
おもしろくもなき エッセイを おもしろく ~新しいエッセイの夜明け~
『網戸の虫』
夜、私の部屋の明かりにつられて、網戸に小さな虫が止まった。
(夜間に部屋の窓を開けて網戸にしているのだから季節は夏である。暑くなってきておかしな人物が徘徊をはじめる季節だ。物騒である)
網戸があるおかげで、虫は部屋の中には入ってこられない。
(虫を舐め過ぎである。あまり知られていないが、蚊などは部屋に入ってくる歳、飛んでくるだけではなく、アリのように網戸などの小さな隙間から歩いて侵入してくることもある)
当たり前のことだけれど、この薄くて細かい網の目一枚が、外の世界と私の部屋をきっちりと完全に分けてくれている。
(ただの網戸を絶対的に信頼し過ぎである。網戸にそこまでの機能はない)
風は通すのに、虫は通さない。
(自分で「風は通す」と認めてしまっている。外の世界と彼女の部屋は、スカスカの網目を抜けていともたやすく繋がる。 さらに先ほども言ったように虫も入ってくる。繋がり放題である)
誰が最初に考えたのか知らないが実によくできた仕組みだなと思う。
(おそらく建築関係の誰かが考えたのだと思われる)
しばらく眺めていると、虫は網戸の上をせわしなく歩き回り、やがて満足したように夜の闇の中へと飛び去っていった。
(詩的な表現でなにか素敵な出来事かのように話しているが、要するに網戸に貼り付いた虫をボケッと眺めていただけの話である。
さらに もしその時、網戸の外を誰かが通りかかったとしたら、部屋の中からじーっとこちらを見てくる不気味な女の姿に恐怖を抱くだろう)
私はそれを見届けてから、またいつものように手元のスマホに視線を移した。私の日常の、何でもない一コマである。