334話 オイルマネー・コード 19話 住宅ローン The Remaining Mortgage Balance LaLaLaさん企画 参加作品 【オイルマネーコード編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
高校正門の横断幕を見て、さすがの維吹も呆然とした。
その維吹を迎えた校長は、満面の笑顔だ。
「どうだね、いいだろう!」

「え・・あ・・・はい・・・ありがとうございます・・・」
帰国の報告に来た維吹君が、私にまでお土産を持ってきたことには驚いた。
細長い小さい箱で、ちゃんとリボンまである。
「私にまではいいのに・・・」
そういって受け取った。

うれしかった。
本当にうれしかった。
その時は、箱のままだったので気が付かなかったのだが・・・
開けてみて驚いた・・・・
高級万年筆だ・・・・
美しい湖の水面のような光沢がある黒、まさに夜の湖面・・・
目を凝らして箱の文字を見る。
Caran d’Ache Leman(カランダッシュ レマン)・・・

これは・・・・
安く見積もっても10万円以上はする・・・・
さすがにこれは・・・・受け取ってはいけないかな・・・・
が、この18Kのペン先のなめらかさ・・・
夜の湖面のようなつや・・・・
もう、手放したくはなくなっている・・・
「はあ・・」

モリヤマ校長は、ため息をつくと・・・・赤い花を見つめた。
記帳した通帳・・・・
改めて気が重くなった・・・・・
20億円だ・・・・・
こんな金・・・・
困ったな・・・・

夕飯が終わった後、つい聞いてしまった。
「父さん・・・住宅ローンどれぐらい残ってるの?」
「え・・・ああ・・・まだ残ってるな・・・」

「父さん・・・それ払おうか・・・」
「あ・・」
父の目が泳いだ

母が驚いたように見ている
泳がせた目が、ようやく戻ってきて
「あ・・・いや・・・維吹・・・」
「お前もいずれ・・・社会人になる・・」
「一つだけ・・・教えておこうな・・・」

「子供がな・・・親に対してそういうことは言うものではない・・」
「目上の人に対して・・・失礼に当たるからな・・・」
「でも、うれしいけどな・・・・」
ちらりと母を見てから言った。
「その・・・気持ちだけ、いただいておく。」
目が潤んでいるようだ

「維吹・・・・立派になったな・・・」
それだけ言った。
LaLaLaさん企画 オイルマネー・コード 参加作品
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