
あの日の“高いですね”から、この物語は始まった|創作大賞2026に応募して、ジロウたちに残ったもの
☑️キャラクターの設定や合計200話の設計図はこちら
📢お知らせ|創作大賞2026に応募しました
ジロウ:
「つ、ついに……!
僕たちの物語を、“創作大賞2026”
“お仕事小説部門” に応募しました……!
応募ボタンを押したあと、
しばらく画面の前で固まっていました……」
ハナ:
「応募が終わっても固まってたのね(笑)
でも、ジロウくんが営業の仕事でつまずきながら、
少しずつ人の心を学んでいく姿を、
もっと多くの方に見守っていただきたいと思い、
有料公開を予定していた
Season1の第8話までを、期間限定で無料公開しています!」
セイジ:
「この物語は、
ジロウが営業の仕事で感じた迷いや失敗をきっかけに、
“なぜ同じ価格でも、高く見えたり、お得に感じたりするのか”
その奥にある、“人の心が動く理由”を
少しずつ読み解いていく物語です」
ナリタ博士:
「ジロウの失敗や気づきの中に、“これは、自分にもあるかもしれない”と
思える瞬間が、きっとあるはずじゃ」
ジロウ:
「Season1では、
何度も迷って、何度もつまずいて、
そのたびにハナさんにツッコまれました……」
ハナ:
「そこは、かなり多かったですね(笑)」
ジロウ:
「でも、読んでくださる方がいたから、
最後まで物語を届けることができました。
もし、まだ読んでいないお話があれば、
この機会にSeason1を最初から読んでいただけるとうれしいです。
“おもしろかった”
“続きも読みたい”
“ジロウたちを応援したい”
そう思っていただけたら、
スキ・コメント・シェアで応援していただけると、
本当に励みになります……!
創作大賞への応募は終わりましたが、
僕たちの物語は、まだ始まったばかりです。
これからも、
僕たちの成長を一緒に見守ってください!」

【Season1を、最後まで届け切った日】
応募完了の画面を前にして、
ジロウはしばらく動けずにいました。
ハナ:
「ジロウくん、大丈夫?
応募ボタンの前で固まってるよ(笑)」
ジロウ:
「えっ……。
あ、すみません。今、ようやく気持ちが追いついてきました……」
セイジ:
「Season1、全部投稿できたんだね」
その言葉を聞いて、
ジロウはようやく画面から目を離しました。
ジロウ:
「僕……。
本当に全部、投稿できたんですね……」
ハナ:
「ジロウくん、やっと実感が追いついてきた顔してる(笑)」
ジロウ:
「投稿している間は、
目の前の1話を出すことで精一杯でした。
でも、こうして振り返ると、
“本当に最後まで出せたんだ”って、
ようやく実感が湧いてきました」
ナリタ博士:
「うむ。
一話ずつ積み重ねて、
Season1を最後まで届け切ったということじゃな」
ハナ:
「途中で直立睡眠しかけてたけど、
最後までちゃんと走り切れましたね(笑)」
ジロウ:
「足はパンパンでしたが、
投稿は止まりませんでした……」
ハナ:
「足は止まりかけてたのに、
投稿を止めなかったのはエライです」
セイジ:
「最初にジロウが
“noteを書いてみたいです”って言ったときは驚いたけど、
最後まで形にしたのは、本当にすごいと思う」
ジロウ:
「そう言ってもらえると……かなり救われます」
ハナ:
「ジロウくん、いい顔してる。
なんか、成長したね。
最初は“高いですね”って言われただけで、
完全に固まってたのに(笑)」
ジロウ:
「そこを思い出されると、少し胸が痛いです……」
ハナ:
「でも、今のジロウくんだから聞いてみたいな。
どうして、このnoteを書こうと思ったの?」
ジロウは、すぐには答えませんでした。
少しだけ視線を落としてから、
もう一度、応募完了の画面を見つめました。
ジロウ:
「……たぶん、悔しかったからです」
思い出していたのは、
もっと前の、ある商談の日のことでした。
うまく返せなかったこと。
その場で言葉が止まってしまったこと。
そして、その失敗を、
ただの失敗で終わらせたくないと思ったこと。
ジロウの中に残ったその悔しさが、
この物語の出発点でした。

【“高いですね”で、言葉が出なかった日】
その日、ジロウはいつもより早く出社していました。
何度も資料を見直して、
何度も金額を確認して、
説明の流れも、頭の中でなぞっていました。
商談の席に出るのは、初めてではありません。
でも、自分が中心になって提案を組み立てるのは、
その日が初めてでした。
これまでは先輩の横で学ぶことが多かったジロウが、
初めて、自分の言葉でお客様に伝えようとしていたのです。
お客様から聞いた話を思い出しながら、
ジロウは、自分なりに考えていました。
どんなふうに話せば、ちゃんと伝わるのか。
どこを大切にすれば、安心して聞いてもらえるのか。
うまく言葉にできる自信があったわけではありません。
それでも、目の前のお客様にちゃんと届けたい。
その気持ちだけは、いつもより強くありました。
ジロウ:
「その時の僕、けっこう本気だったんです」
ハナ:
「うん。
あの日のジロウくん、いつもより真剣な顔してたもんね」
ジロウ:
「顔に出てましたか……」
ハナ:
「出てたよ。
いつもの“勢いでなんとかします”じゃなくて、
ちゃんと相手に向き合おうとしてる顔だった」
ジロウ:
「そこは、少しうれしいです……」
セイジ:
「実際、よく準備していたと思うよ。
お客様の話を聞いたうえで、自分なりに組み立てていた」
ジロウ:
「だから、少しだけ期待していたんです。
“これなら、ちゃんと伝わるかもしれない”って」
商談の席で、ジロウは一生懸命説明しました。
なぜこの内容なのか。
どこを大切にしたのか。
お客様の話を聞いて、どう考えたのか。
お客様も、うなずいてくれていました。
資料も見てくれていた。
質問もしてくれていた。
だからジロウは、途中まで思っていました。
悪くない。
このままなら、ちゃんと伝わるかもしれない。
そして、金額を伝えたあと。
お客様は資料を見ながら、少し間を置いて、こう言いました。
「内容はいいんですけど……
ちょっと高いですね」
その瞬間、ジロウは何も返せませんでした。
金額の理由をもう一度説明すればいいのか。
内容を少し変える話をすればいいのか。
それとも、先に不安を聞いた方がいいのか。
頭の中には浮かんでいるのに、
どれも言葉にはなりませんでした。
ジロウ:
「その時、何か言わなきゃとは思っていたんです。
でも、口から出たのは……」
ハナ:
「出たのは?」
ジロウ:
「“そうですよね……”くらいでした」
ハナ:
「それは、かなり悔しいね」
ジロウ:
「はい…悔しかったです。
“高いですね”って言われた瞬間、
それまで一生懸命伝えてきたことが、
一気に“金額の話”だけで判断されたような気がしたんです……」
セイジ:
「“高いですね”って言葉は、営業にとって重いからね。
でも、本当はそこで終わりじゃない」
ジロウ:
「その時の僕には、終わりに聞こえました。
“高いと言われた。
つまり、僕の提案は届かなかったんだ”って」
ハナ:
「でも、届かなかった理由って、
本当に“金額が高いから”だけだったんでしょうか?」
セイジ:
「そう。
金額だけじゃなくて、
その前に何が伝わっていて、何が伝わっていなかったのか。
お客様がどこで不安になったのか。
そこを見ないと、本当の理由は分からない」
ナリタ博士:
「人の心は、金額だけを見て動くわけではない。
不安、期待、受け取り方、感じ方。
いろいろなものが重なって、“高い”という感覚が生まれるのじゃ」
ジロウ:
「その時の僕は、そこまで考えられていませんでした。
“高いですね”と言われた瞬間に、
もう何を言っても届かない気がしてしまったんです」
ナリタ博士:
「じゃが、その失敗があったからこそ、
ジロウの中に“知りたいこと”が残った」
ジロウ:
「知りたいこと……?」
ナリタ博士:
「なぜ、高く感じたのか。
なぜ、伝わらなかったのか。
人は、何を基準に判断しているのか」
ジロウは、その言葉を聞いて、
あの日の商談をもう一度思い出しました。
ただ悔しかった記憶。
できれば思い出したくなかった場面。
でも、そこには確かに、
この物語の入口がありました。
ジロウ:
「僕はその日、初めて思ったんです。
“高いですね”で終わらせちゃいけないんだって」
ハナ:
「その悔しさが、noteを書く理由になったんですね」
ジロウ:
「そうです。
何も返せなかったあの日を、
ただの失敗で終わらせたくなかったんです」

【失敗を、ただの失敗で終わらせたくなかった】
ジロウ:
「最初は、ただの反省メモみたいなものを書こうと思っていたんです」
ハナ:
「反省メモ?」
ジロウ:
「はい。
“高いですね”と言われた時に、どう返せばよかったのか。
僕なりに整理しておこうと思って」
ハナ:
「それ、読む前から背筋が伸びるやつだね(笑)」
ジロウ:
「たしかに、最初のメモはほぼ反省文でした……」
ハナ:
「ジロウくん、反省文を書かせたら急に真面目になるタイプだもんね(笑)」
ジロウ:
「笑わないでください……。
でも、本当にそうだったんです」
あの日から、ジロウは少しずつ考えるようになりました。
なぜ、あの金額は高く感じられたのか。
なぜ、説明していたはずなのに届かなかったのか。
なぜ、金額を出した瞬間に空気が変わったように感じたのか。
調べていくうちに、
ジロウは気づきました。
“高い”という感覚は、
金額だけで決まっているわけではない。
先に見たもの。
比べたもの。
言葉の見え方。
選択肢の並び方。
失いたくない気持ち。
支払う時の痛み。
その一つひとつは小さくても、
人の心の中では、確かに判断を動かしている。
ジロウ:
「それを知った時、思ったんです。
僕が分かっていなかったのは、価格の説明だけじゃなかったんだって」
セイジ:
「人がどう受け取るのか。
そこを見る視点が、まだ足りなかったんだね」
ジロウ:
「はい。
でも、心理効果をそのまま説明するだけだと、
たぶん僕自身も、ちゃんと自分の中に入ってこなかったと思います」
ハナ:
「たしかに。
“アンカリングとは”って急に言われても、ちょっと教科書っぽいもんね」
ジロウ:
「そうなんです。
だから、物語にしたかったんです」
ナリタ博士:
「ふむ。
知識として覚えるだけではなく、
人の心が動く場面として描きたかった、ということじゃな」
ジロウ:
「はい。
僕と同じように、
商談や提案の場でうまく返せなくて、
悔しい思いをしたことがある人に届けたかったんです。
僕が失敗して、ハナさんにツッコまれて、
セイジさんに整理してもらって、
博士に本質を教えてもらう。
そうやって物語にすれば、
“あ、これ自分にもあるかも”って思ってもらえる気がしたんです」
ハナ:
「で、気づいたらジロウくん、
スーツ売り場で揺れて、2,999円に揺れて、
キングサイズベッドで直立睡眠してたわけですね」
ジロウ:
「学びの代償が、わりと体にきています……」
ハナ:
「足にも財布にもね(笑)」
セイジ:
「でも、その失敗があったから、
価格の話を“知識”だけじゃなく、
“人の心が動く物語”として届けられたんだと思う」
ジロウ:
「そう言ってもらえると、
あの日の失敗も、少し報われる気がします」
ナリタ博士:
「あの日の悔しさを、
ただ痛い記憶のままにしなかったんじゃな。
ちゃんと見つめ直したからこそ、
次の誰かに届く言葉に変わったのじゃ」
ジロウ:
「だから僕は、このnoteを書きました。
あの日の自分みたいに、
“高いですね”の一言で止まってしまう人が、少しでも前に進めるように」
ハナ:
「ジロウくん、今のはかなり良いこと言ったよ」
ジロウ:
「本当ですか?」
ハナ:
「うん。
直立睡眠の人とは思えないくらい」
ジロウ:
「最後にそこを添えないでください……」

【なぜ、創作大賞に応募しようと思ったのか】
ハナ:
「でも、ジロウくん。
最初から創作大賞に応募するつもりだったの?」
ジロウ:
「いえ、まったくありませんでした(笑)」
ハナ:
「そこは即答なんだ(笑)」
ジロウ:
「はい。
最初は、自分の失敗を整理するだけで精一杯でした。
誰かに読んでもらうことすら、
あまり想像できていなかったんです」
セイジ:
「でも、書き続けるうちに変わっていったんだね」
ジロウ:
「そうです。
読んでくれる人がいて、
スキを押してくれる人がいて、
コメントをくれる人がいて。
そのたびに、
“あ、これ、ひとり反省会じゃなかったんだ”って思えたんです」
ハナ:
「最初は反省メモだったのにね」
ジロウ:
「はい。
でも、いつの間にか、僕だけの反省ではなくなっていた気がします」
ナリタ博士:
「ふむ。
自分の失敗から始まった言葉が、
読んでくれる人との間で、物語へと変わっていったのじゃな」
ジロウ:
「はい。
だから、もう少し遠くまで届けてみたいと思ったんです」
ハナ:
「それって、やっぱり賞も意識した?」
ジロウ:
「意識してないと言ったら、たぶん嘘になります。
選んでもらえたら、ものすごくうれしいです。
でも、それ以上に、
もっと読んでもらえるきっかけになったらいいなと思いました」
ハナ:
「ちゃんと本音も入ってていいね(笑)」
ジロウ:
「そこを隠すと、逆に不自然かなと思いまして……」
セイジ:
「でも、それでいいと思う。
賞を目指す気持ちも、
この物語を届けたい気持ちも、
どちらも本音なんだから」
ジロウ:
「はい。
この物語を、もっと多くの人に読んでもらいたいと思ったんです」
セイジ:
「営業や販売に関わる人だけじゃなくて、
誰かに何かを伝える仕事をしている人にも届くかもしれない」
ジロウ:
「はい。
価格を伝えるのが怖かったり、
相手の一言で言葉が止まってしまったり、
自分の提案に自信が持てなくなったり。
そういう瞬間って、
きっと僕だけじゃないと思うんです」
ハナ:
「たしかに。
“高いですね”に限らず、
たった一言で心が止まることってあるもんね」
ジロウ:
「だから、出してみようと思ったんです。
もしかしたら、
この物語をまだ知らない誰かにも、
届くかもしれないって思って」
ナリタ博士:
「うむ。
創作大賞への応募は、終わりではなく、
この物語をもう少し遠くへ届けるための一歩じゃな」
ジロウ:
「はい。
僕にとっては、Season1を投稿し切った証でもあり、
次に進むためのきっかけでもあります」
ハナ:
「ジロウくん、ちゃんと前に進んでるね」
ジロウ:
「少しずつですけど」
ハナ:
「その“少しずつ”を、
Season1の分だけ積み重ねたんだね」
ジロウ:
「そう言われると、
少しだけ胸を張れそうです」

【“高いですね”の見え方が、少し変わった】
セイジ:
「でも、ジロウ。
Season1を書き切って、何が一番変わったと思う?」
ジロウ:
「一番変わったこと……ですか」
少し考えてから、
ジロウはゆっくり口を開きました。
ジロウ:
「“高いですね”と言われることが、
前ほど怖くなくなった気がします」
ハナ:
「おお……。
それ、けっこう大きいね」
ジロウ:
「はい。
前の僕は、“高いですね”って言われた瞬間、
僕の営業人生、ここで終了のお知らせだと思っていました」
ハナ:
「終了のお知らせ、早すぎる(笑)」
ジロウ:
「でも、本当にそれくらい重く聞こえたんです」
ハナ:
「でもさ、読んでくださっている方の中にも、
ジロウくんと同じような経験をした人、きっといると思うよ」
ジロウ:
「僕と同じような経験ですか?」
ハナ:
「うん。
商談じゃなくても、打ち合わせでも、接客でも、提案でも。
たった一言で、
頭の中に用意していた言葉が、
全部止まってしまう瞬間ってあると思う」
ジロウ:
「それ、かなり分かります……」
ハナ:
「“高いですね”じゃなくても、
“ちょっと違いますね”とか、
“検討します”とか、
“他も見てます”とか。
言われた瞬間に、
心の中で小さく終了のお知らせが流れること、
あるんじゃないかなって」
ジロウ:
「終了のお知らせ、意外といろんな場面で流れてるんですね……」
セイジ:
「だからこそ、ジロウが届けたかった想いは、
きっと読者の方にも届いていると思う。
相手の一言で、
何を言えばいいか分からなくなったことがある人なら、
この物語のどこかに、自分を重ねてくれるはずだから」
ジロウ:
「そう言ってもらえると……少し救われます」
あの日のジロウは、
“高いですね”という一言で、考えることを止めてしまっていました。
高いと言われた。
つまり、金額が合わなかった。
つまり、自分の提案は届かなかった。
そう思い込んでいました。
でも、Season1を書きながら、
少しずつ見え方が変わっていきました。
“高い”という言葉は、
ただ金額だけを見て出てくるものではないのかもしれない。
比べ方。
見え方。
言葉の受け取り方。
不安や期待。
そして、何かを選ぶ時の小さな心の揺れ。
ジロウ:
「Season1を書いていて思ったんです。
価格って、ただの数字じゃないんだなって」
セイジ:
「数字そのものより、
その数字がどう見えているか。
どう受け取られているか。
そこが大事なんだね」
ジロウ:
「はい。
僕はずっと、売る側として価格を説明しようとしていました。
でも書いているうちに、
買う側の気持ちを、何度も考えさせられました」
高く感じる時。
安く感じる時。
お得だと思って安心する時。
損したくなくて、いつもと違う選び方をしてしまう時。
そこには、
ただの計算では片づけられない気持ちがありました。
ジロウ:
「価格の話を書いているつもりだったのに、
気づいたら、人の気持ちの話になっていました」
ハナ:
「それ、Season1っぽいね。
最初は値段の話なのに、
最後は“なんで人はそう感じるんだろう”って話になる」
ジロウ:
「はい。
だから、あの日の“高いですね”も、少し違って見えてきたんです」
ハナ:
「違って見えた?」
ジロウ:
「ただ“金額が高いです”って意味だけじゃ
なかったのかもしれないって」
もしかすると、
価値がまだ伝わり切っていなかったのかもしれない。
不安の方が大きくなっていたのかもしれない。
納得するための材料が、
まだ足りなかったのかもしれない。
ジロウ:
「そう考えると、
“高いですね”で全部終わったわけじゃなかったんだと思えたんです」
セイジ:
「言葉が止まった場所の、
その先を見るようになったんだね」
ジロウ:
「はい。
Season1で僕に残ったのは、心理効果の名前よりも、
“人はどう感じて、どう迷って、どう選ぶのか”を
見ようとする視点でした」
ナリタ博士:
「うむ。
知識を覚えただけではなく、
人の心の動きに目を向けるようになったのじゃな」
ジロウ:
「はい。
あの日、“高いですね”で止まっていた僕が、
少しだけ、その言葉の奥を見るようになりました」

【応募してみて、残ったもの】
ハナ:
「じゃあ、ジロウくん。
創作大賞に応募してみて、何が残りましたか?」
ジロウ:
「何が残ったか……ですか」
ジロウは、少しだけ考えました。
応募したからといって、
すぐに何かが大きく変わったわけではありません。
画面の向こうで、花火が上がったわけでもない。
突然、机の上にトロフィーが現れたわけでもない。
もちろん、ナリタ博士が胴上げされたわけでもありません。
ナリタ博士:
「わしを胴上げする流れは、どこから来たんじゃ」
ハナ:
「博士、意外と軽そうに見えないですもんね」
ナリタ博士:
「そこではない」
ジロウ:
「でも……残ったものは、あります」
ハナ:
「うん」
ジロウ:
「読んでくださった方が、
本当にいたんだっていう実感です」
最初は、
ただ自分の失敗を整理するために書き始めたnoteでした。
“高いですね”で言葉が止まった自分。
何も返せなかった悔しさ。
どうすればよかったのか分からなかった不安。
それを、少しずつ言葉にしていっただけでした。
けれど、投稿するたびに、
スキを押してくれる人がいました。
続きを読んでくれる人がいました。
コメントを残してくれる人がいました。
ジロウ:
「それが、思っていた以上にうれしかったんです」
ハナ:
「分かるよ。
ひとりで書いているつもりでも、
反応があると急に“届いてる”って感じるよね」
ジロウ:
「はい。
最初は、僕のひとり反省会みたいなものでした。
でも、読んでくれる人がいると、
ひとりじゃなくなっていく感じがしたんです」
セイジ:
「自分の失敗だったものが、
誰かと共有できる言葉に変わっていったんだね」
ジロウ:
「そうです。
あの日の悔しさを、ただ抱えているだけだったら、
たぶん今でも、
思い出すたびに少し苦しかったと思います」
ハナ:
「でも、物語にしたことで、少し違う形になった?」
ジロウ:
「はい。
読んでくださる方がいたことで、
あの失敗にも、少し意味をもらえた気がしました」
ナリタ博士:
「うむ。
意味は、最初から失敗の中にあるとは限らん。
あとから見つめ直し、言葉にし、誰かに届いた時に、
少しずつ形になっていくものなのじゃ」
ジロウ:
「だから、応募してみて一番残ったのは、
“読んでくれる人がいる”という実感でした」
ハナ:
「ジロウくん、それは大きいね」
ジロウ:
「はい。
正直、応募ボタンを押す時はすごく緊張しました」
セイジ:
「それでも押したんだね」
ジロウ:
「はい。
怖かったですけど、押してよかったです」
ジロウは、もう一度、
応募完了の画面を見つめました。
そこにあったのは、
何かが終わったという感覚ではありませんでした。
むしろ、
ここまで読んでくれた人たちの存在を、
ひとつずつ思い出すような感覚でした。
コメントをくれた人。
スキを押してくれた人。
静かに読み進めてくれた人。
直接会ったことはなくても、
その一つひとつが、
ジロウの背中を少しずつ押してくれていました。
ジロウ:
「僕だけでは、ここまで書けなかったと思います」
ハナ:
「うん」
ジロウ:
「読んでくれる人がいたから、
次も書こうと思えました。
コメントをもらえたから、
もう少し伝わるように書きたいと思えました。
スキをもらえたから、
ちゃんと届いているのかもしれないと思えました」
セイジ:
「それが、
創作大賞に応募して残ったものなんだね」
ジロウ:
「はい。
結果がどうなるかは、まだ分かりません。
でも、読んでくださった方がいたこと。
その方たちのおかげで、ここまで続けられたこと。
それはもう、
僕の中にちゃんと残っています」

【そして、次に見えてきたこと】
ハナ:
「でも、ジロウくん。
応募して終わり、って感じではなさそうだね」
ジロウ:
「はい。
むしろ、応募してみてからの方が、
次に考えたいことが見えてきた気がします」
セイジ:
「次に考えたいこと?」
ジロウ:
「Season1で扱った心理効果って、
ひとつずつ見ている時は、
それぞれ別の話だと思っていたんです。
でも、最後まで書いてみると、
実際の場面では、
ひとつだけで動いているわけじゃない気がしてきました」
アンカリング効果。
端数価格効果。
おとり効果。
ペニーズ・ア・デイ効果。
価格=品質ヒューリスティック。
損失回避バイアス。
希少性の原理。
支払いの痛み。
Season1では、
ひとつずつの心理効果を、
ジロウの失敗や日常の中で見てきました。
けれど、最後まで書き切ってから振り返ると、
それらはバラバラの知識ではありませんでした。
価格が高く見える時。
お得に感じる時。
今買わないと損だと思う時。
支払う痛みが薄れて、つい選んでしまう時。
そこには、
いくつもの心理が重なっていました。
ハナ:
「ジロウくん自身も、毎回かなり揺れてたよね」
ジロウ:
「はい……。
正直、学びというより、
途中から僕の弱点紹介みたいになっていました」
ハナ:
「でも、それが良かったんだと思うよ。
ちゃんと揺れるから、人の気持ちにも気づける。
迷ったことがある人の方が、
迷っている人の気持ちも分かるから」
ジロウ:
「僕の弱点にも、ちゃんと役割があったんですね。
少しだけ、救われました……」
セイジ:
「でも、ジロウの言う通りだと思う。
実際の場面では、
心理効果はひとつだけで動いているわけじゃないからね」
ジロウ:
「はい。
“高いですね”という一言の中にも、
いろいろな気持ちが重なっていたのかもしれないと思ったんです」
比べているものがあったのかもしれない。
不安があったのかもしれない。
納得する前に、
金額だけが強く見えてしまったのかもしれない。
そう考えると、
Season1で学んだことを、
もう一度つなげて見てみたくなりました。
ナリタ博士:
「ふむ。
ひとつずつ覚えた心理効果を、
今度は“実際の場面でどう重なっているのか”として
見直したくなったわけじゃな」
ジロウ:
「はい」
ハナ:
「つまり、Season1の復習というより、
Season1の“つながり直し”みたいな感じ?」
ジロウ:
「それ、すごく近いです。
バラバラに見えていたものが、
線でつながってきた感じがします」
セイジ:
「ひとつずつ心理効果を知ることと、
実際の場面で、それらの重なりを見ることは、
似ているようで違うからね」
ジロウ:
「はい。
僕はまだ、完璧に分かっているわけではありません。
たぶん、次の商談でも焦ります。
たぶん、変な汗もかきます」
ハナ:
「そこはかなり現実的だね(笑)」
ジロウ:
「でも、前みたいに、
“高いですね”の一言で全部終わったと思うことは、
減らせる気がしています」
ナリタ博士:
「うむ。
言葉が止まった場所で終わらず、
その奥にある心の動きを見ようとする。
それが、ジロウに見えてきた次の景色じゃな」
ジロウ:
「はい。
だから次は、Season1で学んだ8つの心理効果を、
もう一度つなげて見てみたいと思っています。
ひとつずつ学んだものが、
実際の会話や提案の中で、
どんな順番で、どう重なり、
人の判断を動かしているのか。
そこを、もう少し深く考えてみたいです」
ハナ:
「ジロウくん、次も大変そうだね」
ジロウ:
「はい。
でも、今度は少しだけ楽しみです」
ハナ:
「おお、成長してる」
ジロウ:
「少しだけです。
あまり大きく言うと、次で転びそうなので……」
セイジ:
「それくらい慎重な方が、ジロウらしいね」
ジロウ:
「褒められているのか、心配されているのか、微妙なところです……」

【最後に、読んでくださった皆さまへ】
ハナ:
「じゃあ最後に、ジロウくん。
読んでくださった皆さまへ、ひと言お願いします」
ジロウ:
「ひと言……ですか」
ジロウは、少し背筋を伸ばしました。
けれど、
すぐに言葉は出てきませんでした。
いつもなら、
少し慌てながらでも何か言おうとするジロウが、
この時だけは、
ゆっくりと言葉を探していました。
ジロウ:
「……まず、本当にありがとうございます」
ハナ:
「うん」
ジロウ:
「Season1を読んでくださった方。
スキを押してくださった方。
コメントをくださった方。
静かに最後まで読み進めてくださった方。
その一つひとつが、
僕にとっては、すごく大きな力になりました」
ジロウ:
「正直、投稿するたびに少し怖かったです。
ちゃんと伝わるのかな。
読んでもらえるのかな。
これは、誰かにとって意味のある話になっているのかなって」
ハナ:
「ジロウくん、けっこう毎回そわそわしてたもんね」
ジロウ:
「はい。
通知を見るたびに、親指が一回フリーズしていました」
ハナ:
「親指だけ止まってたんだ(笑)」
ジロウ:
「はい。
心は見たいのに、親指がまだ覚悟できていませんでした……」
ハナ:
「気持ちは前のめりなのに、親指が慎重(笑)」
ジロウ:
「でも、読んでくださる方がいて、
反応をいただけるたびに、
少しずつ思えるようになったんです。
あの日の失敗を、
ちゃんと言葉にしてよかったのかもしれないって」
セイジ:
「ジロウが届けたかったものは、
少しずつ届いていたんだと思うよ」
ジロウ:
「そうだったら、うれしいです」
ジロウは、少しだけ間を置いて、
画面の向こうにいる読者へ向けるように続けました。
ジロウ:
「“高いですね”と言われて、
何を返せばいいか分からなくなった経験はありませんか?
僕にも、ありました。
でも、Season1を書きながら、
僕は何度も思いました。
価格は、ただの数字ではなくて、
比べ方や見え方、受け取り方で、
感じ方が大きく変わるものなんだって。
この物語が、
価格の奥にある気持ちを考えるきっかけになっていたら、
僕はすごくうれしいです」
ナリタ博士:
「人の心は、簡単には分からん。
じゃが、分からないからこそ、見ようとする意味がある」
セイジ:
「表面に見えている言葉だけでは、
分からないことがある。
でも、その奥にある気持ちを見ようとすると、
次にかける言葉は少し変わる」
ジロウ:
「僕も、まだまだ分からないことばかりです。
たぶん、これからも迷います。
また変な汗もかくと思います」
ハナ:
「そこまで自信満々に言わなくても(笑)」
ジロウ:
「でも、前みたいに、
相手の一言で全部終わったと思うことは、
減らせる気がしています。
すぐに正解は出せなくても、
その言葉の奥に何があるのかを、
もう一歩だけ考えてみたいです」
“高いですね”で言葉が止まった日から、
この物語は始まりました。
Season1を書き切り、
創作大賞2026に応募した今、
ジロウたちは、さらに先を見ています。
結果がどうなるかは、まだ分かりません。
けれど、
読んでくれた人がいたこと。
応援してくれた人がいたこと。
ジロウたちの失敗や学びを、
一緒に見守ってくれた人がいたこと。
その一つひとつが、
次へ進む力になっています。
ジロウ:
「ここまで読んでくださって、
本当にありがとうございました」
ハナ:
「ジロウくん、最後までちゃんと言えたね」
ジロウ:
「はい。
親指はまだ少しフリーズ気味ですが、
言葉はちゃんと出せました」
ハナ:
「そこ、最後まで緊張してるんだ(笑)」
ジロウ:
「でも、ちゃんと伝えたかったんです」
ナリタ博士:
「うむ。
これからも、迷い、失敗しながらでもよい。
人の心を見ようとする歩みを、止めなければよいのじゃ」
セイジ:
「Season1は、ここで一区切り。
でも、ジロウの学びはまだ続いていくね」
ジロウ:
「はい。
次は、Season1で学んだ8つの心理効果を、
もう一度つなげて見てみたいと思います。
ひとつずつ別々に見てきたものが、
実際の会話や提案の中では、
どう重なっているのか。
そこを、もう少し見てみたいです」
Season1では、
8つの心理効果をひとつずつ見てきました。
でも、実際の場面では、
それらは別々に現れるとは限りません。
“高いですね”という一言の奥に、
先に見た数字が残っていることもある。
比べた選択肢が、
判断に影響していることもある。
損したくない気持ちや、
支払う時の痛みが、
静かに重なっていることもある。
ここから先は、
その“重なり”を見にいく物語です。
もしよければ、次の物語でも、
ジロウたちと一緒に見届けてください。
“高いですね”の先にある、
人の心が動く瞬間を。

【Season1 の無料記事はこちら】
☑️次の話はこちら
〜Coming Soon〜
フォローをしてお待ちください!