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Photo bytaruto_diary

【超短編小説】目玉焼き乗っけごはん

    「目玉焼き乗っけごはんがいっちゃん美味しい。」
    お昼を食べながら、ナナセは思わずつぶやいてしまった。

    卒業が近くなった今は、週に1日大学に行けばよく、ひとり家で昼食を済ませることが多くなった。

    普段はカット野菜にドレッシングをかけたものと、白米と、納豆や唐揚げなどのタンパク質を組み合わせている。

    サッと済ませがちな昼食でも、ナナセが特に気に入っているメニューがある。

    「目玉焼き乗っけごはん」だ。

    目玉焼きを作るのも普段は面倒なので、ごくたまにしか作らないが、このメニューからしか得られない「何か」を摂取したくなる時が、定期的に訪れる。

    ナナセのこだわりは、黄身に完全に火が通らないうちに、目玉焼きをフライパンから引き揚げて、お茶碗によそった白米に乗せることだ。
    アツアツのごはんで加熱されることまで計算して、半熟のちょっと手前で乗っけてしまうのがミソだ。

    味付けに、黄身の上に軽く塩胡椒を振って、全体に醤油を垂らす。

    ここから至福の時間が始まる。

    まず最初に、黄身を目がけて上から下に箸を入れる。黄身がトロッと出てきて、何となくフォンダンショコラを思い出してしまう。

    それをすぐに、下の白米と軽く混ぜ合わせる。

    黄身の上にうまく醤油がかかっていると、醤油の黒、黄身の黄色、白米の白の魅惑的なマーブルが見られる。

    そして、トロトロの黄身が絡み付いた白米と、何もかかっていない白米とを、3対7の比率ですくう。
    箸で持ち上げると、その画は息をのむほど美しい。

    顔に近づけて、醤油の香りと湯気を感じてから口に運ぶ。
    幸せの味が口の中いっぱいに広がる……

    目玉焼き乗っけごはんがいっちゃん美味しい。

    これを食べている間は日々の忙しさを忘れることができる。
    食事という行為に集中だけすればいい。
    高級なわけでも、手間がかかるわけでもない。

    何ともコスパのいい、ナナセだけの幸せの摂取方法である。


    #創作大賞2026 #エッセイ部門

     
     
    思考のマグロ ᗦ↞◃ 毎月投稿7ヶ月継続中。(2026年8月、10本目投稿達成) エッセイ、小説、映画感想文などを綴ります。

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