
時空を超えて‥‥小説(世流寝狐67)
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「はい、そうですが、何方様でしょうか」
「何だ、合志さん、良子です。どうしたのその声?」
合志は、良子と聞いて少し驚いた。
「風邪を引いて声が出ないんだよ」
「えっ何?」
「風邪を引いて声が出ないの」
どら声を張り上げた。
「風邪、あっそう。署に電話したら具合が悪そうだったと言うから。さっきも電話したのよ」
良子は、七時頃にも一度電話を入れていた。合志が電話に出なかったので心配になったのだろう。
「そう。そっちはどうなんだ」
寝起きだということもあって少しかったるそうに合志は話す。
「えっ、ああ大丈夫よ。私も風邪みたい」
良子は明るく応えた。
合志はあえて三井のことを口にしなかった。三井の死とその理由に相当のショックを受けてるはずだ。こうして電話を掛けてくることすら珍しいのだから。おそらく気を紛らすために、自分以外の者にも電話を掛けているだろう。
「それよりさ、三井さん本当に殺されたの?」
合志はいきなり聞かれ驚いた。良子の口から事件のことに触れてくるとは。
「合志さん、係長に言ってたじゃない。絶対他殺だって」
合志は長くなりそうだと、椅子を引き寄せて座った。
「うんまだ証拠は無いけど。三井があんなことで自殺するなんて考えられないからね」
受話器から、そうよねぇと大きく聞こえる。
良子にはそう応えたものの、内心毒物が検出されなかったことで、それまでの自信は少し薄らいでいた。
「だけどもし三井さんが自殺だったら、私にも責任があるわ」
今度は沈んだ声になった。式の時、冴子と二人で話したことを気にしているようだった。
「知らなかったんだからしょうがないさ」
合志は効力の無い言葉で良子を庇うが、自分自身も辛くなる。
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*週末に少しずつ投稿する予定です。作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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