メインコンテンツへスキップ
見出し画像
Photo byknhug1627x

宵の雪、晴れの空 (隠の王(宵壬) 二次創作 ショートショート #noteでBL)

     こんにちは! 今日は『隠なばりの王』という作品の二次小説を投稿します。直接の表現はありませんが、事後なのとセンシティブな表現が少しあるので、お読みになる方は12歳以上の方のみでお願いいたします。
     申し訳ないのですが、ご不快な方もそっ閉じでお願いいたしますm(__)m 原作をご存じなくても宵風よいてと壬晴みはるは仲がいいと分かっていればたぶん大丈夫です(適当)。

     宵の雪、晴れの空

     絶え間なく降る雪をぼうっと眺めていた。傍かたわらでもそり、と小さな塊が動く。

    「もう起きたの」
    「うん、ついさっき」
     壬晴みはるはまだ眠そうにしている。大きな瞳を半開きにして、また寝入ってしまいそうだった。そのあどけない顔をじっと見ていると、ふふ、と彼は笑みをこぼす。
     僕は首をかしげた。

    「宵風よいてとこんな風になれるなんて、思いもしなかった」
     そうか、と彼の頭を撫でる。サラサラとしてきれいな髪をしていた。彼は目を閉じて、手の感触を味わっているようだ。

    「きもちいい」
     まるで猫みたいだと思う。気まぐれでめったに人に懐かない。でもそう言ったら、君もだよと言われそうだ。
    「何か珍しいものでもあったの」
    「え?」
    「外を見ていたから」
    「雪が降ってる」
    「えっ⁈」
     彼は驚いたように窓を見る。

    「わあ…!すごい」
     ここはわりと暖かい気候で、めったに降らないから珍しいのだろう。
    「宵風よいて、寒くない?」
     大丈夫と言いかけて、くしゅんとくしゃみをした。

    「寒がりなんだから暖かくして」
    とシーツを掛けられる。その中で2人で見つめ合った。なんだかくすぐったい気がして、くすくすと笑い合う。
     ここは雪見の隠れ家の1つだ。壬晴みはるが卒業式の後に会いたいと言うので落ち合った。高校ももう決まっているらしい。
     羨うらやましい、という思いは心のどこかにある。それが顔に出ていたのか
    「雪見ゆきみさんに言ってみたら」
    と言われた。

    「うーん…そうだね」
    とだけ返す。

    「家に帰ってる?あんまりいないとヤンキーって言われるよ」
     その言葉が彼にそぐわない気がして、一瞬戸惑った。
    「僕はほとんど家に帰らないよ」
    「え、そうなの。じゃあそう思われてるかも」
     僕はうーんと考える。
    「君の思うヤンキーってどんな感じ」
    「…髪を染めてる。バイクの無免許運転、カツアゲ、学校へ行かない…とか」
     そうか、と僕は思う。
    「多分当てはまるのは半分くらい。学校へ行ってないのと、金銭は取らないけど命を奪ったりするから」
    「まあ僕らは忍びだからね」
    「でも、ヤンキーはスポブラはしないと思う」
     そう言うと、バッと胸を隠した。それは、薄い水色でスポーツ用といっても可愛らしいものだ。アンダー?に英語で何か書いてある。たぶん、そのブランド名なのかもしれない。

    「これは──君が喜ぶかなと。あと、僕はヤンキーじゃないし」
    と、頬を赤く染めている。
    「そんな事しなくたって、君は可愛いけど」
    「そうじゃなくて…」
    「?」
    「君は女の子の方がいいのかなって」
     そんな事を気にしてたのか。

    「壬晴みはる」
     僕は彼の名を呼ぶ。
    「君が男か女かなんて、どっちでもいいんだ。僕は壬晴だから好きになった」
     そう告げると、こちらをじっと見て瞳を潤ませた。
     どちらともなく顔を近づけて、唇に触れる。

    「ん…」
     彼は吐息を漏らす。口づけを重ねていると、次第に反応が緩慢かんまんになっていった。
    「まだ眠い?」
    「んん…」
     まぶたが閉じてしまって開けようとしない。そんな様子が可愛くて、少し意地悪したくなる。

    「ねえ、これ脱がしてもいい?」
    「ん…?」
    と夢うつつで聞く。
    「スポブラ」
     すると、あわててまた両手で隠そうとした。
    「…恥ずかしいってば」
    「僕に見せるために着けてくれたんじゃないの」
     そうだけど…と横を向く。
     その首筋にキスを落とした。

    「…あっ」
    「かわいい」
     僕はキスをだんだん下の方へ落としていく。そして、片方の肩ひもを外した。
    「やだ…」
     口づけを胸元にもしていく。
    「…ん、」
    と彼は声を漏らした。

    「宵風」
    「なに?」
    「したいの?」
     うーんと首をかしげる。
    「どうかな、」
     でも、壬晴とずっとこうしていたい。

    「怖い?」
    「そんな事…ないけど」
     目を逸そらしてつぶやく。けれど、彼は昨夜が初めてだったから、まだ戸惑いがあるのかもしれない。
     僕は彼をそっと抱きしめる。そして横に並んで寝ころがった。吐息がかかるくらいすぐ近くに、壬晴の顔がある。その大きな瞳をしばらく見つめていると、彼はふふ、と笑った。
     それを目にして、胸の奥がきゅっと痛む。

    「壬晴」
    「なに?」
    「卒業おめでとう」
    「…ありがとう」
    「何も用意してないけど──」
    「そんな事ないよ。
    君が一番のプレゼントだから」
     彼はそう言うと、僕の手の甲に優しくキスをした。

                    了 (1693字)


     なみさんのご厚意で、 #noteでBL の今月の3つのお題(卒入学式、ヤンキー、スポブラ)で二次創作を書かせていただきました🙏 なみさん、ありがとうございます✨

     他の方の同じ3つのお題の作品はこちらで読めます。よかったらどうぞ↓

     私の同じお題でもう1つの作品はこちら↓

     過去の作品のリンクは↑これの1番下にあります🖋️
     少しだけ『隠の王』の解説を──宵風と壬晴はお互いに思い合っています(たぶん、というかまずそこかよ!という)。この話の世界線では、宵風はピンピンしています。雪見は宵風の保護者のような存在です。頼れる大人!
     「隠の王」は忍びの者たちがバトルする話ですが、どちらかというと少女漫画です。Gファンタジーという雑誌で連載していました。こんな感じの絵柄です↓

     壬晴は森羅万象しんらばんしょうという万能の術が使え、宵風は気羅きら使いというかなり強い忍びです(その術の代償は自分の命)

     2人は敵対する勢力に属していましたが、宵風が壬晴の術を知り、自分に使ってほしいと頼みます。それは彼の心からの願いだったが──

    という話です。鎌谷先生の絵が美しくて話も面白く、アニメ化して知りましたがどっぷりはまって全巻揃えました。好きすぎて、作品中のキャラの名前を子ども達につけようとしたら、旦那に阻止されてしまった(似たような名前はつけた)

     アニメの放送中に、宵風がかなり酷い目に遭って自分も体調を崩してしまい、全く復調しないので
    「やばい…このままなにか不治の病にかかってどうかなっちゃうかも」と命の危険を感じたけど、単なる重い悪阻つわりでした(初めてだったのと妊娠しにくかったのでまさかと思っていた。あと病院へ行ったら「風邪でしょう」と言われた)。

     そんな思い入れ(?)のある作品です。雪見はそう言えば最推しが声をあてていました(ファンになる前なので気づいてなかった)
     雪見もいいキャラなので好きだったな…というか、みんないい味を出してるので箱推しです。
     今回検索していて知ったんですが、文化庁メディア芸術祭のマンガ部門で、審査委員会に推薦されたりもしたようですね(ちなみにこの年は「PLUTO」や「失踪日記」が受賞したらしい)
     まあそんな事を知らなくても、この作品(および宵風と壬晴の関係)は素晴らしいって事は分かってますが!()

     宵風は斎賀みつきさんがされていて(この方も好き) 壬晴は釘宮さんで、この年に声優アワードの主演女優賞を獲っていらっしゃいます。

     原作をできれば読んでほしいけど、とっかかりでアニメを見ていただいてもいいと思います!
     すみません、熱く語ってしまった…よかったら読んでみてください。これはアニメのOP↓ 雰囲気は分かると思います。「CRAWL」 VELTPUNCH

    #隠の王 #noteでBL #BL  #小説 #短編 #ショートショート

     
     
     

    時雨

     
     
    小説を書く人 魂の音を作品に BAYFMさんの it!! というラジオ番組で短編小説を朗読劇で放送 『タイトルから書く文芸賞』期待賞受賞  Amazonでショートショート集販売中🍎 『もしも僕がリンゴの木を植えなくても』 https://t.co/GsYlGhydx3

    あなたへのおすすめ