
時空を超えて‥‥小説(世流寝狐48)
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「係長、何か判ったんでしょうか」
大股で近づく。
「君が待ち焦がれていた水江の友人から電話があったんだよ」
合志はそれを聞くと、頭のてっぺんが熱くなった。
「これがそれだ、行って来い」
内野から差し出されたメモには、水江の居場所が書かれてあった。合志は頭の中にその住所をたたき込むと、左手でメモを握り潰したまま飛び出して行った。
三井の死を係長がどう解釈しようと、いや県警本部がどう判断しようと、この水江の事情聴取に賭けてみることにした。
7
外は湿気を含んだ雨が、音を発てずに街に均等に降り続いていた。冷たい雨だが、合志は車を使わず、傘を手に取り署を出た。考える時間が必要な気がしたからだ。
途中バスに揺られ、水江から聞き出すことを手帳に書き留めておいた。手帳を胸にしまうと、対向車に数台のパトカーと白バイを目にした。雨に通してみる町は、不穏の色を見せている。
数人の子供の列が幾つも見えた。これもあの三重町事件の影響だろう。街中の神経は、すべてそちらに研ぎ澄まされている。
しかし合志はその影で、毒猫事件が山の奥深く、小さな命が息づくように、ゆっくりだが確実に膨らみ始めている気がした。と同時に、その膨らみを一刻も早く、はっきりと捉えたいという思いと、それを拒む気持ちが入り交じっている自分にも気付いていた。もちろんその理由は知る由もない。
バスを降りたのは鉄輪の温泉街だった。この近くに水江がいるはずだ。時計の針は六時を回り、賑やかな通りを過ぎると急に暗くなる。この辺りが山手に位置しているためだ。
雨はみぞれに変わっていた。その中を尋ね歩く。時折強い横風に、合志は傘を持つ手に力を込める。
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*週末に少しずつ投稿する予定です。作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。