メインコンテンツへスキップ
見出し画像

戦国ロマン 浅野長吉 あとがき


    あとがき ── 天下を止めぬために

    歴史は、 派手な武功を好む。

    誰が討ち取ったか。 誰が裏切ったか。 誰が天下を取ったか。

    だが、 天下とは、 それだけで動いていたのだろうか。

    兵糧。 船。 道。 褒美。 不満。 そして、人。

    誰かが、 止まらぬように回し続けていた。

    目に見える武功とは違い、しかも当時の価値観の中では評価されづらく、孤独を抱えていたかもしれない。

    財務省、農水省、国交省等の複数の省庁の事務次官を兼任しているような、そんな状態だったのかもしれないし、そういう場所にいたのかもしれない。

    目立つことは少ない。 だが、 誰よりも多くの面倒事を抱えていた。

    そして何より、 人を見ていた。

    若い武将たちの熱も。 奉行衆の理も。 権大納言の器も。

    誰かを切り捨てるのではなく、 天下を止めぬように動かしていた。

    それは、 豪胆な武将とは違う。

    だが、 別の意味で、 胆の据わった男だったのかもしれない。

    「兄上」と慕う前田利家はそんな状況での清涼剤だったかもしれない。

    「兄上」

    その二文字だけが、 長吉をただの奉行で終わらせなかった気がしてい。



    画像



     
     
    北の地で飲食店を2軒営む傍ら、歴史小説やエッセイを執筆中。10年のレース生活後、バイクで北米・中米・カリブを巡った経験が創作の原点です。現在は「歴史・音楽・妻との時間」を軸に、理屈よりもその場の「温度・空気・匂い」が伝わるような、五感に響く文章を届けることを目指しています。

    あなたへのおすすめ