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星を継ぐものたちの航海日誌~お前たちは部下ではない、共犯者だ~ 007

記事タイトル:

「お客様の声」を聞くな。

価値とは商品の中にはない。「評価空間」という鏡の中にしかない

【導入:プロダクトアウトの亡霊】

「最高の製品を作れば、客はついてくる」。
もしあなたが本気でそう信じているなら、今すぐその信仰を捨てなさい。それは昭和の亡霊だ。あるいは、スティーブ・ジョブズ級の天才のみに許されたギャンブルだ。

多くの経営者は、自社製品のスペック(性能、機能、価格)を磨くことに血道を上げる。だが、これは数学的に言えば「ベクトル空間」の中だけで閉じこもって遊んでいるに過ぎない。
残酷な真実を言おう。あなたの商品の価値を決めるのは、あなたではない。あなたの製品という「ベクトル」が、市場という「関数」に入力されたときに弾き出される「出力値(スカラー)」だけが、唯一の真実なのだ。

【本論:鏡の世界を見よ】

商品は「実体」だが、価値は「写像」である。
例えば、あなたが「超高性能なFAX」を作ったとする。技術的には素晴らしいベクトルだ。しかし、市場という関数が「FAX=不要」という係数を持っていたら、出力される価値はゼロだ。逆に、なんてことのない「石ころ」でも、市場が「ペットロック」として愛玩する関数を持っていれば、無限の価値を生む。

三流の経営者は、石を磨く。
一流の経営者は、石を置く「場所(空間)」を変える。

マーケティングとは、製品を改良することではない。「あなたの製品を高く評価してくれる評価関数(双対空間)」を探し当てることだ。
女子高生にはガラクタに見えるものが、マニアには宝に見える。モノは変わっていない。変わったのは、それを評価する「物差し(関数)」の方だ。

「お客様の声を聞く」という行為は、しばしば間違いだ。顧客は自分の欲しいものを言語化できないからだ。
見るべきは、彼らの言葉ではなく、彼らが持っている「評価の構造(フィルター)」だ。彼らが何に金払い、何に興奮し、何を無視するか。その「変換ルール」そのものを解析せよ。

【結論:自分を定義するな、射影せよ】

自社の強みを「技術力」や「品質」と定義しているうちは二流だ。
強みとは、特定の市場(双対空間)に射影されたときに初めて現れる「影」のようなものだ。

だから、商品は完成させてはいけない。市場という鏡に映してみて、初めてその形がわかるのだ。
「良いもの」を作ろうとするな。「高く映る鏡」を探せ。あるいは、鏡そのものを歪めてしまえ。
それが、ブランディングという名の錬金術である。

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