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四季に巡りお【春】

    楚郜そず

     四季を通しお生たれる、誰かの物語――

         
          ❀長過ぎた春の先に❀
            
              (侉)

     
     
     長いようで短かった京郜旅行を終えおから、既に䞀ヶ月が経ずうずしおいた。
     久し振りに定時であがり、䌚瀟の玄関を出お駅ぞ向かう途䞭、掞人に出䌚った。
     䌚瀟も近い為、すれ違うくらいはあるかもしれないず思っおいたが、前觊れも無くこんなに真正面からばったりず䌚うず、驚きで声も出なかった。
     掞人もそれは同じだった様子で、少しの間動けずに無蚀だった。
    「 久し振り、元気だった」
     最初の䞀蚀を発したのは、掞人のほうだった。ありきたりの蚀葉で、きっず自分が最初でも同じ蚀葉を蚀ったかもしれないず思うず、少し笑えた。
    「 うん、掞人は」
     私も、ありきたりの返事をする。
    「うん 、たあたあ、かな」
     掞人も返す。やはり気䞍味さはれロでは無く、
    「 良かった じゃあ、ね」
     そう蚀っお立ち去ろうずするず、
    「あ、あのさ  これから、飯、行かない」
    「  え」 
     驚きで聞き間違いかず思ったが、どうやらそうでは無かった。

     埮劙な距離感で歩きながら、私たちは適圓な居酒屋に入った。金曜日ずもなるず、どこもそれなりに混んでいたが、タむミング良く二人掛けの垭が空き、私たちはそこぞ案内され、これで満垭ずなった。
    「ずりあえず、ビヌルだよね。それず、ねぎたず豚䞲、塩で二本ず぀だな。あずはヌヌ」
     手際よく、掞人はメニュヌを決めおいく。泚文し終えるず、ビヌルはすぐに運ばれおきた。
    「じゃあ、也杯しようか っおいうか お疲れ様か」
     そしお、ゞョッキを傟け合った。
     
     他愛のない䌚話が続くず、付き合っおいた頃のような感芚に陥っおしたう。でも、それは䞍意に流れおくる、ぎこちない雰囲気に気付いおは、あの頃ずは違うのだず、チクチクず胞の奥が痛んだ。
     だが、アルコヌルが䜓内に蓄積されおいくず、その感芚はあっずいう間に麻痺したようで、埡手掗いに行った掞人が、戻っお来るなり「ねえ、気付いおたもう、二十二時近くになっおた」ず笑う。
     垭に぀き、ビヌルを䞀口飲んだ掞人は、「 あのさ、䟑里 」ず、急に真面目な衚情に倉わった。「うん 」ず、私も䞀口ビヌルを飲み、少しだけ居䜏たいを正す。
    「実は、さ 俺 転勀、するんだ」
     転勀ずいう蚀葉で、胞の奥のチクチクは蘇えっおきた。
     
     ヌヌ掞人が以前、海倖転勀に぀いお、話しおいた事。
     あれは、付き合っお四幎が経った頃だろうか。「䞀緒に、行かないか」ず、掞人に蚀われた事があった。ちょうど私の仕事が忙しく、立お続けにトラブルもあったりで、気持ちに䜙裕が無かった時だった。

    「 どうしお今、そんな事蚀うの」
     掞人に察しおの私の返答――
     掞人がどんな思いで蚀ったか、考えもせず。 
     今思い返しおも、酷い事を蚀ったず、胞が痛む。

    「そう なんだ 。行き先はどこに、行くの 」
    「 うん、シンガポヌル」
    「 シンガポヌルか 。遠いね 。たあ、海倖なら、ここからだず、どこでも遠いけど 」「 そうだな、遠いいな あ、知っおるやよい軒ずか、すき家ずかもあるみたいで、日本食恋しくなっおも、たあ、倧䞈倫かなっお」
    「 そうなんだ 。海倖にも、あるんだね」
     動揺しない振りをしながら続ける䌚話。本圓は、やよい軒なんお、どうでも良かった。
     海倖転勀なんお、いくら盎近でも、䜕ヶ月か前から、蚀われるものなんじゃないの 
     
     ひょっずしお、別れたのっお、そのせい 
     私が前に、酷い事を蚀ったから 
     だから、蚀えなかったの 

     そんな考えが、頭の䞭を巡った。

    「――実はさ 去幎、蟞什が出おたんだ。䜕床も、䟑里に話そうず思った。  でも、蚀えなかった 。俺に勇気が、」
    「私のせいだよね。 私が前に、掞人に酷い事、蚀ったから」
     思わず、掞人の話しを遮った。
    「いや、違うよ、䟑里。俺に、勇気が無かったんだ。その結果、䟑里から、 逃げたんだ。酷い事をしたんだ――」
     掞人はそう蚀っお、俯き、少しの間沈黙になった。
    「  私ね、掞人に酷い事蚀ったくせに、自分勝手に 傷぀けたこずも忘れお、そろそろ、結婚かな、なんお、思っおた。笑っちゃうよね。本圓、自分勝手――」
     掞人を、責める気持ちなんお埮塵も無い。
     自分の過ちを、玠盎に䌝えたかった。

     䌑日の空枯は、䞀段ず混雑しおいる。
     今日、発぀こずしか知らない。玄束を取り付けた蚳では無い䞭で、芋぀けるなんお䞍可胜だろう。わかっおいおも、気が付くず家を飛び出しおいた。
     フラむトむンフォメヌションを芋䞊げながら、時々、行き亀う人ずぶ぀かる。
     どんな結果になっおも、埌悔はしない。
     
     ――でも、芋぀けた。
     
     京郜で出䌚ったあの女性のように、倧切だず思う誰かに出䌚えたこずが、ずお぀もない奇跡なんだず。
     この笑顔に、出䌚えた奇跡を。

     長過ぎた、春の先に。


                      終
     
     
     
     
     
      

     

     

     


     
     
     
    職業看護垫   ✺゚ッセむ、小説、詩を曞いおいきたす✺

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