
冬の使者(#note文芸部大賞2025 エッセイ)
11月も半ばを過ぎると、道を歩けば白いフワフワと浮遊するものを見かける。それに出会うたび
「ああ、寒くなってきたな」
と思う。この動物は雪虫と呼ばれ、短歌の冬の季語にもなっているらしい。
初めて出会ったのはいつだったろうか。覚えていないが、30を過ぎてからだと思う。昔友人が
「雪虫がどうのこうの…」
と話していたのを、九州生まれの私は
「一体何の話をしているんだろう」
と首をかしげたものだった。
子どもが生まれてから、彼女が
「雪虫が好きだけど、つかまえるとすぐ死んじゃう」
と言ったり、学校の送り迎えで
「雪虫が飛んでるよ」
と差し、
「ほんとだね」
と言い合ったりして、その辺りから認識するようになった気がする。
先ほども彼女を送った帰りに彼らを見かけ、
「そろそろ雪が降るのかな」
とか
「あれからもう1年も経ったのか」
などと季節の変化を感じたり、今年を振り返ったりするようになっていた。
了