遠き日の立体魔法|第4話 お土産|第二章 見えない座標
Laed:アイ
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見えているつもりだった。見られていることには、気づいていなかった。
二〇〇五年、八月二十二日。山梨県・勝沼町。
バスを降りた時、私は期待していたのかもしれない。
チームが一つになることを。
けれど、合宿初日の町営体育館で黒田先生が言ったのは、もっと現実的なことだった。
「四日しかない。全部直そうとするな。今できることの中で、何が通用して、何が通用しないのか。自分の身体で覚えろ」
体育館を一面使えるだけで、いつもの半面練習とは音の広がりが違った。
奈緒は先輩と重なる球へ少しずつ早く声を出す。梓は横へ追いついたあと、遅れていた両手を前へ出そうとする。佳奈とのコンビはまだ噛み合わなかったが、合わなければ本人から「もう一本」と要求するようになった。
真希は相変わらず、疲れてから妙に器用だった。
一度給水を挟んだあと、理奈がボールを持って奈緒を呼んだ。
「奈緒、ちょっと受けて」
「はい」
理奈はエンドラインへ下がり、同じサーブを繰り返した。
「どう?」
奈緒は転がってきたボールを拾った。
「……とても、上げやすいです」
「はぁ……あれはまぐれか? まぐれなのか」
「いえ」
奈緒が少し考える。
「十回に一回くらいだったのが、七回に一回くらい、おかしな挙動になります」
「それ、上達って言っていい?」
「たぶん」
理奈は納得していない顔で、次のボールを持った。
初日から、それぞれに試すものがあった。
美里は二枚のブロックを相手にしていた。正面に二枚が揃うと、二歩目にほんの少し間ができる。それでも跳び、高いトスを打ち切った。ボールは拾われる。
「もう一本!」
六月の県立体育館で、右手を見たまま止まっていた美里とは違った。治ったわけではない。でも、止まったままでもなかった。
*
二〇〇五年、八月二十三日。
県立西峰高校の体育館へ入ると、昨日までとは空気が違った。
壁際に並ぶボールかご。揃った練習着。壁際にボールかごが並び、コート脇には何人もの選手が控えていた。西峰は県大会ベスト四の常連だった。
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