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猫、スーパーボールになる

たぶん、タイトルで察しがつくと思いますが。

猫と風呂のはなしです。

事の発端は彼のひとこと。

「そろそろ風呂、入れたほうがいいんじゃないか」

ちょっとクサいとも言われてたっけ。ちっとも気にならないけど。

試しに入れてみるか。風呂。

猫ってキレイ好きだから必要ないって意見も聞くけど⋯。

この先、とどまることを知らない食欲に負けて生ゴミにダイブするかも。

そんないつかのために一度入浴を経験した方がいい。


ということで、いざ、入浴しようではないか!

⋯⋯まずは下調べでYouTube様に教えを乞います。

検索ワード「ねこ ふろ いれかた」

TVの中から聞こえる猫の鳴き声(悲鳴?)に反応して、猫も一緒にTVをみる。

風呂を頑張った猫が、ご褒美に美味しそうなおやつをもらってる場面になると、猫は身を乗り出してTVに張り付く。


いいな



「こいつ⋯わかっているのか。」

さっそく、近場で用意できるものを揃えた。

・シャンプー (ドンキ)
・スリッカーブラシ(100均) 
・泡立てネット(100均) 
・折たたみバケツ(100均) 
・吸水タオル(100均) 

こっちはもともと家にあるもの

・爪切り
・バスタオル
・ドライヤー
・延長コード
・ゴミ箱(ドライヤー立てる用)
・海水パンツ(一緒に濡れる用)

さぁ、これで⋯大丈夫かな?



2時間経過ーーー

猫と人間が疲労困憊で脱衣所からでてくる。

猫よ、お疲れ様。自分もね、お疲れ。

まずはご褒美オヤツで労う。
猫はちょっと不機嫌そうにオヤツを食べる。

(非常に不満だ。だが、うまい。)



自分も着ていたものとタオル類を洗濯機に投げ入れる。

これは⋯

ほんとうに大変な作業ですね。


事前に複数の動画をみてイメトレしましたが、本当の修羅場はYouTubeに落ちてない。

おそらく、猫がお利口または、人間が慣れている動画ばかりなんだ。

まず失敗したのは湯船に浅くお湯を貯めたこと。

想像どおりでつまらない事件ですが、逃げた拍子に湯船にダイブした猫は、風呂のあらゆる壁と床(合間に私の背中も入る)にキックして、スーパーボールのように跳ね返り、大パニック。

あとは平謝りしながらお湯をかけて、泡立てた泡で軽く体を洗い、またお湯をかける⋯。

荒ぶる毛布と化した猫を軽く絞る。

タオルドライがドライヤー時間短縮につながると動画で学んだけど、なかなか猫を制することができなくて思うように拭けない。

ラスボスのドライヤー。

小さいゴミ箱がいい感じにスタンドになったと思ったけど、定員大人ひとりの狭い脱衣所。自由に身動きがとれず、猫と人間が交互に同じ場所を行ったり来たり。
乾かしたいところを隠されてしまい乾かせない。

もはや、コント。

猫、まじで迷惑そう。

それでも、全てが終わったいま、いつもよりもふわふわになった。

背中からはほんのりシャンプーの匂いがただよう。

風呂の排水溝の髪の毛をせき止めるシリコンのフタにはおびただしい猫毛がせき止められている。

ドライヤーのときに使ったブラシの毛と合わせれば、ほぼ5日分の毛が抜けた。

それでもなお、撫でるとふわっと毛が舞う。

そんなに抜けて大丈夫なのかと心配になる。


この一連の作業で、私と猫の間には深い溝ができてしまった。
いままで築き上げてきた信頼が水の泡のように思えた。

そんな2時間だった。

そうかと思えば、悲しみに暮れる私の膝の上に甘えにきてくれた。

文句の2つや3つこぼれそうなものなのに、もう喉を鳴らしている。

許してくれるのか?

ほんとうに尊いな君は🥹

(次はもっとうまくやれよ)

その夜、お風呂に入って気がついた。

防水時計はスーパーボールがヒットしたようで、時計の針は修羅場の時刻を指したまま時を刻むことをやめていた。


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