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現場監督のコミュニケーション論。指示を出す前に「相手を知る」ことから始めよう


現場監督の主な業務に「職人さんへの指示出し」がある。しかし、勘違いしてはならないのは、現場監督は決して「職人さんの偉い上司」ではないということだ。
若手の頃、指示出しがうまくいかない現場監督の多くは、図面通りの正論を上から目線で押し付けてしまっていることが多い。「図面がこうなっているから、この通りにやってください」という言い方では、熟練の職人さんの心は動かないのだ。
僕が33年の現場経験で学んだコミュニケーションの真理は、「指示を出す前に、まず相手を知る」ということだ。
職人さんはそれぞれ、自分の仕事に強いプライドと美学を持っている。「なぜその施工方法を選ぶのか」「どうすれば綺麗に納まるか」を常に考えている。だからこそ、指示を出す側も相手の立場や技術に対するリスペクトを持たなければならない。
現場で何かトラブルや変更点が生じたとき、いきなり「こうしてください」と命令するのではなく、まずは職人さんの意見を聞くことから始める。
「親方、ここをこう納めたいと考えているんですが、現場のやりやすさから見てどう思われますか?」
このようにアプローチすると、職人さんは「お、この監督は俺たちのやりやすさも考えてくれているな」と感じ、プロとしてのアイデアを惜しみなく出してくれるようになる。相手を尊重し、対話を通じて同じゴールを目指す仲間として接することが大切なのだ。
また、相手の「人柄」を知ることも欠かせない。褒めて伸びるタイプなのか、論理的に説明した方が納得するタイプなのか。相手の性格に合わせて伝え方を変える柔軟性を持つことで、現場の雰囲気は格段に良くなる。
現場監督に必要なコミュニケーション力とは、上手に話すスピーチ力ではない。相手の言葉に耳を傾け、人柄を理解し、信頼関係を築く「傾聴力と観察力」なのだ。
これができれば、現場は一体となり、どんな困難な工事も乗り越えられる強いチームへと生まれ変わる。

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