
え?私の虫垂、スライスしてホルマリン漬けにしちゃったんですか?
ある日、お腹がとてつもなく痛くなった。
あきらかに生理痛ではなかった。
私は普段痛みに対して無頓着な方で、
「意識があって身体が動けばまあいいや」
くらいのスタンスである。
その私が、
「これは、これはただ事ではない…!」
と直感した。
ついでに
「これは、これは虫垂炎だ…!」
とも思った。いやぜったいそうだと確信した。
そのくらいあからさますぎる、
明らかな特徴を有した痛みだったのだ。
そこらへんは
ネットで調べりゃ出てくるから割愛ね。
なんとか仕事を終え、
色々あったが病院へたどり着き
速攻手術してもらうことになった。
やはり虫垂炎であった。
入院して、退院して、
退院後の初外来。
オナカキレイネーと褒められ、
無事受診も卒業のはこびとなったのだが。
私はずっと気になっていたことがある。
「先生。切った虫垂って見せてもらえませんか?」
…。
入院中、カーテンの隙間から
最長5秒くらいしか
会話したことのなかった先生。
ゆっくりと、諭すように、穏やかに、口を開いた。
「今ね、〇さんの虫垂、こう…輪切りに、スライスして、ホルマリン漬けにしてあるから、見せられないんだよね。」
虫垂。
わたしと苦楽を共にしてきた虫垂。
お前、
レモンみたいな最期を迎えとったんか。
先生の説明する時の手つき、
あきらかにレモン切ってたもん。
といことで、
一目会うことすら叶わず、私は病院を後にした。
さよなら、私の虫垂。
より良い医学の発展を祈ります。
タン塩と共に。