見出し画像

【全文公開】第3章 2 土壌処理(1次防蟻)

この記事は、2021年10月に出版した著書『ながいき住宅のレシピ』(セルバ出版)をアップデートしながら、無料で全文公開しています。


2 土壌処理(1次防蟻)

 土壌処理は、土壌に生息している地下シロアリを殺したり、木部に到達させないようにするために行われます。まず、シロアリの侵入を防ぐ。これを1次防蟻と呼んでいます。

べた基礎

 べた基礎とは、土壌全面に鉄筋コンクリートを打ち(耐圧盤)、立上がりを打ち継ぐ基礎をいいます。耐圧盤と立上がりを同時に打つ「一体打ち」という方法もあります。べた基礎を採用することで、住宅性能表示制度上、薬剤による土壌処理を省略することができますが、もちろん併用することもできます。
 べた基礎の場合、耐圧盤を先に打つため、シロアリ侵入経路を相当つぶすことができます。一体打ちは、打継ぎに隙間ができないのでさらにつぶせます。

手前は耐圧盤を打ったところ。この後に立上がりを打ち継ぎ、奥のようなべた基礎となる

 一方、布基礎+防湿コンクリートの場合は、床下の見た目はあまり変わりませんが、布基礎と防湿コンクリートの隙間がシロアリ侵入経路になり得ます。
 また、べた基礎の場合でも、水抜き穴や貫通配管部などのシロアリ侵入経路がありますので、ホウ酸防蟻気密シーリング材「ボレイトシール®」やホウ酸防蟻気密パテ「ボレイトフィラー®」、ホウ酸防蟻充填材「ボレイト防蟻®コーク」で埋めて、1次防蟻を強固とすることをおすすめします。

べた基礎と布基礎

薬剤土壌処理

 土壌用の防蟻薬剤を土壌に処理する方法です。公益社団法人日本木材保存協会(JWPA)または公益社団法人日本しろあり対策協会(白対協)の認定薬剤が使われます。JWPA・白対協ともにホウ酸系防腐防蟻薬剤を土壌処理用として認定していませんので、残念ながら土壌には使えず(世界的にもホウ酸系は土壌処理には使われていない)、有機農薬系防腐防蟻薬剤を使うことになります。新築時の基礎を打つ前の土壌や、既築のコンクリートで覆われていない床下の土壌、基礎外周の土壌などを処理します。
 新築時の基礎を打つ前の土壌に処理すれば、そこにもしシロアリの巣があった場合に駆除することができますし、残効期間中はシロアリの侵入を食い止めることができます。しかし、残効期間は最大5年ですし、その上にべた基礎が打たれれば再処理することはできないので、「土壌のシロアリを一旦リセット」するようなイメージです。
 また、既築のコンクリートで覆われていない床下の土壌に対して行う薬剤処理は、薬剤による健康リスクが払拭できませんので、注意が必要です。
 さらに、最近では、べた基礎の内側のコンクリート表面などに、コンクリートのアルカリ性にも分解されづらい有機農薬系防腐防蟻薬剤を処理する方法が盛んですが、浅葉はおすすめしません。

その他

 ベイト(毒餌)工法や物理的ステンレスメッシュ工法などがあります。
 ベイト工法は、土壌にベイトステーションというケースを埋めて餌木を入れ、管理していきます。餌木にシロアリがついたら、そっと毒餌に変えてシロアリに食わせます。知らずに食べたシロアリは、遅効性の薬剤を巣に持ち帰り、薬剤が巣全体に浸透していき、巣ごと駆除します。餌木ではなく、最初から毒餌を仕掛ける工法もあります。
 物理的ステンレスメッシュ工法は、シロアリが通り抜けられない目の細かさで、錆びづらいステンレスメッシュを、シロアリが侵入してくる隙間などに設置する工法です。


この記事は、2021年10月に出版した著書『ながいき住宅のレシピ』(セルバ出版)をアップデートしながら、無料で全文公開しています。


いいなと思ったら応援しよう!