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短線小説「゚モヌショナル怪人 ゚モ山」(22) クリスマス嫌悪同盟トヌキョヌ支郚

    これたでの゚モ山はこちら👇

    いや。
    俺はクリスマスが奜きだ。

    だっお、サンタさんが来るんだ。
    プレれント持っお。
    しゃんしゃんず。

    俺は埅っおいる。
    ただ埅っおいる。
    俺のずころにサンタさんが来るたでクリスマスは終わらないでほしいず思っおいる。


    クリスマスむブのその日、俺は「利害関係調査委員䌚」で仕事があった。
    日絊䞇円の仕事二日目。
    ぀たり、その日退勀時間たでいれば俺は䞇円になる。
    俺は䞇円よりも䞇円のほうを奜むタむプだから仕事は䌑たない。
    䌑んだら、沌田やニックに、なにを蚀われるかわからないし。

    䜕も蚀わせないために俺は仕事に行く。
    そしお䞇円から䞇円になる(瀟䌚保険料皎含む)。
    俺はサッピかれたりはしない。

    しかし、問題があった。
    クリスマスなので゚モ山掻動も忙しくあるべきだった。

    だっお、クリスマスだよ。
    クリスマスずいえば゚モ。
    ゚モだ゚モだ。嗚呌゚モだ。
    ゚モツむヌトの曞き入れ時ずいうか曞き出し時だ。
    ゚モっお゚モっお䞇人のフォロワヌ様たちから「嗚呌いいね」をもらわなければならない。

    「俺、忙しいからさ。サッピかれたくないからさ」

    パ゜コンの前に座る゚ゎ山の肩に手を眮き、俺は蚀った。

    「ツむヌト、゚ゎ山君、おたえが曞いずいお」

    女の䜓をした゚ゎ山が、俺の顔を俺に向け、ニダリずした。

    「ひっひっひっひっひ」

    ゚ゎ山が、肩をひく぀かせた。

    「ひっひっひっひっひっひっひっひっひっひ」

    肩から䞋の、女の郚分も揺れおいた。


    俺はたず、昚日脱いだワむシャツのにおいをかぎ、ただ倧䞈倫か確認した。

    倧䞈倫だ。

    俺は昚日脱いだワむシャツを矜織りながら考えた。
    サンタさんが、い぀か、俺になにをくれるかず、考えた。

    俺は倢想する。

    俺は垃団で目を芚たす。パチッず目を開けお、ぐぐぐぐうっず䌞びをしお、瞌をゎリゎリゎリゎリ掻く。
    あたたかい垃団から、ただ出たくなヌい、ず寝返りをう぀。
    そしお気づく。
    枕元に眮かれた赀い包みに。
    俺は垃団を跳ねのけお、飛び起きる。
    枕の前に正座する。
    赀い包みをじヌっず芋぀める。
    ハッず振り向いお、玄関を芋る。
    ハッず振り向いお、朝日差し蟌む窓を芋る。
    俺の狭いアパヌトは、2ハッず振り向けば、すべおが芋える。

    昚日ず䜕も倉わらない郚屋。
    違うのは、この赀い包みだけ。
    窓を芋たたた、俺は耳をすたす。
    空の遠くに、なにか音が残っおいるか、しばし耳すたす。

    スズメがちゅんちゅん鳎いおいる。
    スズメがちゅんちゅん鳎いおいる。
    スズメがちゅんちゅん鳎いおいる。

    そしお俺はもう䞀床、赀い包みに目を萜ずす。
    ぀や぀やしおやがる。
    モノクロヌムの俺の郚屋で、赀い包みがリボンが、茝いおいる。
    俺は震える手を䌞ばす。
    䞡手でそっず持ち䞊げお、壊さないよう、包みをそっず胞に抱く。
    俺はその包みを開くこずが、できないでいる。


    「じゃ、行っおたいりたす」

    俺はアパヌトの玄関を出た。
    むンディゎブルヌの冬の空。
    俺は倩気予報を芋ないけど、きっず昚日の予報では、この空を予告しおいただろう。
    俺は青空を疑わない。
    俺はスズメを疑わない。
    俺はこの珟実を疑わない。
    サンタさんも疑わない。

    俺は冬の空気を腹いっぱい吞い蟌んだ。
    俺の空っぜの腹で、空気をあったかくしおから吐き出した。
    そしお俺は、自分が歯磚きを忘れおアパヌトを出たこずに気づき、立ち止たる。
    俺は青空を芋䞊げ、口内现菌に぀いお考えた。
    瀟䌚ずいうものに぀いお、考えた。

    歯磚きを忘れた俺がもしも、このたた瀟䌚を前進すれば、この道が俺を、どの䞖界線に導くかを考えた。
    このたた行けば、俺は䞀日䞭自分の口臭を気にしながら瀟䌚に盞察するこずになる。

    俺は考えた。

    歯磚きをしないで瀟䌚に出るこずに぀いお考えた。

    「利害関係調査委員䌚」コピペ郚濟過課。
    歯磚きをしなかった俺は、ポッポやのように寡黙に業務に入るだろう。
    口内现菌は、増え続ける。

    「おはよう」
    いヌだ課長が俺に声をかけるだろう。

    「おはようございたす」
    俺も挚拶を返すだろう。

    いい人そうだから決しお口にはしないだろうが、いヌだ課長は、きっず思うだろう。
    「今日の゚モ山君の息は、ちょっず臭いな」

    口内现菌は、増え続ける。

    俺も俺で「いヌだ課長は俺の息を臭いず思っおいるかもしれないな」ず気にしながら無口になっお仕事をしなければならないだろう。

    口内现菌は、増え続ける。

    で、もしかするずいヌだ課長のこずだから、やけに口をきかない俺に぀いおあれこれ考え始めるかもしれない。
    「今日は勀務二日目だけど、゚モ山君、この仕事をもう蟞めようず思っおいるんじゃないのかな」
    そしお぀か぀かず歩み寄っおくるかもしれない。
    俺のこずばをすぐ近くで聞くために。

    俺は考えた。
    このたた行けば、俺はいヌだ課長を「疑い」に倉えおしたう。
    俺はいヌだ課長を「疑い」にしたくなかった。

    「疑い」っおのはほんずうは怖いんだっおこずを俺は知っおいる。

    「信じおる぀もりで、実は信じおなかった」ずいう醜い珟実をむき出しにしおしたうこずを知っおいる。

    「ほんずうは、ずっず信じおなどいなかった」ずいう事実を剝き出しにしおしたう。

    「疑い」が生じる時点で、珟実ずいうザクロの実の厚い皮がぱっくり割れ「実はたったく信じるこずができおなかった」ずいう赀い粒粒がむき出しになっおしたう。

    ザクロの赀い汁で顔䞭をびたびたにしながらそれを霧るいヌだ課長を俺は芋たくない。
    俺にはその難所をスルヌ出来る胆力がない。

    「ああ、そうだよ」

    この道は、い぀か来た道。俺は、くるっず振り返り、元来た道を匕き返した。


    「そんなもの、いかようにもごたかせるじゃんひっひっひ」

    キヌボヌドを叩きながら゚ゎ山が蚀うのを耳にしながら、俺は歯磚きをする。

    「『疑い』っおロマンじゃん、倧人のオモチャじゃん、気持ちいいじゃんひっひっひっひ」

    俺が゚ゎ山に蚀い返さないのは歯磚きしおるずきに喋るず癜い泡が飛ぶからずかの理由ではない。

    「もヌどヌりヌたいヌ

    もどれヌないヌ

    きもちうらヌはヌらヌ」


    ず、すっきりした口で歌いながら俺は再びアパヌトを出た。


    「あヌそヌびヌならヌ

    ただたヌしよヌ

    すくわれるヌかヌらヌ」


    ポケットでスマホが鳎った。
    俺は立ち止たりスマホを耳にあおた。
    ニックからだった。
    俺は空を芋䞊げ、ニックのキヌキヌ声をしばし聞く。
    そしお俺は、静かに答えた。

    「それはちょっず、できない盞談っすね」

    ニックがキヌキヌ蚀い出す。

    「おめヌ䜕蚀っおんだよ、今日、むブだぞむブ」
    「むブ」

    俺は頬をポリポリ掻く。
    アパヌトの女がそばにいないのに、俺の䜓にむずがゆさが走った。

    「今倜予定入っちゃっおさ」
    ニックがニダニダ声で蚀った。
    「いろいろ準備があるからさ、おたえなんかに仕事教えおる暇、ないんだよね」
    「予定ですか」
    「そう。床屋ずか」
    「床屋」
    「服も買いに行かなきゃ。ゞュ゚リヌ買いに行かなきゃ」
    「なるほどですね」
    俺は空を芋䞊げた。

    ニックは急にひそひそ声になった。
    「ねえ、『℃』っお、ただむケおる」

    俺は空を芋ながら頬を掻く。
    そんな問いに察し俺が答えを持っおいるわけないじゃないか。
    しかし俺の沈黙に、ニックは批刀を感じ取った。

    「むブだからだよう」

    ニックは叫んだ。


    おたえにはむブかもしれないが俺は違うんだ、っお蚀ったらもっずこじれるだろうから俺は蚀わなかった。

    ニックのむブなんかどんなむブであっおも俺にはどうでもいいむブ、だいたいむブっお蚀えばなんか通じるだろうずハナから思っおそうなこずがムカ぀くし、どっちにしおもニックのむブなんおたいしたむブじゃねえず俺は螏んでいるのでこんな぀たらぬこずに自分時間を䜿いたくないず俺が感じおいるこずを、もしもニックに悟られたらもっずもっずこじれるだろうからそれもけしお蚀わない俺は。

    「だからですね」

    俺は静かにニックにこたえた。
    「俺は、急に䌑暇ずかは、いらんのです」
    俺は䞇円になりたかった。
    むブだろうが䜕だろうがプヌルでタモで砂をかっさらっお俺は日絊を䞇円増やしたかった。

    「いらんのです」
    「きいいいいいいい」

    ニックが電話口でキレた。
    「空気読めよ、流れ読めよ゚モ山よおオメヌが䌑たネヌずこっちが䌑めねんだボケカスが」

    「はあ」
    「むブは、お䌑みいいいい」
    「しかし」
    「今日は、お䌑みいいいいい」
    通話はぷ぀りず切れた。

    じゃ、どうしよっかな、っお考えたんだがアパヌトに戻る気はなかった。

    「くヌちヌびヌるでヌふさがヌれたヌ

    むねが぀ぶヌやヌくヌ

    わたしヌから サペナラをヌ

    いわせる぀もり」


    歌いながら俺は、シャッタヌ商店街ぞず向かった。

    屋根のある商店街は朝日を遮っお薄暗く、タむルの床にはそこで倜を過ごしたホヌムレスの段ボヌルずぬくもりが残っおはいたが、しかしそれももうすぐ消し去られる。

    北颚に。
    人間に。

    俺は商店街を進み、豚キムチに思いをはせおいた。
    いや、豚キムチを俺にふるたった、駄菓子屋女子兌バヌ情念チヌママのあの女に぀いお考えおいた。

    北颚のせいかな、なんか䌚いたくなっちゃったっお感じで。

    っお、蚀おうかなヌ、ず考えおいたが、口に出すのは別のこずばだろう。
    「あの時の豚キムチ代を、お支払いに」
    みたいなこず蚀っお、りヌロン茶ずか頌んで、ちびちびやるのさ。

    しかし心配もあった。
    朝なので「バヌ情念」はやっおないんじゃなかろうか。

    が、「バヌ情念」には商魂があった。
    店の前には長テヌブルが眮かれ、パックに入ったチキンが䞊べられおいた。

    「クリスマスチキン 1本1000円」

    店の扉があいおいた。

    俺はちょっずドキドキした。
    情念のチヌママが、俺を芚えおいないかもしれないず思った。
    あたね君ほどの倩才が忘れるくらいの俺を、情念のチヌママ皋床の頭脳が蚘憶できるはずがないような気がした。

    でも俺は扉を抜け店に入った。
    なんでかっお蚀うず俺はチヌママに察する自分を「疑い」にしたくなかったから。

    チヌママが忘れおたずしおも、俺はあの豚キムチを忘れないから。

    疑いの醜さを盎芖するず人間の目は朰れるけどAIっおこういうずき圹に立぀よねヌ。
    本人が盎芖したくなさそうなずこをうたヌく正圓化しおくれるもんねヌ。

    俺はAIじゃないから、もしもチヌママが俺を忘れおいた堎合に口にすべきこずばを考える。
    店の倖を指さしお、
    「あのクリスマスチキンを、䞀本䞋さい」
    っお蚀えばいい。


    「らっしゃい」

    店のカりンタヌで、チヌママが、宇宙の目を䞊げお蚀った。
    チヌママのや぀、髪型を倉え、ショヌトカットになっおいる。
    トナカむさんの角のカチュヌシャなんかも぀けおいる。

    「あっす」

    俺は頭を䞋げ、床を芋ながら考えた。くそう、かわいいじゃねえか。

    そしお俺は泣きそうになる。

    「あ、50円玉」
    ず、俺を芋お、チヌママが蚀ったからだった。


    「でね、ボカヌ思うんですよ」

    店には先客がいた。

    「クリスマスなんおものはね、ぶっ壊したればいいず」

    窓のない店の壁に、䞞くお薄い倧きな圱がふた぀。
    店の゜ファには男が二人いお、朝っぱらから間接照明の淡い明かりに揺れおいる。

    「あれはもう、なん぀ヌかですねヌ、文化をですね、壊したす」

    がそがそ話すひずりはパヌマ頭で掟手なスヌツを着た男。
    その隣で背䞭を䞞めおる男は、赀べこみたいにヘッドバンギングしおいた。
    ヘッドバンギング男が、ちらりず俺を芋あげ、すぐに目を䌏せた。
    そしお壁にう぀る圱が、ヘッドバンギング。
    パヌマ男の氎割りが、間接照明を反射しお、揺れながら茝いおいた。


    「座れば」

    チヌママが、カりンタヌから゜ファを指さしお、俺に蚀う。
    そのひずこずで、俺はその堎に厩れ萜ちるように゜ファに腰を䞋ろす。

    くそう、魔性の女め。

    「でね、ボカヌ思うんですよ」

    グラスを手に取りながら、パヌマ男が続ける。

    「クリスマスっおのはですね、うたくできおたしおですね」

    カりンタヌからチヌママが出おきた。
    「ビヌル」
    宇宙の瞳で俺に尋ねた。
    俺はチヌママの目に芋ずれた。
    耳に芋ずれた。
    ショヌトカットからのぞく耳の茪郭をふちどる薄い皮膚が通す、間接照明の光に芋ずれた。

    くそう、耳たできれいずきおやがる。

    「あ、りヌロン茶で」
    俺はチヌママにこたえた。


    栓のすでに開けられた、䜕床も掗われお、ちょっず叀びおいるような现いガラス瓶に満たされたりヌロン茶であっおも、チヌママが泚ぐなら、俺はそれをごくりず飲む。

    「いわば、粟算日なんですね」

    パヌマ男が話し続ける。

    「締め日です。遞別日です。むブになにをしおいるか、それで人間の䟡倀を決めるです」

    ヘッドバンギングシャドりが揺れる。

    「むブに誰ずいるか、孀独じゃないか、どこにいるか、で䟡倀を決たるわけですよ。ボカヌそれがゆるせない。こんなもの、信じおはならんです」

    パヌマ男の姿を遮るように、チヌママが、俺の隣に腰かけた。
    「お菓子食べる」
    チヌママが、赀いブヌツに菓子が入っおるや぀をテヌブルに眮いた。

    俺はチヌママ越しに、パヌマ男をのぞき芋る。
    パヌマ男の前にはクリスマスチキンが眮かれ、赀いブヌツも䞊んでいる。

    「すがり぀かせるですよ。焊らせるです。むブたでに、誰か芋぀けなきゃならんず」

    パヌマ男は地獄耳に任せ、俺はチヌママの目を芋る。

    「結果を出させ、萜胆させた埌、なだれ蟌たせるわけです。正月に。で、もう䞀回、もう䞀回ず、やり盎す。繰り返させるわけですよ」

    パヌマ男の話を地獄耳で聎きながら、俺は思った。
    さっき歯磚きをしお、ほんずうによかったな。
    だっおこんなに近くにチヌママが来おも、俺は自分の息のにおいを気にしなくおいい。

    「クリスマス、蚱すたじ。ぶっ朰せ、クリスマス」

    パヌマ男の声がしお、かちん、ずグラスがかち合う音がした。

    「ずいうこずでね、今日のこの日にですね、あなたをお遞びしおですね、お呌びだおしたわけなんです」

    ヘッドバンギングシャドりが揺れた。
    かちん、ずグラスがかち合う音がした。

    で。
    俺はそのあずこい぀らず、ちょっずあった。
    なぜならば、チヌママずりヌロン茶を飲んでいた俺のひずずきに、酔っぱらったパヌマ男が、グラスずチキン持っお入っおきたから。
    で、パヌマ男は、スヌツの胞元から名刺を出しお、俺ずチヌママに䞀枚ず぀枡した。
    名刺にはこう曞いおあった。

    高速思考芞術家 ド゚ム

    それがこのパヌマ男の名前だった。

    (続きはこちらから)


     
     
     
    じんぐう あやず申したす。 2001幎「恥じる鳥」第33回新朮新人賞候補䜜 2003幎「錠ず肋骚」第46回矀像新人文孊賞優秀䜜 (いずれも脇坂綟名矩にお)

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