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【創作童話】メーソン教授とりすのチェリー⑤ (全10話)

    ①はこちらです♪


    メーソンは、しまりすと一緒に家に帰ると、さっそくスケッチブックをとり出しました。
    しまりすは、そこにどんぐりの絵を描きました。

    みごとなできばえです。

    山ほどのどんぐりは、1つ1つていねいにクレヨンで色をつけてありました。
    どれもかがやいて見えます。
    しまりすでなくても、思わず手にとってみたくなります。

    メーソンはうれしくなって、ニヤリと笑いました。

    「うまいじゃないか」
    「そうですか?いつも森の中でスケッチしているものですから。でも、ちょっとよくばって、たくさん描きすぎちゃいました。こんなにたくさんあって大丈夫ですか?この絵が本当に本物になるんですか?」
    しまりすは心配そうな顔で、メーソンに絵をわたしました。

    「まあ、よく見ていなさい」
    メーソンは、どんぐりの絵をコピー機を改造した機械にセットしました。

    その先には、電子レンジが2台、冷蔵庫が1台、1本のコードでつながれていました。
    このおかげで、あたたかい食べ物も、つめたい食べ物も出すことができるのです。

    その先には、大きなカゴがおいてあって、カゴの上には、ラッパの先のようなものがとりつけてありました。

    「ここから落ちてくるのかなぁ」
    しまりすがそう言いながら、ラッパの先をのぞきこむと、そこへ山ほどのどんぐりが落ちてきて、カゴの中はいっぱいになりました。

    「まぁ!すばらしい!あたしが思ったとおりのどんぐりの山だわ! 絵に描いたとおりにたくさんあるわ!」

    しまりすは、1つ1つ手にとってながめました。
    とても食べきれそうにありません。
    1度に、こんなにたくさんのどんぐりを見たのも初めてです。

    今すぐ、しまりすがこれを全部うちにもって帰って、兄さんたちに見せてやったら、どんなにおどろくことでしょう。

    けれどどんぐりは、しまりすの両手にかかえきれないほどたくさんありました。

    「全部もっていけなくて、ざんねんだわ。これを見たら兄さんたちだって、きっとあたしをバカにしなくなるはずよ。だって兄さんたちがとってきたどんぐりより、ずっときれいだし、たくさんあるんですもの」
    「ああ、そうだとも。ほかのどんぐりよりもずっと上等さ。おまえの言うとおり、もうバカにされることはない。こんな絵が描けるんだから、おまえはりこうだな」
    「りこうだなんて、そんな‥‥。メーソン教授には、かないませんよ」
    「メーソン教授だって?」

    「あら、ちがいましたか?こんなにすばらしい発明をされる方は、きっとえらい方だと思ったものですから」
    しまりすは、うたがうことなくニッコリ笑って、そう言うのです。

    すると、ついメーソンも、
    「おお、そうだとも。よく分かったね。オレは大学の教授をしているんだよ」
    と調子にのって、またでたらめを言いました。

    もちろん、教授なんかじゃありません。

    でもメーソンは、教授と呼ばれることがすっかり気に入ったようです。
    「大学でも、メーソン教授とよばれているんだ」
    自分から、そう言いだしました。

    「やはりそうでしたか、メーソン教授。あたしはしまりすのチェリーと言います。どうか、こちらのすばらしい発明品を使わせてください。そのお礼に、なにかお手伝いをさせていただきます」

    メーソンは、
    (しめた!)
    と思いました。

    これでしまりすのチェリーに、自分のほしいものの絵を描かせれば、メーソンはいつでも新しいものを手に入れることができるのです。

    食べ物でも、電化製品でも、家具でも、洋服でも!

    けれど、しまりす相手に頭を下げてたのむなんてことは、絶対にしたくないメーソンは、わざとうでをくみ、考えこむふりをしました。

    そして、
    (おまえに、なにができるんだ?)
    というように、まゆをしかめてチェリーを見ました。

    すると、チェリーがあわてて言いました。
    「メーソンさん!‥‥‥じゃなかった。メーソン教授。あたし、絵を描くことならできます。そうだわ。お礼に、あなたのために絵を描かせていただきます」

    「おお、そうか。おまえがそういうんなら、たのむとしよう」
    メーソンは答えました。

    そして、チェリーの見えないところで、ニヤリとしました。


    つづく

     
     
     
    40代の主婦。2006年に、童話「なんでも屋のみけねこ」を出版。2021年から、インスタと童話ブログで、絵本のあらすじと感想を紹介しています。

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