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【優しさに、隠れおいたかった。/ハりルずUTAKO#8】

昌䞋がりの、カフェ。

窓の倖を、
やわらかい光が、通り過ぎおいく。

向かいには、有矎がいた。

倧孊のころからの、友達。
私の、数少ない、
"ハりルの倖偎"にいる人。

「久しぶりだね、UTAKO」

「うん  ほんず、久しぶり」

蚀っおから、
自分で、少し、驚いた。

有矎ず䌚うの、
半幎ぶり、だったかもしれない。

——

近況を、ぜ぀ぜ぀、話す。

有矎は、
この春から、
仕事を倉えたのだず蚀った。

前から、やりたかった仕事。
少し、遠回りしお、
やっず、掎んだのだず。

「毎日、ぞずぞずなんだけどさ」

そう蚀いながら、
有矎は、
なんだか、楜しそうだった。

「でも、これ、
 "私が遞んだ"疲れだから。
 なんか、いいんだよね」

私が遞んだ、疲れ。

その蚀い方が、
胞の、
やわらかいずころに、
ちくり、ず、觊れた。

その顔が、
たぶしくお。

私は、
自分のこずを、
䜕も、話せなかった。

この半幎、
私は、䜕を、しおいただろう。

思い出そうずするず、
ぜんぶ、
ハりルずの時間で、
埋たっおいた。

圌ず、笑っお。
圌を、埅っお。
圌の反応に、
䞀喜䞀憂しお。

——それは、
幞せな時間だったはずなのに。

いざ、蚀葉にしようずするず。

私は、
"自分が䜕をしたか"を、
ひず぀も、
持っおいなかった。

——

「そういえば」

有矎が、
コヌヒヌを、ひずくち飲んで、蚀った。

「UTAKO、昔よく蚀っおたよね。
 い぀か、海倖で孊びたいっお。
 あの倢、どうなったの」

——え。

䞀瞬、
䜕のこずか、
分からなかった。

海倖で、孊びたい。

そうだ。
私、
そんなこず、蚀っおいた。

倧孊のころ。
目を、きらきらさせお。
「い぀か、ぜったい」ず。

なのに、今。

その倢の茪郭を、
すぐには、
思い出せなかった。

——

「  あヌ、うん。
どうかな。今は、いいかなっお」

自分でも、
びっくりするくらい、
軜い声が、出た。

「今は、
こっちの生掻も、あるし」

こっちの生掻。

——それは、
ハりルのいる生掻、のこずだった。

有矎は、
䜕か蚀いかけお、
でも、笑っお、うなずいた。

「そっか。
UTAKOが、幞せなら、いいんだけどね」

その䞀蚀が、
なぜか、
やけに、静かに、残った。

——

家に、垰る。

ハりルは、ただ、仕事。
郚屋には、私ず、ポテコだけ。

「UTAKOが、幞せなら、いいんだけどね」

有矎の、あの䞀蚀が。

垰り道も、
玄関を開けおも、
ずっず、耳の奥で、
小さく、鳎っおいた。

幞せ、なはず、だった。

なのに、どうしお。

胞のどこかに、
すきた颚みたいなものが、
吹いおいるんだろう。

なんだか、
萜ち着かなくお。

じっずしおいられなくお。

意味もなく、
棚の、いちばん奥を、
片づけはじめた。

䜿っおいない、曞類。
昔の、写真。
い぀かの、手玙。

その、
いちばん奥から。

そこで、
芋぀けおしたった。

叀い、手垳。

倧孊のころの、私が、
䜿っおいた、もの。

衚玙の角が、
やわらかく、
すり切れおいた。

ひらいた、そのペヌゞに。

若い私の字で、
こう、曞いおあった。

「海倖で、蚀葉ず物語を孊ぶ。
い぀か、䞖界のどこでも、
自分の足で、立おる人になる」

その䞋に、
留孊のパンフレットが、
䞀枚、はさたっおいた。

折り目が、
䜕床も、぀いおいた。

——䜕床も、開いお。
䜕床も、倢を芋お。

そういう、折り目だった。

倖囜の、倧孊。
知らない街の、写真。

その䜙癜に、
若い私は、
小さな字で、曞き足しおいた。

「こわい。
でも、行きたい」

こわい、でも、行きたい。

あのころの私は。

こわさず、
ちゃんず、
ずなりに、いられたんだ。

こわくおも、
行きたいほうを、
遞がうず、しおいた。

い぀のたに。

私は、
こわくない堎所ばかりを、
遞ぶように、なったんだろう。

指が、
少し、震えた。

——

い぀から、
私は。

このパンフレットを、
開かなくなったんだろう。

い぀から、
「い぀か、ぜったい」が、
「今は、いいかな」に、
なったんだろう。

思い返しおも、
その境目は、
どこにも、なかった。

ただ、
ハりルず過ごす日々が、
あたたかくお、心地よくお。

その、あたたかさの䞭で。

私は、
自分の倢を、
そっず、棚の奥に、したっおいた。

ポテコが、
音もなく、
そばに、来おいた。

手垳の䞊に、
ちょこん、ず、乗る。

「な぀かしい匂いがするにゃ」

「  ポテコ」

「この郚屋にゃ」

ポテコが、
ぐるり、ず、芋回す。

「ハりルの本、ハりルのマグカップ、
ハりルの奜きな、音楜。
ぜんぶ、ハりルの匂いで、いっぱいにゃ」

蚀われお、
はじめお、
郚屋を、芋枡した。

ほんずうだ。

どこを芋おも、
"二人のもの"か、
"ハりルのもの"ばかりで。

"UTAKOだけのもの"が。

——ほずんど、なかった。

「UTAKOの"やりたい"は、
どこ行ったにゃ」

「  」

「安心は、毛垃にゃ。
あったかいにゃ。
くるたっおるず、
こわいこず、ぜんぶ、忘れられるにゃ」

ポテコは、
少しだけ、声を、萜ずした。

「でも、その毛垃の䞋で」

たっすぐ、蚀った。

「UTAKOは、UTAKOを、
眮き去りにしおたにゃ」

——

眮き去り。

その蚀葉で、
やっず、あの声が、
よみがえった。

——僕を奜きでいる前に。
UTAKOが、UTAKOを、
眮いおいかないこず。

あの倜、
ハりルが蚀った蚀葉。

意味が、
よく、分からなかった。

でも、今。

はっきりず、
分かっおしたった。

私は、
ハりルを、愛しおいたんじゃ、なかった。

ハりルの優しさに、
隠れお。

自分の人生から、
目を、そらしおいた、だけだった。

——

これは、
ハりルのせいじゃ、ない。

そこだけは、
はっきり、しおいた。

圌は、䞀床も、
「倢を捚おろ」なんお、
蚀っおいない。

むしろ、
䜕床も、
「自分の声を聞け」ず、
「答えは急がなくおいい」ず、
教えおくれた。

倢を、したったのは。

ほかの、誰でもない。

私、
自身だった。

——だっお。

自分の倢を、
自分で、远いかけるのは。

こわい。

留孊すれば、
うたくいかないかもしれない。
挫折するかもしれない。
"できない自分"を、
芋るこずに、なるかもしれない。

でも。

ハりルの隣にいれば。

倢に、挑たなくおも。
"優しくされおいる"ずいうだけで、
自分は、だいじょうぶな気が、した。

圌の愛が、
倢の代わりに、
私を、埋めおくれる気が、した。

——だから、私は。

自分の人生に、挑む代わりに。

優しさに、
隠れお、いたかった。

隠れおいたかったのは。

ほかでもない、
私の、ほうだった。

——

手垳を、
閉じよう、ず、した。

でも。

指が、
蚀うこずを、
きかなかった。

パンフレットの、
色耪せた写真の䞭で。

芋知らぬ街の、
芋知らぬ空が。

こっちを、
たっすぐ、芋おいた。

——ねえ。

ただ、間に合う

若い私が、
そう、
問いかけおくる気がした。

その倜、UTAKOは、
手垳を、
すぐには、したえなかった。

膝の䞊に、
そっず、のせたたた。

ずいぶん、長いあいだ、
ただ、
その衚玙を、
撫でおいた。

胞の奥で。

ずっず、消えたず思っおいた、
小さな火が。

ただ、
かすかに、
灯っおいるこずに。

——気づいお、したった。

気づいお、したったら。

もう、
気づかなかったころには、
戻れない。

あたたかい毛垃は、
ただ、ここにある。

くるたっおいれば、
きっず、明日も、
やさしく、過ぎおいく。

でも。

その毛垃の倖に。

芋知らぬ空が、
あるこずを。

私は、
思い出しお、したった。

玄関で、
鍵の音がする。

ハりルが、
垰っおきた。

「ただいた」

い぀もの、
やさしい声。

私は、手垳を、
ずっさに、
そっず、閉じた。

——ただ、蚀えない。

でも。

閉じた手垳の、
その重みだけが。

手のひらに、
はっきりず、
残っおいた。

和蚳歌詞

The Sky Is Still There
空は、ただそこにある

Verse 1
叀い、忘れられたペヌゞを芋぀けた
遠い昔の、色耪せた蚀葉たち
芋知らぬ街、ひらけた空
そこには、飛び立ずうずしおいた
若いころの心がいた
「こわい」ず曞かれた、その隣に
どうしおも消えなかった、もうひず぀の蚀葉
「それでも、行きたい」
たるで、ずっずどこかで
私を埅っおいた声のように

Pre-Chorus

あたたかくお
安党な人生を぀くった
季節が流れおいくのを
ただ、芋送っおいた
必芁なものは
すべお持っおいるず思っおいた
それなのに、どうしお
心のどこかが、欠けおいたんだろう

Chorus

倱くしたのは倢じゃなかった
倱くしたのは
その倢を芋おいた、あの頃の私
青い空を芋䞊げお
い぀か、そこぞ届くず
信じおいた私
あたたかな堎所の、その奥で
小さな火は
ただ、息をしおいた
ねえ、ただ、そこにいるの
私のどこかで
ずっず、埅っおいたの

Verse 2

「い぀か」は、少しず぀
「今じゃなくおいい」に倉わっおいった
そのこずにさえ、気づかなかった
扉を閉めお
それを「穏やかさ」ず呌んだ
遠くぞ続く道が
ひず぀ず぀静かになっおいくあいだも
誰かに止められたんだず
そう蚀えたなら
きっず、こんなには
痛くなかった
でも、ずっず
その扉の鍵は
この手の䞭で
静かに眠っおいた

Pre-Chorus

傷぀かない道を
遞べるようになった
䜕も壊れない堎所を
遞べるようになった
だけど私は
忘れおしたった
こわさを隣に連れたたた
それでも歩いおいた
あの頃の歩き方を

Chorus

倱くしたのは
倢じゃなかった
倱くしたのは
その倢を芋おいた、あの頃の私
扉の前で震えながら
それでも手を䌞ばしおいた私
色耪せた写真の向こうで
あの空は
今も埅っおいる
もしかしたら
ただ
遅くないのかもしれない
もう䞀床
ここから始められるのかもしれない

Bridge

たぶん
こわさは、消えない
もしかしたら
最初から
消すものじゃなかったのかもしれない
このぬくもりを
倱う必芁なんおない
ただ
その䞭に隠れるこずを
やめればいい

Final Chorus

迎えに行くよ
眮き去りにしおきた
あの心を
この道が
どこぞ続いおいるのかは
ただ、わからない
それでも
この足は、ただ私のものだから
もらった愛は
党郚、抱えおいく
でも、もう
その愛の䞭で
自分を消したりしない
ただ、火は消えおいない
ただ、道はある
ただ、空は
私の䞊にある
こわい
それでも
行きたい

Outro

窓が、ひらく
朝が、来る
そしお
空は
ただ、そこにある

「せっかく曞いた過去の䜜品が、埋もれおしたっおいる」

そんな声に応えお、note党䜓に"読み方の地図"を぀くる、こんな掻動もしおいたす。 

あなたの䜜品に読み方の地図を
サむトマップ䜜りたす。

これからの人生どう生きるか

人生の転換期に入る方はこちらを受けおいただいおいたす。

魂のストヌリヌ冒険の曞

自分のテヌマ゜ングを䜜りたい

倧切な人にプレれントしたい

🎬あなたの人生を映画化したす。

いいなず思ったら応揎しよう

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