
#133 鯉のぼりのある風景
物心がついた頃から、どうやら私は風に靡くものが好きらしい。
例えば、旗。
国旗掲揚や運動会の万国旗を見ると、妙にウキウキした。
出店に並んだ風車。
風を受け、羽根車がくるくる回る様子に興奮した。
空に浮かぶ凧。
ぐんぐん高度を上げていく凧本体と長い尻尾を見ると、なぜだかゾクゾクした。
そうしたものの一つに、鯉のぼりがある。
東京の下町の団地で育ったので、庭先とはいかなかったが、ベランダで靡く真鯉、緋鯉、子鯉を見るのが幼心に嬉しかった。スーパーのレジ横にあった、お菓子付きの小さな鯉のぼりを買ってもらい、自転車につけて走った。
よく考えれば、矢車が回り、鯉が風を孕んで泳ぐ鯉のぼりは、私の「好き」が全部詰まった存在なのかもしれない。
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2026年5月9日。土曜日。
『里の駅 大原』で今週の野菜を買った帰り道。静原で、今年一番、いや、ここ五年で一番の鯉のぼりを見た。
新緑に包まれた山村。静原川を横断してかかる鯉のぼりが、青空を背景にダイナミックに泳いでいた。

きな粉わらび餅を食べた






風を捕まえ、気持ちよさそうに泳ぐ鯉のぼり。
昔は各家で揚げていた鯉のぼりを集め、少子化の進んだ町内でまとめて泳がせている風景を見かけることがある。これもそうして集められた鯉のぼりなのかもしれない。
それを眺めている人は他に居ない。いつまでも独り占めしていたい風景だった。


おすすめ弁当(下)
『今井食堂』で鯖煮弁当、『solo』でライ麦パンを買って一度家に戻る。鯖煮弁当を食べた後、府立植物園へバラを見に行く。



先週はほんの数輪しか咲いていなかったのに、この日は八割方咲いていて、春から初夏へ、一気に季節が進んだ気がした。

出町桝形商店街に寄った帰りに、出町柳駅の北にある養正市営住宅の遊具を写真に残した。
市営住宅の解体も近いのだろう。今は柵が設けられ、近づけなくなっていた。





特別な思い入れがあるわけではない。
けれど、昔は子供たちの遊ぶ声が団地に木霊していたに違いない。自分が育った団地にもどこか通じる風景で、身につまされる思いがした。
鯉のぼりも、団地の遊具も、遠い子供時代の風景へ、どこかで繋がっている気がした。