です」
    「改正法は『全業務へマニュアル化徹底』を最重要項目にすべきとの最適解が示されました」
    「こちらでも同様の回答となりました。マニュアル通り、本会議の議事録をプロンプトに追加して改正法案に反映させます」


    「ただいまよりお笑いコンテストの優勝インタビューを始めます。おめでとうございます。勝因はやはりプロンプトですか?」
    「ありがとうございます。とても光栄です。工夫に工夫を重ねたプロンプトで作ったネタをガイドラインの許すギリギリまでアレンジしたのが今日の漫才です」
    「それはつまり、あの、マニュアルを逸脱したということでしょうか」
    「いえ、マニュアルに沿ってネタを作成し、それにアレンジを加えました」
    「びっくりしました。そうですよね。マニュアルは絶対ですもんね。失礼しました。本日はとても面白いネタでした。ありがとうございました」

    ちょっと待って。インタビューを見ながらSNSを開いてみた。
    「あいつ、絶対やってるな」
    「捜査入るかもね」
    「マニュアルを守れないやつに生きる価値はない」
    「あーあ、全国放送でいっちゃった」
    「あの芸人好きだったのに、違法行為してたんだ、ショック」
    すでに書き込みであふれかえっていた。確かにあの発言は疑惑を招いてもおかしくない。精査しなければいけないと思わせるには十分な発言だった。明日からまた自称お笑い評論家たちの餌食になるんだろうな。


    「速報です。先日のお笑いグランプリの優勝が取り消されました。主催者によると重大な法令違反が発覚したことがその理由とのことです」
    「本日はお笑い評論家の先生にお越しいただいております。先生は今回の措置をどうみていますか」
    「主催者としては当然の対応だと思います。私は独自のルートで元優勝者が作ったネタを入手して、実際のライブ映像との差をAI鑑定した結果、一致率は58.9%でした」
    「基準はどのようになっているのですか」
    「お笑いはネタをそのまま披露するのが基本ですが、噛んだりすることもあるのでガイドラインでは15%までの不一致は許容しています。今回はそれを大きく上回っているので、故意でアドリブを入れた疑いが持たれています」
    「元ネタ自体はガイドラインの範囲内だったのでしょうか?」
    「そこも微妙です。ガイドラインではマニュアル通りに作成できない場合はAIで作成することを容認していますが、AIの元ネタの修正は全体の10%以下とされています。元ネタは私は入手できていないのですが、重大な法令違反と主催者が言っていると言う事は、ネタ作りの段階から遵守していない可能性もあります」
    「なぜガイドラインでは最適解であるAI作成のネタの修正を容認しているのですか」
    「ここが難しいところです。作曲家や陶芸家などもそうなのですがAIが生み出したものは最適解になってしまうので、この分野の創作は敢えて最適解にならないようにしてあるという噂もあります。つまり最適解を導き出せないとその作品は完成しないように作られているため修正を容認していると見られています。

    SNSを開くと、また沢山のコメントがあふれていた。
    「やっぱり確信犯だったか、バレないと思ったのかな」
    「でも優勝したってことはAIの最適解より面白いネタが書けるってこと」
      →「AIより面白い事が書けるわけないだろ」
      →「お前も犯罪者だな、名を名乗れ」
      →「そもそもマニュアル法違反なんだよ」
    「全国民に謝罪すべきだな」
    「もう見たくないから引退してくれないかな」
    「あいつの裏アカはここです。レッツゴー」


    「速報です。先日のお笑いコンテストが芸能界引退を発表しました。これから会見が始まります。
    「この度は私の軽率な行動で国民の皆様および関係者の皆様に多大なるご迷惑をおかけいたしまして申し訳ございませんでした。私は本日をもって芸能界を引退いたします」
    「今回のネタはどのようにして作られたのですか」
    「捜査への影響があるためお答えいたしかねます」
    「説明責任を果たしていないとも受け取れますがいかがですか」
    「事前に提出いただいた質問以外にはお答えいたしかねます」
    「国民の納得が得られないまま引退されることについてはどうお考えですか」
    「これまで応援してくださった方々にこのような決断をすることになってしまい申し訳ない気持ちでいっぱいです」

    「本日もお笑い評論家の先生にお越しいただいております。まずはこの会見をどう思いますか」
    「謝罪会見マニュアル」や「引退会見マニュアル」に準じた正しい会見だと思います。また引退という選択も「不祥事対応マニュアル」に記載のある正しい責任の取り方だと思います」
    「しかしこの会見では説明責任を果たしていないと言われてもしかたがないとも思えますが、その辺りはいかがですか」
    「捜査への影響を考慮したマニュアル通りの対応なので仕方がないと思います。御覧いただいている方々もマニュアル対応に則った会見なのでご容赦いただけるのではないかと考えています。不祥事対応マニュアルには『捜査への影響がなくなり次第、事実を公表することができる』とあります。
    このため本人からの説明は元優勝者の個人用AIがどう判断するかにかかっていると思います」
    「いまや、個人でも自分用AIで判断する時代ですからね。コメントありがとうございました。

    SNSでこれを見た人たちの反応を確認してみた。
    「何のための会見だったんだ」
    「しまった、謝罪会見マニュアルを見とけばよかった」
    「記者はもっと突っ込んだ質問を事前に提出しておけよ」
    「私も自分用AIに何でも聞いてるよ」
      →「私も。あれ無しでは生きていけない」
        →「そうそう、私も」
        →「AIの最適解なしでは生きていけないよね」
        →「私は自分用生き方マニュアルを作ってもらった。便利だよ」
    「お笑い評論家の回答マニュアルはこちら。一致率はさすがの93.8%」


    「次のニュースです。市長選挙ではマニュアル法の是非が争点になっています。まずは与党の推薦候補の街頭演説です」
    「私はマニュアル活用の推進こそがみなさんの幸福につながる最適解と考えています。昨今話題になっているお笑いコンテストの不正にもあるように、マニュアルを用いない創作には再現性がなく、属人化による個の才覚による創作という非効率な時代への逆戻りにもつながりかねません。マニュアル活用による効率化は直接的には効率化による生産性向上がコストダウンを生み出し、経済活性化につながっていきます。間接的には統一した手順による経済活動は企業格差をなくし、どの企業もマニュアルが示す最適解を平等に生産することが可能になります。みなさまの一票でマニュアル化をさらに推進させていこうではありませんか。私にその役を担わせてください」

    「これに対し野党系の候補はこのような主張で対抗しています」
    「マニュアル厳格化が議論されていますが、みなさんよく考えてみてください。先日のお笑いコンテストの例はまさに『出る杭は打たれる』というマニュアル化の危険性が露呈した事例ではないでしょうか。マニュアル活用による効率化によって多様性という言葉は死語になってしまうのではないでしょうか。人間の判断がなくなると言うことは人の個性だけでなく感情までなくなってしまうのではないでしょうか。この国はどうなっていくのでしょうか。マニュアル活用の臨機応変な対応を私に担わせていただけませんでしょうか」

    「市長選挙の争点はマニュアル法改訂となっています。政治評論家の先生はどう見ていますか」
    「はい。最近の世論調査では与党系が65.3%、野党系が25.1%の支持率となっています。与党系の圧倒的な支持率の背景はこの演説でも語られていますが、未来への展望を明確に示している点にあると思います。一方、野党系候補の演説は批判と危険性を訴えているだけで将来像が描けていないところがやや弱く感じられます」
    「投票は来週日曜日となります。この市長選は法改正にも大きな影響を与えると考えられていますので、最新情報を引き続き放送していきます」

    「速報です。市長選は与党系議員が得票率82.2%で圧勝しました」
    ・・・
    「賛成多数にて『改正手順書等の作成および活用に関する法律』を可決します。

    マニュアル法定着


    「次はノックをしますので、自分のポジションについてください」
    「はい」
    少年野球のコーチは法人ではないが、親御さんからの希望を受けて私もマニュアルを代行業者に作ってもらった。マニュアル通りに指導することで、子供たちの技術力は飛躍的に向上した。
    子供たちのポジションはマニュアルに従って生成AIに最適解を出してもらっている。適材適所のポジションを選んでいることも技術向上の理由だと思う。子供たちも日々の上達が実感できるから楽しいと言っているし、親御さんからも喜ばれている。これが最適解だったんだろうと思う。
    子供達には足が速い子もいれば速い球を投げられる子もいる。この能力を伸ばすことができればよりよいチームを作ることができるが、マニュアルにはこのような能力のある子に向けた指導手順は記載されていない。むしろ能力が低い子供たちの能力向上方法に重きを置かれていて、剛速球を投げる子供の球速をさらに高めるという記載はない。あらゆる能力にKPIが設けられていて、それをクリアしたら『習得』とみなして、それ以上伸ばすという非効率よりもKPIに達していない能力を高めるというマニュアルになっている。少しもったいない気もしているが、学校の指導要綱にも個性を伸ばすことは属人化へのリスクファクターと記載されていると聞いている。逆にどの子を試合に出しても同じように活躍してくれるチームにはなっていて、足が速い子は苦手だったバッティングが上達しているし、速い球を投げられる子はボールを取るのがとてもうまくなった。
    マニュアルとはエースで4番といった前時代の属人化したチームではなく、組織として強いチームを作ると言うことなのだろう。属人化しているチームはその子が怪我をしたら一気に弱くなってしまうが、うちのチームはみんなで助け合うことで一定のチーム力を維持することができる素晴らしいチームになっている。次の大会が楽しみだ。
    プロの世界でも球団ごとのマニュアルを廃止してプロ野球機構が作成した共通マニュアルに基づいて選手の強化を行う時代になった。これまでのように連覇するチームや圧倒的なゲーム差で優勝するチームはなくなってきた。常に接戦になることが多いので、野球人気が再加熱している。うちのチームも入団希望者が増え続けている。これがマニュアル化の成果だと思う。
    法改正の恩恵は経済だけでなくスポーツや文化の世界にも好影響を与えている。最近は個人用マニュアルをきっかけに入団してくる子供も増えてきた。

    人生の最適解に従った人生を送るという素晴らしい世界がついに実現したんだろう。そんなことを考えながらAIに指示された場所に向けてボールを打ち込んだ。


    「ありがとうございました」
    閉店時間はとっくに過ぎているのに、まだあと10人くらい並んでいる。インフルエンサーはフォロワーを呼ぶとは思っていたが、そのフォロワーは新たなインフルエンサーやそのフォロワーを呼ぶらしい。その結果、この店は「並んでも食べたいラーメン100選」に選ばれるくらいの大盛況店になった。スープレシピをマニュアル化したことで、安定した味のラーメンを提供できるようになった。マニュアル化によって2号店、3号店も出店することができた。どの店も大盛況なので、今は4号店の出店も考えている。

    「適正マニュアル監視委員の者ですが、この店のマニュアルをご確認させていただけませんでしょうか」
    閉店準備をしていると、スーツ姿の方が2人入ってきた。
    「どうぞ」
    法改正を受けてスープだけでなくラーメンの調理方法もマニュアル化してある。SNSに監視委員の確認は非常に厳しいと書かれていたが、やましいところは何もないから断る理由もない。
    監視委員が確認している間に明日の仕込みをしていた。監視委員の一人が近づいてきて、私に質問してきた。
    「本店だけ味が違うという指摘をどう思われますか」
    「スープはその日の天候や混み具合によって最適解となるスープに調整しています。系列店も同様な調整をマニュアルに明記してありますが、その最適解はどうしても感覚に頼らざるを得ない側面があるため、日によっては味が異なるという印象を受けることもあるかも知れません」
    「それはマニュアル化できているといえるのでしょうか。詳しくお話をお伺いしたいので、同行願います」
    監視委員によると、料理人の舌に頼った最適解のスープという考え方が属人化にあたるため『マニュアル化された業務』とは言えないという。再現性のない手順をマニュアルに記載することは法令違反になる恐れがあるらしい。マニュアルを変更するまで営業停止との通達を受けた。

    翌日は臨時休業にしてAIと最適解を検討していた。AIは『スープを調整しない事が最適解』との回答をしてきた。最適解なので断腸の思いでスープ調整の手順を削除したマニュアル作成をAIに依頼した。
    マニュアル作成を待つ間にSNSを見るとこのような書き込みで埋め尽くされていた。
    「あの店、違法行為をしていたらしいよ」
    「あのスープには中毒性のある成分が入っていたらしいよ」
      →だからあんなに流行ってたんだ、こわっ
      →あの店長って何か顔が怖かったよね
      →あの店の周りに得体のしれない草が生えてたらしいよ
    「もうあのスープ飲めなくなるのかな、好きだったんだけどな」
      →私は医師ですが、依存症の恐れがありますので受診を提案します
      →おまわりさん、ここに薬物中毒者がいますよ
    「店長はなぜ黙っている。納得いく説明をすべきだ」
    「マニュアルを守らないでラーメンを出すなんて言語道断だ」
    予想通り、ある事ない事書いてある。この世界にはスキャンダルには悪意のある書き込みをしなければいけない、というマニュアルがあるのだろうか。

    翌日から営業を始めた。
    客足はほとんどなかったが、電話が鳴りやまず公式SNSも誹謗中傷のメッセージであふれかえっていた。店の味を広めてくれたインフルエンサーが来店し、この惨状をライブ配信していた。頼んだラーメンを一口も食べずに。
    味が落ちたという書き込みもとても多かったが、その書き込み数は来店した客の数の10倍はあったと思う。
    その翌日には多くの従業員から退職願が出された。すべて受理した。電話対応の負荷を下げるため本店以外は臨時休業にした。

    1週間後には廃業届を提出した。
    スープを天候に合わせて調整するという料理人の本能が否定されたことが廃業の一番の理由だった。
    これからは誰かのためではなく全員のためになる仕事をしよう。誰かのためにカスタマイズすることはこの法律がある限り許されないから。


    マニュアルの作成依頼は法改正後にさらに増えている。今やマニュアル作成代行業は急成長産業の一つになっている。個人事業として始めたこの仕事も今では千人を超える従業員を抱える大企業に成長し、私はマニュアル作成業の第一人者と評価され、政府や業界団体のガイドラインの編集委員も務めている。思い切ってコールセンターを辞めてよかったと心から思っている。
    マニュアルは生成AIに作らせている企業もまだ多いが、当局の審査を通過させるためには複数回の修正が必要になっている。今はマニュアル使用許諾が得られなければ業務を始める事ができないが、ガイドラインを作成している私が最強プロンプトでマニュアルを作れば、当局からの差し戻しを受けることはない。当局の審査マニュアルを作ったのは私たちだから。
    最近は法人だけではなく、個人からのマニュアル作成依頼も増えてきた。最適な人生を送るための人生マニュアルに沿って幸せに生きたいと願う方からの作成依頼が後を絶たない。ただ、この人生マニュアルには課題がある。
    今は希望する将来像を達成するためのマニュアルを作成しているが、その方の遺伝子情報などをAIでシミュレーションすると希望する将来像を達成することが困難な方や結果的に短命で終わってしまう方などが散見される。
    これは最適解な人生とは言えない。その方の最適解な人生は遺伝子情報からAIが示してくれる。その人生を歩むためのマニュアルこそが最適解の人生マニュアルになると考えている。

    「先日生まれてきた子供を弁護士にしたいので人生最適化マニュアルを作ってください」
    最近はこのような依頼が殺到している。
    「承知しました。お子さんの髪の毛を一本送ってください。遺伝子解析を行って、その結果をもとに人生最適化マニュアルを作成します」
    翌日、依頼者から髪の毛が送られてきたので、AI解析をかけるために遺伝子情報を読み取った。昨年から導入したこの装置は一台数億円する機械だからわが社のような資本力の高い会社しか導入することはできない。
    AI解析の結果が出たので依頼者に連絡をした。
    「遺伝子解析の結果が出ました。大変申し上げにくいのですが、お子さんが弁護士になるためには様々なKPIをクリアしなければならず、そのためにはお子さんに多くの負荷がかかる恐れがございます。例えば小学校入学時に必要なIQを得る確率は60%となっており、この確率を95%までに上げるためには家庭教師などの追加対応が必要となって参ります」
    「その分析結果は、つまりはこの子が弁護士になることは最適解ではないと言う意味なのでしょうか」
    「残念ながらお子さんの遺伝子から考えますと、芸能の世界に入られることが最適解との結果が示されていて、特にアイドルの素養が高いとの結果が出ています。最適解は18歳でデビューし、20代で卒業しタレントとして人気者の人生を送ることとの結果が示されています。」
    「わかりました。この子の最適解がアイドルなのであれば、その道に進むための最適マニュアルの作成をお願いします」

    こうしてわが社では遺伝子情報をもとにした人生最適化マニュアルの作成業務を始めることにした。


    「なんでやねん。どうもありがとうございました」

    お笑いコンテストの最終組の漫才が終わった。このお笑いコンテストは例の優勝取り消し騒動以降は、事前に提出された元ネタと実演との一致度が観客に公開されるシステムに変わった。AI分析による速報値がスクリーンに表示されている。このコンビの一致度は89.6%だった。2組目の一致度94.5%には到底及ばない。やはり元ネタをどれだけ再現性高く演じられるかが面白さの決め手になると思った。AIが作った最適解ネタを演じられなければ面白くなるはずがない。例の芸人はどうやってAIよりも良いネタを作ったのだろうか。

    「だれに投票する?」
    「私は2組目が最適解だと思うね。ネタの再現性が高かったしね」
    「そうだよね。みんなの笑うタイミングも一緒だったしね」
    「うん。みんなと違う人に投票したら私の最適解が異常と思われてしまうしね」
    「去年のあの人みたいにSNSで叩かれるのは嫌だよね」
    去年も優勝したコンビが圧勝した。ただその得票率が90%を下回っていた。
    全てのコンビにはその関係者や家族が来場しているから得票率が0になることはないが、去年は2位のコンビが8.5%という高い支持を獲得していた。SNSでは翌日から犯人探しが始まった。優勝者以外に投票するということは間違えた最適解を持つ危険思想の持主だと大きく話題になった。2位のコンビに投票したと特定された人はSNSで徹底的に叩かれていた。
    「だよね。じゃあ2組目に投票だね」

    「今年は93.2%の得票率で2組目のお笑いコンビが優勝しました」
    「やべ」と後ろから聞こえた。違う人に投票したのだろう。スマホを鏡代わりにして後ろを確認して席を特定した。SNSに投稿しちゃおっかな」

    テレビでぼんやりとお笑いコンテストを見ていた。私の優勝が剥奪されて以降、決勝進出者のほぼAIが作ったままネタを手直しせずに演じているとわかった。ネタ作りをしていたプロの目で見るとはっきりわかる。AIのネタは確かに素材の質や完成度は高い。だがきれいすぎる。平均的な笑いを取ることはできても革新的な尖ったネタを作ることはできない。そもそもお笑いのネタはオリジナリティで勝負するから面白いのであって、マニュアルに沿って作ったネタが面白い訳がない。今年もネタの面白さよりも元ネタの再現性が高いコンビが優勝するんだろうな。
    このコンテストは私が目指していた笑いとはどんどん離れていくんだろうな。すでにお笑いコンテストというよりもマニュアル遵守コンテストになっていることにどれだけの人が気付いているのだろうか。もしかしたら尖ったネタよりもネタの再現度を競う方が面白いと世間は考えているのだろうか。もうこの世界に私が戻る場所はなくなったってことなんだろうな。
    ただ、希望もあった。最終組のネタはある意味挑戦的だったと思う。私の中では優勝者はこの最終組のコンビだ。他のネタや一致率からこのままでは勝てないと判断したんだろうと思う。そこで自分が用意した最適解のネタに手を加え、爆発的な尖った笑いを狙ったんだと思う。最適解という予定調和に身をゆだねず、最適解を最高のネタと考えない人がまだ残っていたんだ、とちょっとうれしくなった。
    私が優勝を剥奪されたネタも同じだった。私の前に出ていたコンビにはこのままでは勝てないと考えて即興でネタをアレンジした。AIが作ったネタは素材が高かったので、自己最高傑作のアレンジを加えることができた。結果、爆発的な笑いを得た。
    この最終組のコンビはどうするんだろう。プロンプトを改善してネタを強化するのだろうか、規定値ギリギリまでのアレンジを加えてオリジナリティを加えるのだろうか。来年が楽しみだ。


    「みんなー。今日は会いに来てくれてありがとう」
    「ありがとう」
    20,000人のファンが一斉に手を振りながら声を揃えて返してきた。今日は特にみんなの声やしぐさが揃っている。今日みたいな最高のお客さんの前でライブができることは本当にうれしい。
    ファンのみんなも私たちが最高のパフォーマンスをしたことを喜んでくれているだろう。今日はメンバーのマニュアル一致度は98.4%だったとアンコール前に報告を受けた。
    「また会おうねー」
    「またねー」
    また20,000人の声の塊が私たちに降り注いだ。

    楽屋ではファンクラブマニュアルと今日の観客との一致度が算出されていた。驚異の95.7%だった。ここまでの一致度に出会えることはあまりない。私たちの一致度の高さが観客の一致度を牽引したとの分析結果がでていた。私たちが頑張れば、ファンのみんなのパフォーマンスが上がることが改めてわかった。みんながひとつになれたことに充実感を覚えた。
    ライブの一致度は昨日より1%上がっている。AI演出家は全国ツアーの最終日には99%の一致度というKPIを示しているので、それに向けて組まれたマニュアルに沿って準備をしていこう。

    私はアイドルになるために生まれてきたと母が言っていた。両親は私に弁護士への道を用意しようとしていたらしい。でも遺伝子の最適解はアイドルだったため、アイドルになるための人生最適化マニュアルを用意したと話してくれた。私が今あるのは間違いなく両親のおかげだと思う。私にこんな充実した人生を送らせてくれた両親には感謝しかない。
    アイドルになるために私は様々なKPIを乗り越えてきた。幼稚園から小学校までは学芸会では必ずヒロイン役を演じてきたし、音楽やダンスの授業でも確実にKPIを達成してきた。遺伝子の資質と最適解の生活様式が揃えば誰でも最適解の生活ができる。今や最適解の人生を送るための人生最適化マニュアルを持っていない人は一人もいない。全ての人にその人にとっての最適解な人生設計が用意されている。他の誰かに奪われることも盗まれることもないその人固有の最適解をすべての人が持っている。競争で勝ち取る権利でもないし力で奪われる財産でもない。昔は略奪とか詐欺とか人のものを奪おうという犯罪があったらしいが、この世界からは犯罪と言う言葉はなくなりつつある。実際、私は誰かと争ったことはないし、喧嘩もしたことはない。

    今日のライブは最高だった。SNSで流れてきた情報では、アイドルグループの一致度と私たち観客の一致度はかなり高い水準だった。あの子たちのためにもマニュアル通りの声援や手拍子なんかをもっと頑張ろう。マニュアル通りに進んでいくライブほど楽しいものはない。
    私の人生最適化マニュアルにはライブ会場で運命の人に出会うと書いてあるけど、今日は最適な日ではなかったらしい。今日も出会いはなかった。来週のライブに期待しよう。
    私の最適解な人生は美容師として働きながら子供を3人育てていくことだ。今は運命の人と出会うというKPIの達成を目指している。アイドルになる遺伝子を持っていればよかったとは思わない。私は私の最適化人生に満足しているし、これ以外の生き方なんて考えたこともない。推し活は最適解のパートナーを見つけるために最適な趣味だから、それを全力で楽しんでいる自分がいい。推される側とは全く違う楽しさがあるから。
    今はどの業界も効率化による生産性向上で好景気になっている。私たちの業界も同様なのでこのアイドルグループの推し活資金は十分に手元にある。今は誰もお金のことは気にしていない。効率化は生活費のコストダウンにもつながっているというAIの未来予測通りになっている。
    誰もが自分がすべきことのみに集中して生きている。理想の世界が実現できたんだと思う。
    こんなことを考えながら歩いていたら後ろから声をかけられた。
    「ハンカチ落としましたよ」
    「あ、すみません。ありがとうございます」
    あ、この人だ。遺伝子レベルでピンと来た。相手の方も驚いたような目で見ている。この方も同じことを感じているのかもしれない。
    人生最適化マニュアルはいつも私に最適解を教えてくれる。

    改訂マニュアル法の世界

    「この薬には眠くなる成分が入っているので、車の運転などには注意してください」
    「眠くなりにくい薬はありませんか」
    「それでしたらこちらの薬はいかがでしょう。眠くなる作用が弱い成分になっています。ただし、くしゃみを抑える効果が人によってはやや弱いこともあります」
    「私の場合はどうでしょうか。私の遺伝子手帳はこれです」
    「薬の効果は遺伝子情報通りの効果を発揮するとは限りません。どちらを優先するかでご判断いただいた方がよいと思います」
    「マニュアルにそう書いてあるんですか?」
    「これはマニュアルというよりも薬の不確実性のお話になります」
    「マニュアルに記載の案内をお願いします」
    「かしこまりました」

    またやってしまった。この世の中に副作用のない薬はない。特に一般薬は臨床試験をしているわけではないので、有効成分の情報で案内するしか方法はない。患者さんごとに病状や生活様式が違うから薬の説明をマニュアル化することなどできるはずはない。

    ドラッグストアの店長に呼び出された。
    「先程、お客様からマニュアル通りの説明をしない店員がいるとクレームが入りました。説明してください」
    「患者さんのご希望に沿った薬を紹介したところ、マニュアル通りの回答を求められました。申し訳ありませんでした」
    「マニュアルにはこの症状の方にはこの薬を勧めると書いてありますよね」
    「マニュアルに従って薬を勧めたら眠気の副作用の危惧を訴えられたので、抗ヒスタミン作用の弱い別の薬を提案しました」
    「それはマニュアル違反ですよね。眠気を抑えるより車の運転等を控えていただくべきでしたね」
    「しかしそれでは患者さんの求める薬を提供できなくなります」
    「あなたはまだマニュアルが遵守できていないようですね。再研修を受けてもらいます」

    今の時代は絶対におかしい。マニュアル通りに対応すればすべて最適解になると自負しすぎている。眠気を引き起こす抗ヒスタミン作用がどの程度その患者さんに影響を及ぼすかなど、わかるはずがない。この店長は薬の不確実性を知らないのだろうか。いまどきの薬学部では説明しないのだろうか。
    おそらく私の専門知識がこのマニュアル社会では属人化とされてしまうのだろう。薬とは無関係の仕事についた方が私にとっては最適解なのだろうか。


    「お届け先に必ず天気の話をするようにしている。マニュアルにない非効率な対応なのでほとんどの方には無視されるが、1週間に一人くらいは返事をしてくれる。我々のような前時代の日常に反応してくれる人がいることが救いになる。典型的なマニュアル業務を続けられる唯一の希望と思っている」
    人気ラーメン店の元店長がこんなことをつぶやいていた。
    「我々のような絶滅危惧種の希望になりますね」
    うれしくなって、こうつぶやいた。

    このチャットルームの名前は『限界集落』。マニュアル法が定着して以降、実際の限界集落という言葉は消滅した。農林水産業が最適解という遺伝子を持つ人たちが過疎地に住み始め、業務効率化により一つの村を丸々使って農業をする人まで出てきている。過疎が回復しないと分析されたエリアには官公庁の職員が住んでリモートワークで業務を行っている。人口も増加し始めている事から自然豊かな地域でリモートワークをすることが最適解という人生最適化マニュアルも増えてきたと聞いている。

    「私は今日は患者さんの希望に沿った薬を提案したらマニュアル対応していないって怒られた」
    臨機応変な対応は属人化だから最適解ではないのでしょうね。
    こうつぶやこうとしたら、はじかれてしまった。そうだった。臨機応変って言葉は個別対応や自主性という言葉と共に不適切な言葉に指定されたんだった。
    「林既往変な対応は属人化だから最適解ではないのでしょうね」
      →「林既往変(笑)」
      →「庫別多硫黄」とか「自守勢」とかもいるね」
      →「ww」
    「この前のお笑いコンテストもひどかったね」
    「私には全部同じネタに聞こえたよ。何ならオチまでわかったよ」
    「もうクリエイティブはないね」
    「音楽や映画もそうだよね。各局同じ内容になったから民営放送局は一社になってしまったしね。って、クリエイティブはまだ使っていいんだ」
    「うん。AIがクリエイティブな作業をしているからね」
    「なるほど」
    「ラーメン屋は一社にはなっていないけど、どこも同じ味だから、効率化という名目でテレビ局と同じ運命をたどるんだろうね」
    「確かに好きだった地酒もちょっとずつ味が変わって、他の地酒との違いがわからなくなってしまったからね」
    「ただ、その副産物がでかすぎるんだよね。経済成長率、貧困率、出生率、平均年齢、医療費、この辺が全てV字回復しているからね」
    「そうなんだよね。これは確かに『最適解』なのかもしれないよね」
    「ただ、最近よく思うのは、この国は民主主義国家の皮をかぶった全体主義国家になってしまったんだよね」
    「恐ろしい事に幸福度ランキングも全世界のトップクラスだしね」

    『限界集落』では夜な夜なこんな会話で盛り上がっている。このマニュアル法による思考停止に違和感を覚える同志のグループチャットが私の唯一の楽しみと言っても過言ではない。言論の自由は憲法に守られている。言論や思考の自由は業務効率化や生産性向上に悪影響を与えることがないとAIが判断したからとSNSで流れていた。ただ、これが就職先の企業にバレたら私は危険思考の持ち主というレッテルを貼られて退職に追い込まれるかもしれない。そのリスクを冒してでもこの同志とはつながっていたい。私が私でいられる唯一の場所だから。
    このチャットルームでは政府転覆とかデモと言った不穏な方向には進むことはない。ただただ心の洗濯のためだけにここに集まってきている。

    「でもね、その幸せのために失ったものはあまりにも大きい」
    このつぶやきにみんなが一斉に「いいね」をつけた。マニュアル通りでないこの全会一致こそが『最適解』なのではないだろうか。


    マニュアル法が施行されてから50年と報道されていた。この法律は最適解だったのだろう。当時の総理大臣の肖像画が紙幣になる日も近いとも言われている。
    この国の課題だった経済停滞や少子高齢化はこの50年で完全に解決した。今や誰もが効率化による生産性向上に成功し、豊かな生活をしている。もちろん経済格差などはない。この成功の原動力は間違いなく遺伝子検査による人生最適化マニュアルの定着だと思う。あの会社の創業者は教科書に載っている多くの偉人と肩を並べて尊敬される人物になるのだろう。

    前時代は個性や自主性という非効率なことが優先されていたと祖母から聞いたことがある。祖母は誇らしげに自分の工夫で成功した自慢話をよくしていた。祖母がそれで幸せだったのであればそれでいいとは思う。ただ、非効率が優先されていたら経済成長も人口増加もなかったのは当然だろうと思う。

    子供たちはゲームで遊んでいる。あと1時間ほどゲームを続けることが今日の最適な過ごし方だとAIスケジューラーが決めている。3人の子供たちはそれぞれ、プログラマー、公務員、家具職人になるという人生最適化マニュアルに沿って生きている。KPIもここまでは順調に進んでいるから安心だ。

    こんなことを考えていると妻が話しかけてきた。
    「今日も幸せな一日だったね」
    「そうだね。明日も明後日も幸せな日々が続いていくね」
    こう答えた。この最適解の答えそのものが幸せな人生だと思う。そもそも幸せという答え以外を私は持っていない。

    法令(原文)

    手順書等の作成および活用に関する法律

    (目的)
    第一条 この法律は、少子高齢化に伴う労働人口の減少により生ずる生産性の低下を、業務遂行の基準として定める手順書等の整備及び活用による業務効率化により未然に防止するとともに、すべての国民が手順書等に基づき提供されるサービスを全国いずれの地域においても享受することができる環境を確保し、もって社会経済情勢の変化に対応した健全な発展を通じて国民の幸福の増進に資することを目的とする。

    (定義)
    第二条 この法律において「手順書等」とは、業務の遂行に関し必要とされる手順、方法その他遵守すべき事項を記載した文書をいう。

    (法人の義務)
    第三条 法人は、あらゆる業務について手順書等を作成するよう努めなければならない。
    2 法人は、従業員に対し、手順書等に準じて業務を遂行するよう指導しなければならない。

    (業界団体の義務)
    第四条 業界団体は、会員が作成する手順書等の参考となる基準及び指針を定め、これを公表しなければならない。
    2 業界団体に属さない法人等は、関係行政機関等が公表する基準及び指針に準じた手順書等を作成するよう努めなければならない。

    (手順書等の代理作成)
    第5条 手順書等の作成が困難な法人は、関係行政機関等に対し手順書等の作成を依頼することができる。

    (専門機関の設置)
    第六条 政府は、手順書等の作成及び活用に関する調査、研究、支援その他必要な業務を行うため、関係行政機関の内部に専門の機関を置くものとする。

    (罰則)
    第七条 主務大臣は、法人が正当な理由なく手順書等の作成又は活用に努めないと認めるときは、当該法人に対し、必要な指導又は助言を行うことができる。
    2 前項の指導又は助言を受けてもなお改善が認められないときは、主務大臣は、当該法人に対し、勧告をすることができる。
    3 前二項の措置を経ても改善が認められないときは、主務大臣は、当該法人に対し、業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
    4 前項の命令に従わないときは、主務大臣は、当該法人に対する許認可その他の行政上の処分を取り消すことができる。

    附則
    政府は、この法律の施行後十年を目途として、手順書等の作成及び活用の状況を勘案し、この法律の規定について必要な見直しを行うものとする。

    改訂手順書等の作成および活用に関する法律

    (目的)
    第一条 この法律は、少子高齢化に伴う労働人口の減少により生ずる生産性の低下を、業務遂行の基準として定める手順書等の整備及び活用による業務効率化により未然に防止するとともに、すべての国民が手順書等に基づき提供されるサービスを全国いずれの地域においても享受することができる環境を確保し、もって社会経済情勢の変化に対応した健全な発展を通じて国民の幸福の増進に資することを目的とする。

    (定義)
    第二条 この法律において「手順書等」とは、業務の遂行に関し必要とされる手順、方法その他遵守すべき事項を記載した文書をいう。
    2 「手順書等」は目的達成のために必要な要件を満たさなければならない。

    (法人の義務)
    第三条 法人は、あらゆる業務について手順書等を作成するよう努めなければならない。
    2 法人は、従業員に対し、手順書等に準じて業務を遂行するよう指導しなければならない。

    (業界団体の義務)
    第四条 業界団体は、会員が作成する手順書等の参考となる基準及び指針を定め、これを公表しなければならない。
    2 業界団体に属さない法人等は、関係行政機関等が公表する基準及び指針に準じた手順書等を作成するよう努めなければならない。

    (手順書等の代理作成)
    第5条 手順書等の作成が困難な法人は、関係行政機関等に対し手順書等の作成を依頼することができる。

    (専門機関の設置)
    第六条 政府は、手順書等の作成及び活用に関する調査、研究、支援その他必要な業務を行うため、関係行政機関の内部に専門の機関(以下、「専門機関」という)を置くものとする。
    2 専門機関は各企業の手順書等を確認し、適正マニュアルの使用許可を与える。
    3 専門機関は、手順書等が第二条第二項に定める要件を満たしているか審査し、適合すると認めた場合には認証を与えることができる。

    (罰則)
    第七条 主務大臣は、法人が正当な理由なく手順書等の作成又は活用に努めないと認めるときは、当該法人に対し、必要な指導又は助言を行うことができる。
    2 前項の指導又は助言を受けてもなお改善が認められないときは、主務大臣は、当該法人に対し、勧告をすることができる。
    3 前二項の措置を経ても改善が認められないときは、主務大臣は、当該法人に対し、業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
    4 前項の命令に従わないときは、主務大臣は、当該法人に対する許認可その他の行政上の処分を取り消すことができる。

    附則
    政府は、この法律の施行後十年を目途として、手順書等の作成及び活用の状況を勘案し、この法律の規定について必要な見直しを行うものとする。

    #創作大賞2026 #ホラー小説部門

     
     
    Slow and Easy を私は「ぼちぼちいこか」と解釈しています このために日々考えていることやこのための工夫なんかをぼちぼちと書いています Xアカウント:Slow x Easy(@O2Ul8PFwAo99451)

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