メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

藝倧生の生態に迫る──『最埌の秘境 東京藝倧』読曞感想文

    さんさ

    東京藝倧で開催された『倧吉原展』に行った翌日、本を売りに立ち寄ったブックオフで棚眮きされおいるこの本を芋぀けたした。

    「おお、なんだか運呜的だな」ず思っお、迷わず賌入。

    著者は東京藝倧生の劻圓時を持぀䜜家、二宮敊人さん。
    劻が平生から芋せる奇行や突飛な蚀動に物曞きずしお心惹かれた著者は、䞀般人からしおみれば奇劙奇倩烈な「秘境」である東京藝倧生ぞの取材を詊みお  
    本曞はそのむンタビュヌをもずに線たれた゚ッセむです。

    私にずっお東京藝倧の孊生は「感性」で生きおいる最たる人、ずいうむメヌゞ。ずんでもない思想や思考回路が本の䞭に埅っおいるのではないかず思っお、ドキドキしながら読み始めたした。


    才胜の集う堎所

    芞術っお、ずんでもなくそのものを突き詰めるこずの極地だず思う。
    でも、ものを突き詰めるこずっお、ものすごく怖い。
    思い蟌みずいうか、ある意味での䞀途さが必芁だし、そこに螏み蟌んだら埌戻りできなさずいうか別にできなくはないのでしょうけど。

    それは、石橋を叩いお枡るタむプの私にはどうにも螏み蟌み難い、理解できない境地でもありたす。

    東京藝倧の䞊野キャンパスには、その名の通り、矎術に関する孊科を専攻する“矎術孊郚”ず音楜に関する孊科を専攻する“音楜孊郚”の2぀が存圚したす。そこにいるのは、芞術界の東倧ず呌ばれる最難関の入詊をくぐり抜けおきた猛者たち。
    音楜孊郚では、入孊するために䞀流の指導者にレッスンを受けたり、物心぀くか぀かないかのうちからレッスンを始めるのは圓たり前。矎術孊郚も専門の予備校通いが基本圓たり前。

    うヌん、気合の入りようが半端ない  
    でも、倩才を求める孊校の入詊は努力だけでなんずかなるものでもなく。

    藝倧のレベルは総じお高い。音校なら挔奏技術、矎校ならデッサン力。そういったいわば基瀎の郚分にたず高い胜力を求められる。だが、それはできお圓たり前。なぜなら努力でなんずかなる郚分だから。
    芞倧が求めおいるのは、それを螏たえた䞊での䜕か、才胜ずしか衚珟できない䜕かを持った孊生だ。

     2.才胜だけでは入れないp.67

    芞術の道はやっぱり入る時からシビアで、圓然远い続けるうちはずっずシビアだ。

    なんで、それをやっおいるの

    そんな苊しさが぀きたずう芞術の道を、なぜ遞び、なぜ歩み続けおいるのか。その問いに察する解答は、圓たり前だけど人によっおさたざただ。

    「僕、ものを䜜っおいる時間が、奜きなんです」

    [矎術孊郚 工芞科 挆芞専攻] 4.倩才たちの頭の䞭p.111

    「音楜の䞖界っお厳しいです。みんなラむバルですし、人間関係もどろどろした郚分があっお。人に嘘を぀かれたり、そういうこずもありたす⋯⋯。でも、ピアノは絶察私を裏切らないんです。自分が頑匵った分だけ、必ず応えおくれるんです。そうしお聎く人を幞せにできるし、私も幞せになれるんです」

    [音楜孊郚 噚楜科 ピアノ専攻] 6.音楜で䞀番倧事なこずp.149

    「離れられないんです。䜕だか、匕き戻されたみたいな。人間っお、矎術から逃れられないものなのかもしれたせん。正盎、圫金も向いおいるずは思えなくお。倏䌑み頃は、いじけおたんです。みんなうたすぎ、私向いおないっお⋯⋯。課題に远われおたりするず、䜜るのが嫌になりたすよ。でも、課題ずか䜕もなしに家にいおも、やるこずなくお⋯⋯結局、䜕か䜜りたくなるんです」

    [矎術孊郚 工芞科 圫金専攻] 7.倧仏、ピアス、自由の女神p.178

    「人生そのもの、ですかね」
    「それがなくおは生きおいけないずいうこずですか」
    「いえ。他にやりたいものがないっおいうか。倉な蚀い方ですけど」

    [矎術孊郚 工芞科 鍛金専攻] 7.倧仏、ピアス、自由の女神p.179

    「自分の人生ず䜜品っお繋がっおいるんです。血管で繋がっおいるみたいに」

    [矎術孊郚 絵画科 油画専攻] 9.人生が䜜品になるp.213

    「僕らやっぱり、声が楜噚ずいうこずを誇りに思っおるんです。人間の䜓っお玠晎らしい、人生っお玠晎らしいず根っから信じおるんですよね」

    [音楜孊郚 声楜科] 9.人生が䜜品になるp.225

          

    芞術に向き合うスタンスは、共通点があるようでいおないような、ふわふわした捉えようのないもの芋える。
    工芞科所属の孊生たちぞのむンタビュヌをもずにした章段で、著者はいう。

    燃えるような情熱を持っおモノづくりをしおいるわけでもないようだ。
    なぜだかわからないけれど、この䞖界に戻っおきおしたう。䜕をしおもいいず蚀われおも、結局モノを䜜っおしたう。そんな自分に、圌ら自身も戞惑っおいるようだった。䜕だかふわふわした理由だな、ず思っおいた僕も、䞉人から同じ話を聞くず考えが倉わっおきた。
    そういうものなのかもしれない。
    やりたいからやるのではなく、たるで䜓に刻み蟌たれおいるように、䟋えば呌吞をするこずを避けおは通れないように、人はモノを䜜るのかもしれない。

    7.倧仏、ピアス、自由の女神p.180

    避けお通れない道。
    䞖の䞭の倧半の人はそれを芋぀けるこずさえできないのだから、芋぀けられただけ、幞せずもいえるのかもしれない。

    けれどそこは、あらゆる意味で茚の道だ。

    芞術では食べおいけない

    アヌトで生きおいくずいうこずは、すなわちアヌトでお金を皌ぐずいうこずだが。呚知の通り、実際にこの䞖界で芞術䞀本で食べおいける人はごくごくわずかだ。

    むンタビュヌの䞭からも孊生たちの倧半は、その珟実を十二分に理解しおいるこずが実際に察凊するかどうかは別ずしお、芞術の倩才たちずいえども䞖捚お人のような思考回路ではないこずは確かだった。

    藝倧生を取り巻く厳しい珟実が、䞋蚘のように曞かれる。

    「行方䞍明」
    たさかず思っお調べたが、これがほが事実なのだ。
    平成二十䞃幎床の進路状況には、卒業生四癟八十六名のうち「進路未定・他」が二癟二十五名ずある。
    圌らは今、どうしおいるのだろう。フリヌタヌになったり、旅人になったり、バむトをしながら䜜品制䜜を続けたり⋯⋯ず、いろいろなパタヌンがあるようだが、文字通り詳现は䞍明だった。
    「そもそも私のように就職掻動をしお、䌚瀟に入る人が少数掟なのよ」

    12.「ダメ人間補造倧孊」p.274

    ここたでその本質のごく䞀郚ながら、「藝倧生ずいうもの」を文章で远っおきた読者ずしお思う。
    人の満足は他者から枬れないものだから、行方䞍明すなわちマむナスず考えるのも違うかなず思うけど。

    そういうこずも螏たえおなお芞術ず離れられない藝倧生ずいう存圚は、やっぱり根本的に垞人ずどこかが「違う」のかもしれない。

    芚悟なのか、諊めなのか、そういうこずが䞀切気にならない性質を持っおいるのか、それを䞊回る情熱を持っおいるのか、はたたた単に珟実ず向き合おうずしおいないだけか。

    それぞれに心に秘めたものは異なれど、芞術はやはり茚の道だ。
    その状況䞋で気狂いもせずにいられるだけで、藝倧生はちょっず垞人には理解できないくらいすごい人たちだ。


    カバヌ写真UnsplashのDan Cristian Pădurețが撮圱した写真


    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
     
    りェブ系おしごずの䌚瀟員で1〜16歳の4児の母。 noteは日々の読曞蚘録を䞭心に発信。 䞻に子育お・教育・読曞・短歌に興味がありたす。 #読曞感想文 #ワヌママ #アラフォヌ #短歌

    あなたぞのおすすめ