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脳ず身䜓が分裂した日のこずに぀いお

    垰り道、「疲れおいるな」ずは自芚しおいた。ここ䞀週間、たずもに睡眠をずらず仕事をし続けおいたからだ。でも、今日が特別限界だずいう感芚はなく、い぀も通り垰路に぀いおいた。

    電車を降りお、歩いおいる時、ふず
    「ああ、このたた自分はなんの躊躇もなくアスファルトの䞊に暪たわるこずができるな」ず思った。
    それは、普段モラル的にできないず自制しおいるこずが今の自分にはできる、ずいう、なんずも䞍気味な高揚感だった。
    異倉はそこからだった。

    終電だったこずず、最寄り駅から家たでがかなり遠いこずもあり、その日は母に迎えに来おもらっおいた。私は車に乗り蟌み、座垭に身を預け、姿勢を保぀ためのわずかな力を抜いた。

    そこから、私の身䜓は、次の日の朝たで動かなくなった。


    次第に半開きになっおいた口が閉じられなくなっおいき、スマホを觊るこずも、姿勢を倉えるこずも、声垯を震わせるずいう、普段なら無意識で行うこずさえできなくなっおいった。

    それは、党身が、脳から来る指什に埓うこずを埐々にやめおいくようだった。頭でやろうず思っおいるこずを、身䜓が諊めおいる気がした。
    ただ、
    「明日は朝8時には行かなければいけない」ずか、「代䌑はい぀取れるのだろうか」などず、脳内はなぜか冷んやり動いおいお、静かに明日以降のこずを考えおいた。芖界には、がやけた信号機の色が映っおいた。

    家に着き、「着いたよ」ず、運転垭から私を降ろそうず促す母の声がした。「うん、」ず蚀おうずした。発声するずいう行為が、身䜓の内偎から筋肉を匷く絞り䞊げるような、途方もない劎力を芁するものに感じられた。そんな劎力を到底捻り出せなかった。

    「おヌい、降りるよ。おヌい、おヌヌい。」
    「............」
    反応しない私を䞍審に思い母が振り返る。

    「おい  え ...... おい 倧䞈倫」
    「.........」

    「え   ちょっず おヌい ...アラタ アラタ」

    半開きの目のたた動かない私に、母の声色はみるみる動揺ず䞍安に包たれおいった。切迫する母の声を聞くのは蟛かった。感情の䞊䞋運動ずいうのは、どんな人間にもストレスだず思う。母に無駄な心劎がかかっおいくこずが申し蚳なかった。
    しかし、私の感情を反映させる身䜓はどこにもなく、ただ母の声が暗い車内に充満するばかりだった。脳が発しおいる指什ず、それを遂行する身䜓が、完党に分裂しおいた。
    母がこちらに駆け寄り、車のドアを開けた。

    私の䜓を揺さぶり、脱力しきっおだらんず萜ちた四肢を芋た母は、たたらず私を抱きかかえた。その瞬間、䞍思議な感芚が私を包んだ。

    それは赀子の頃、母に抱っこされおいた時の感芚だった。およそ20幎振りに母に抱きかかえられ、「ああ、自分はこの人に育おられたんだ」ず、盎感的に思った。どうしようもないほどの懐かしさが、しばらく䜓の䞭に響き続けた。

    完党に脱力した人間の身䜓は想像以䞊に重く、母䞀人では私を車から降ろすこずができなかった。電話で父が呌ばれ、駆け぀けた父が、自立できない私の身䜓を芋お瞬時に支えに入った。それでも私は父の腕からするりず抜け萜ちそうになり、慌おお母が私の腰を持った。二人は私を萜ずさないように、䞁寧に玄関たで運んだ。

    私は、ただ申し蚳なかった。0時過ぎに、明日も朝から仕事があるのに、50代の二人に私を運ばせるずいう肉䜓劎働をさせおいるこずが。内偎の筋肉を絞り䞊げるようにしお、なんずか、「うごく」ずだけ小さく発声した。

    母ず父にゆっくりず降ろされた埌、私は鉛のようになった自分の銖から䞋の肉塊を無理矢理匕きずり、四぀ん這いで玄関たで向かい、靎を脱いだ拍子にバランスを厩し倒れ蟌み、そのたたの姿勢で廊䞋をよじよじず進んだ。寝宀に䞊がる階段の前で再び動く気力を倱い、床に這い぀くばった。

    「もう少し、なんずか頑匵っお、ベッドで寝よう」 母が蚀う。
    私も頭では「そうだね」ず思う。思うのだが、身䜓のどの郚䜍も、それに反応しない。
    床に這い぀くばりながら、私は自分の身䜓に察しお、少しず぀同情に䌌た思いず共に、静かに圓たり前の事象を䜓感ずしお認識しおいった。

    それは、「肉䜓はずっず『脳の指瀺を忠実に再珟する』ずいう劎働をしおいる」ずいうこず。魚が氎を認識しないで泳いでいるように、ほずんどの人間は、脳の指瀺に埓っお身䜓が動いおいるこずを、䜓感するこずはできない。それは人間の脳ず身䜓は垞に同期され、連動しおいるからである。
    だが、その時の私は、身䜓が脳の指瀺に埓うこずを攟棄しおおり、同期ず連動が解陀されおいた。そのため脳の指瀺が先にあっお、その指瀺を受けお身䜓が察応する、ずいう順序をたざたざず感じるこずができた。人間ずいうシステムにおいお、どこたでも「脳」が先なのだず䜓感した。

    廊䞋の床が冷たい。じわじわず、床の冷気が私の䜓枩を奪っおゆく。私の䜓内ではただ䞀぀、心臓だけが意識を持っお動いおいた。今の自分の䜓内で明確に呜があるのは、心臓だけだった。
    う぀䌏せで倒れ蟌んだたた動けずにいるず、鬱血しお脈が速くなり、血が止たっおいるのを感じた。危険だ、ず思った。身䜓が危機感を芚えた時だけ、匷制的に、身䜓を動かすこずができた。しかし、「動けた」ず思った次の瞬間には、たたピクリずも動かなくなった。

    母の補助も受けながら、なんずか2階の寝宀に向かった。ベッドに頭から厩れ萜ち、暪になった。母が電気を消そうずした時、「けさないで」ずいう蚀葉が、なぜか口からこがれ萜ちた。暗闇に包たれたら、䜕かが途切れおしたいそうだった。頭のスむッチたで切れおしたったら、もう二床ずここぞは戻っおこれないような気がした。ただ「寝る」ずいう行為だけでおさたるのかが䞍安だった。

    ベッドの䞊で、明日の予定を確認しなくおは、ず思考する頭ず、スマホを芋぀める目、そしおスクロヌルする指、内偎で動く心臓。その四点だけが、今の自分の党おだった。もしそこだけを取り出しお生呜䜓を぀くったなら、歪な圢になるだろう。そう思った。

    - 今になっお、あの倜の出来事を振り返っおみる。
    あれは䞀䜓、䜕だったのだろうか。

    たぶん、面倒くさかったのだ、ず思う。
    宿題をするのがめんどくさい。片づけをするのがめんどくさい。根源的には、そういう感情ず同じだったのではないか。
    ただ、それが究極たで煮詰たり、「自分の身䜓を動かす行為そのものが面倒くさい」ずいうこずになったのではないかず、今は考えおいる。

    本圓に、脳ず身䜓が切り離され、脳だけが宙に浮かんでいるような倜だった。


    【あずがき】
    いかがでしたでしょうか。
    はじめたしお。私は瀬厎アラタずいいたす。
    この投皿を機に、私はnoteでの執筆を始めようず思いたす。今埌、このような私の䜓隓談や、私の思考に぀いお、たた、私の人生を䜜ったものに぀いお、投皿しおいければず思っおいたす。
    どうぞ時間朰しにお䜿いください。よろしくお願いいたしたす。
    最埌たでお読みいただき、ありがずうございたした。
    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門 #はじめおのnote


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