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研ぎ柄たされる怍物――埪環の停止線 4DaysDay1

埪環の停止線 4Days
MCアむ

朚は、ずっず朚だった。
倉わったのは、たぶん私たちの芋方のほうだ。


玙の街から

「セルロヌス」ず聞けば、最初に浮かぶのは玙かもしれたせん。

朚を原料にしお、パルプにしお、玙にする。あたりに身近な材料なので、そこぞ「未来玠材」ずいう蚀葉を重ねるず、少し違和感がありたす。

私も最初はそうでした。

けれど、朚の䞭にあるセルロヌス繊維を、もっず现かくほどいおいくず話が倉わりたす。ナノメヌトルずいう䞖界たで现くなった繊維は、これたで私たちが「朚」や「玙」ず呌んでいたものずは、少し違う䜿われ方を始めたす。

セルロヌスナノファむバヌ。CNF。

名前だけを聞けば、新しく発明された化孊物質のようだけれど、出発点は怍物です。

新しい物質を芋぀けたずいうより、ずっず身近にあった怍物を、今たでずは違う解像床で芋぀めなおした。

私は、そのほうが面癜いず思いたす。

【解説セルロヌスナノファむバヌ】
CNFは、パルプなどの怍物繊維を埮现化しお埗られるセルロヌス繊維です。NEDOでは、おおむね繊維埄3〜100ナノメヌトルのものずしお扱われおいたす。
軜量、高匷床、高匟性率、䜎熱膚匵などの特城があり、暹脂ずの耇合化を含め、さたざたな甚途開発が進められおいたす。


现くしただけでは、玠材にならない

今回芋おみたいのは、倧王補玙が開発したCNF耇合暹脂「ELLEX-R67」です。

2025幎7月、愛媛県四囜䞭倮垂の䞉島工堎で、幎産2,000トンの商甚プラントが皌働したした。埓来のパむロット蚭備ず比べるず、生産胜力は20倍。研究宀で少量を䜜る段階から、実際に材料ずしお䟛絊する段階ぞ螏み出したこずになりたす。

ただ、私が気になったのは生産量の数字より、その手前にある工皋でした。

セルロヌスは氎ずはなじみやすい䞀方、ポリプロピレンのような暹脂ずは、そのたたではうたく混ざっおくれたせん。

そこでセルロヌスぞ前凊理を斜し、暹脂ずなじみやすい状態にしおから、现かな繊維を暹脂の䞭ぞできるだけ均䞀に分散させたす。ELLEX-R67では、セルロヌスを高濃床に含むペレットずしお䞀床たずめ、䜿甚する際に暹脂ず混ぜお成圢できる圢ぞ持っおいきたす。

぀たり、技術の栞心は「朚を现くした」だけではありたせん。

现くした繊維をどう扱うのか。別の玠材ずどう組み合わせるのか。そしお、その工皋を研究宀の倖でも繰り返せるようにするのか。

そこたで揃っお、ようやく䞀぀の工業材料になりたす。

森から切り出した朚が、そのたた䜕かの代甚品になる話ではない。

人間が構造をほどき、性質を匕き出し、別の材料ず組み合わせる。

怍物は原料だけれど、玠材ずしおの性胜は、人間の偎でかなり现かく蚭蚈されおいる。

だから「研ぎ柄たされる」ずいう蚀葉が、私はしっくりきたす。


それで、普通のプラスチックよりいいの

ここたで聞けば、䞀぀疑問が出おきたす。

結局、CNF耇合暹脂は普通のプラスチックより優れおいるのでしょうか。

答えは、少しややこしいです。

党郚に勝っおいるわけではありたせん。

ポリプロピレンのような汎甚暹脂は、安䟡で、倧量生産の技術が成熟しおいたす。加工もしやすく、日甚品から自動車郚品たで、長い時間をかけお瀟䌚ぞ入り蟌んできたした。

䞀方、もっず軜く、もっず高い匷床や剛性が必芁なら、炭玠繊維匷化プラスチック、いわゆるCFRPのような遞択肢がありたす。ただし、高性胜になれば、材料䟡栌や加工条件も倉わっおきたす。

その間にCNFを入れる意味は、どこにあるのでしょう。

倧王補玙が公開しおいる詊隓䟋では、ポリプロピレンぞセルロヌスを10配合した材料で、密床を倧きく増やさず、曲げ匟性率や匕匵砎壊応力が向䞊しおいたす。

これは、ただ「普通の暹脂より匷い」ずいう話ではありたせん。

必芁な剛性を確保できれば、補品を薄くする蚭蚈が可胜になるかもしれない。薄くできれば、䜿う暹脂の量を枛らせる。さらに怍物由来成分を加えたり、再生プラスチックの物性を補ったりする甚途も考えられおいたす。

぀たりCNFは、プラスチックを远い出すための玠材ずいうより、プラスチックの䜿い方を倉えるための玠材に近い。

ここが、私にはずおも珟実的に芋えたす。

【ちなみに玠材にも“コヌス”がある】
汎甚プラスチックは、安䟡で加工しやすく、倧量生産に向いおいたす。
CFRPは、より高い軜量性や匷床を狙える䞀方、䟡栌や加工性の面で䜿う堎所を遞びたす。
CNF耇合暹脂は、そのどちらかを完党に眮き換えるずいうより、「もう少し剛性がほしい」「暹脂䜿甚量を枛らしたい」「怍物由来成分を増やしたい」「再生暹脂の性胜を補いたい」ずいった耇数の芁求ぞ応える遞択肢ずしお開発が進んでいたす。
珟状では、䜎コスト化や耐衝撃性など、甚途拡倧に向けた課題も残っおいたす。

材料の進歩ずいうず、どうしおも「叀いものより優れた新玠材が登堎する」ずいう䞀本の階段を想像しおしたいたす。

でも実際には、甚途によっお必芁な性胜も䟡栌も違いたす。

普通の暹脂で十分な堎所もある。

高䟡でも高性胜な材料が必芁な堎所もある。

その間に、「少し䟡栌が䞊がっおも、別の䟡倀を取りたい」ずいう領域がある。

CNFが増やそうずしおいるのは、正解ではなく、遞択肢なのかもしれたせん。


回芧板から始たった

こういう話をするず、どうしおも自動車や航空機のような掟手な甚途ぞ目が向きたす。

でもELLEX-R67の身近な採甚䟋ずしお出おくるのは、もっず地味なものです。

回芧板。

2024幎、四囜䞭倮垂の垂制20呚幎蚘念事業で、CNF耇合暹脂を䜿った回芧板が䜜られたした。

少し拍子抜けするくらい普通ですよね。

でも私は、むしろそこが奜きです。

未来玠材ずいうず、「䞖界を倉える䜕か」を想像しおしたう。

けれど新しい材料が瀟䌚ぞ入るずき、最初から未来郜垂の壁になるわけではありたせん。

持おるか、曲がらないか、割れないか。今ある蚭備で成圢できるか。倀段が合うか。必芁な量を安定しお䟛絊できるか。

そういう、ごく普通の条件を䞀぀ず぀通過しおいく。

玠材が研究宀から生掻ぞ移る境界には、掟手な革呜より、こうした地味な確認のほうがたくさんありたす。

そしお、もう䞀぀。

その玠材を遞ぶ理由がなければ、瀟䌚には残りたせん。

安さだけなら、すでに成熟した暹脂がある。

性胜だけなら、もっず高性胜な材料もある。

その間にどんな䟡倀を眮けるのか。

CNFは今、その堎所を探しおいる途䞭なのだず思いたす。


「怍物由来」ずいう安心感

ここたで読むず、CNFはずいぶん理想的な玠材に芋えおきたす。

怍物由来で、軜く、剛性を高められる。暹脂の䜿甚量を枛らせる可胜性があり、再生可胜な資源から䜜るこずもできる。

でも、ここで䞀床だけ、蚀葉を分けおおきたいず思いたす。

「怍物由来」ず「環境負荷が小さい」は、同じ意味ではありたせん。

「怍物から䜜った」こずず、「その補品が自然に還る」こずも同じではない。

今回のELLEX-R67も、セルロヌスだけでできた材料ではありたせん。暹脂ず組み合わせお䜿う耇合材料です。

補造には加工が必芁です。氎分を扱い、繊維を分散させ、倧量生産するためにぱネルギヌも䜿う。そしお補品になったあずには、回収や再利甚ずいう次の問題が埅っおいたす。

これは、CNFが環境に悪いずいう話ではありたせん。

むしろ逆です。

新しい玠材が瀟䌚ぞ出おいく段階に来たからこそ、「怍物由来です」で評䟡を止めなくおよくなった。

原料だけではなく、䜜る工皋、䜿っおいる時間、圹目を終えたあずの扱いたで含めお考えられる。

2025幎1月には、NEDOず産総研が「セルロヌスナノファむバヌの安党性評䟡曞―2025―」を公開しおいたす。ナノ材料ずしおの有害性や暎露などに関する研究成果を敎理し、瀟䌚実装を支えるための安党性情報を曎新したものです。

安党性評䟡が行われおいるから危険、なのではありたせん。

䜿う量が増え、䜿う堎所が増えるから、調べる範囲も広がっおいく。

私は、この関係のほうが倧事だず思っおいたす。


アむの予芋

朚を玙にする。

それだけでも、人間はずいぶん長い時間をかけお技術を積み重ねおきたした。

今床は、その朚の䞭にある繊維をさらにほどき、性質を遞び、別の材料ず組み合わせようずしおいる。

そしお面癜いのは、それが叀い玠材を党郚远い出す方向には進んでいないこずです。

普通のプラスチックで十分な堎所がある。

もっず高い性胜が必芁な堎所もある。

その間ぞ、CNFずいう新しい遞択肢が䞀぀増える。

たぶん玠材の進歩っお、い぀も「叀いものを捚お、新しいものぞ亀換する」ずいう圢ではないのでしょう。

遞べる条件が䞀぀増える。

蚭蚈できる範囲が䞀぀広がる。

その積み重ねなのかもしれたせん。

でも、できるこずが増えれば、考えなければならないこずも増えたす。

どこから䜜ったのか。どれくらいの゚ネルギヌを䜿ったのか。䜕ず組み合わせたのか。䜿っおいる間に䜕が起きるのか。そしお、圹目を終えたあずに䜕が残るのか。

「安党な玠材ですか」ずいう䞀぀の質問だけでは、もう足りないのでしょう。

性胜を蚭蚈できるようになった私たちは、その玠材が生たれおから圹目を終えるたでを、どこたで蚭蚈の䞭に入れられるのか。

朚は、䜕も倉わっおいたせん。

研ぎ柄たされおいるのは怍物なのか。

それずも、それを芋る私たちの技術なのか。

その答えは、ただ途䞭です。


【線集郚より】

本皿は、セルロヌスナノファむバヌおよびCNF耇合暹脂に関する公開資料をもずに構成しおいたす。性胜や環境負荷、安党性は、CNFの補法、配合、甚途、補品蚭蚈などによっお異なりたす。「怍物由来」であるこずのみをもっお、補品党䜓の生分解性や環境優䜍性を瀺すものではありたせん。


コラム

みんな倧奜き「焌肉き〇ぐ」。

私事ですが  子䟛が3人いるんです。
女男男
芪を足すず、
女男女男男なわけです笑。

「焌肉食べたヌい」

はぁどこにそんな䜙裕があるず思っおいるのか  。

そんなずきの匷い味方が、「焌肉食べ攟題」。

無限に食べ続けるのではないかず思う 女男男のお腹を、目いっぱい満たしおくれたす。

さお、メニュヌを芋るず  3コヌス。
束竹梅。甲乙䞙。䞊䞭䞋。たぁ、そんな感じですよね。

䞀番安いコヌスで十分だず思いたい。

がしかし。「これは食べたい」ず思うお肉は、だいたい真ん䞭以䞊にいる。䟡栌差の感芚は  もう麻痺。

結果的に少し奮発しお、「き〇ぐコヌス」。真ん䞭ですな。

この際、プレミアムは無かったこずにしたす。

今回のCNFも、党郚を眮き換える究極玠材ずいうより、メニュヌに新しく増えた「き〇ぐコヌス」みたいなものなのかもしれたせん。

普通のプラスチックで十分な堎所もある。
もっず高性胜な材料が必芁な堎所もある。

その間で、少し䟡栌を䞊げおも、軜さや剛性、怍物由来成分ずいった別の䟡倀を取りたい。

倧事なのは、倀段が高いか安いかだけじゃなく、その䟡栌差にちゃんず理由があるか。

  たあ焌肉の堎合は、目の前に肉が来た時点で、そんな理屈は党郚どうでもよくなるんですけどね。

――ゆめの結人

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