悠久の契り――ラプラスの指環 4Days/Day1
ラプラスの指環 4Days
MC:ユウ
本物かどうか分からない。
だからこそ、誰も簡単には捨てられない。
棚から落ちてきた本
『金環の黄昏――ニーベルング四夜抄』を探しに、「ゆめの堂」へ来た。
目当ての一冊は、思ったよりあっさり見つかった。
背表紙に指をかけて引き抜く。
すると、隣の本が一緒についてきて、平棚の上へ落ちた。
「……ん?」
拾い上げる。
『ラプラスの指環』。
知らないタイトルだった。
帯を見る。
ニーベルング×明治維新!?
ワーグナーはこの物語を想像したのだろうか。
「……想像してないでしょ」
だいぶイタイ。
戻そうとして、著者名を見る。
黒戸 聖。
「……あ」
手元の『金環の黄昏』を見る。
もう一度、『ラプラスの指環』を見る。
同じ名前だった。
「…………」
しばらく唸った。
結局、二冊ともレジへ持っていった。
こういうのは、たぶん負けたっていうんだと思う。
ラプラスの指環
著:黒戸聖
第一幕 御証
1868年春|出雲・神門家
座敷には数枚の地図が広げられていた。
会津。仙台。盛岡。
その脇には、フランス語で書かれた書状と新式銃の部品が置かれている。
神門猛彦は届いたばかりの書状を読み終えると、畳の上へ放った。
「仙台は動く」
向かいの男が地図を見る。
「会津は」
「動かざるを得ん」
「南部は?」
「まだだ」
猛彦は盛岡のあたりへ指を置いた。
「だが、薩長だけで国の形を決められるよりはましだと思っとる」
床の間近くには、古い箱が置かれていた。
中にあるのは一通の古証文。出雲の国譲りの際、国津側の領分と祭祀を守ることを約したものだと、神門家に伝えられてきた。
人はそれを、御証と呼んだ。
本物だと証明した者はいない。偽物だと断じ切った者もいない。
「御証を、本当に出すんですか」
男の視線が箱へ向く。
「出さん」
「では、何のために」
「あると知らせる」
「国を取り戻すおつもりですか」
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