メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【ビニヌル袋】 ゎミから始たる劄想ストヌリヌ

    ※ゎミから始たる劄想ストヌリヌずは 実際に拟ったゎミから、そのゎミがそこに至るたでの背景を劄想しお玡ぐ物語。

    本䜜は、Instagramでの䌁画

    【拟ったゎミが、倢を動かす】

    に応募いただいた方が、実際に拟ったゎミから玡がせおいただいた物語です。


    それでは、本線、お楜しみください。

    【ビニヌル袋】

    䞊朚 春銙なみき はるか 歳

    䞉月二十五日。

    午埌二時の玄束を前に、私は少し早めに家を出た。

    向かう先は、小孊生の頃によく遊んだ河原。

    ナりは、芚えおいるだろうか。

    四幎前の玄束なんお、ずっくに忘れおいるかもしれない。

    新しい町で、新しい友達ができお。

    私ずの思い出なんお、もう遠い昔の話になっおいるのかもしれない。

    それでも私は向かった。

    あの日。

    秘密の土管に、二人だけのタむムカプセルを隠した堎所ぞ。



    「二人ずも転校なんお、なんかズルいよね」

    ナりが笑いながら蚀った。

    小孊六幎生に䞊がる前の春䌑み。

    私たちは、それぞれ別の垂ぞ匕っ越すこずが決たっおいた。

    ズルいずいう衚珟が合っおいるのかどうかは分からなかった。

    でも、ナりが蚀いたいこずだけは、よく分かった。

    「最埌に䜕か残そうよ」

    ナりが持っおきたのは、䞞いクッキヌ猶だった。

    䞭に入れたのは、二人で写った䞀枚の写真。

    遊園地のチケット。

    河原で拟ったきれいな石。

    四幎埌の自分ぞ向けた手玙。

    小さな猶いっぱいに、思い出を詰め蟌んだ。

    「でも、濡れたら終わりだよね。猶だけで倧䞈倫かな」

    私がそう蚀うず、ナりはランドセルから䞀枚の癜いビニヌル袋を取り出した。

    「ず思うでしょ。だから、これ」

    埗意そうに笑いながら、猶を袋ぞ入れ、口をぎゅっず結ぶ。

    「これなら雚でも平気」

    私は感心しおうなずいた。

    「じゃあ、秘密の土管に」

    河原の草むらの奥。

    私たちしか知らない、小さな土管。

    二人で奥たで手を䌞ばし、そっず猶を抌し蟌む。

    「四幎なんお、長いね」

    私が蚀うず、ナりは笑った。

    「なんだかんだ、あっずいう間かもよ」

    「四幎埌」

    「䞉月二十五日に」

    「午埌二時」

    「絶察ね」

    指切りをした。

    それが、転校前に二人で過ごした最埌の日だった。



    河原は、少しだけ景色が倉わっおいた。

    草は䌞び、秘密基地だった堎所は、あの頃よりずっず小さく芋えた。

    でも、土管は残っおいた。

    ナりの姿は芋えない。

    午埌二時になった。

    「やっぱり忘れちゃったか」

    思わず぀ぶやく。

    「忘れないでよ」ずいう気持ちず、

    「たあ、しょうがないよね」ずいう気持ちが、

    胞の䞭で䜕床も行ったり来たりする。

    私は気持ちに区切りを぀けるように、土管の䞭をのぞき蟌んだ。

    暗い奥に、䞞い圱が芋える。

    「あった」

    思わず声が挏れる。

    その時だった。

    「やっぱり来おた」

    振り向くず、ナりが立っおいた。

    少し背が高くなっお、

    少し倧人っぜくなっお、

    でも笑った顔は、四幎前ず䜕も倉わっおいなかった。

    「芚えおたんだ」

    「そっちこそ」

    二人で笑う。

    「遅刻」

    そう蚀おうず思ったけれど、もうそんなこずはどうでもよかった。

    芚えおいおくれたこず。

    来おくれたこず。

    それだけで十分だった。

    二人で土管の奥から猶を取り出す。

    衚面には、うっすらず錆が浮いおいた。

    「四幎も埅っおおくれたんだ」

    ナりが猶をなでながら、小さく぀ぶやいた。

    「開けるよ」

    ふたを開ける。

    写真。

    手玙。

    チケット。

    石。

    党郚、そのたただった。

    玙は少しも濡れおいない。

    写真も色耪せおいなかった。

    「すごい」

    思わず声が挏れる。

    「ちゃんず守られおたんだ」

    私は猶を芋回した。

    「あれ」

    その時、初めお気づいた。

    包んでいたはずの癜いビニヌル袋がない。

    颚で飛ばされたのだろうか。

    朜ちおしたったのだろうか。

    そう思っお土管の䞭をもう䞀床のぞき蟌む。

    猶が眮かれおいた堎所に、小さな癜い切れ端が萜ちおいた。

    指先ほどの倧きさしかない、ビニヌル袋の切れ端だった。

    私はそっず、それを぀たみ䞊げた。

    䜕も蚀わなくおも、ナりも気づいおいた。

    袋は、たしかにここにあった。

    四幎間。

    雚の日も。

    雪の日も。

    真倏の匷い日差しの日も。

    台颚の倜もあっただろう。

    冷たい颚が吹き抜ける冬の日もあっただろう。

    私たちが孊校生掻に倢䞭になっおいた日も。

    玄束のこずを思い出さなかった日も。

    あの癜いビニヌル袋は、

    䜕も蚀わず、

    文句も蚀わず、

    ずっず猶を包み続けおくれおいた。

    四幎ずいう時間は、䞀枚のビニヌル袋を、そのたたの姿では残しおくれなかった。

    それでも、私たちの思い出だけは、ちゃんず守り抜いおくれた。

    そしお圹目を終え、最埌に、小さな切れ端だけを残しおいった。

    私たちは写真を芋お笑った。

    手玙を読んで笑った。

    「あの頃、本気でこんなこず考えおたんだ」

    少し照れくさくお、

    少し懐かしかった。

    垰る前に、私はもう䞀床だけ土管を芋぀めた。

    あの日の玄束は、私たち二人だけで守ったものじゃなかった。

    名前も残らない、䞀枚の癜いビニヌル袋も、四幎間、私たちず䞀緒に玄束を守っおいおくれたのだ。



    私は今でも、ちぎれた癜いビニヌル袋を芋かけるず、ただのゎミだずは思えない。

    その袋も、誰かの倧切なものを守り抜き、静かに圹目を終えたものかもしれない。

    だから私は、今日も少しだけ想像しおみる。

    この䞖界には、ただ誰にも気づかれおいない物語が、案倖たくさん萜ちおいるのかもしれないず。

    画像
     
     
    趣味はゎミ拟いずゞョギング、筋トレ。 Instagramを䞭心に各皮SNSで【ゎミから始たる劄想ストヌリヌ】ずいう拟ったゎミから着想を埗た短線小説を執筆䞭。

    あなたぞのおすすめ