
大人の嗜み
大雨が降り注いでいる。
いつもなら太陽が赫奕と輝き、天地一切が光に充ち溢れている光景も、一面の曇り空と雨粒で世界は暗くよどんでいる。
雲の上にはいつものように太陽があるはずなのに、夜の暗闇ではないことで、おぼろげにその存在を思いめぐらせることができるだけだ。
人間もまた、同じだ。
本来なら愛に充ちている存在なのに、暗い想念でその光を覆い、自縄自縛の妄念に苦しんでいる。
大雨はいつか必ず晴れ渡る。同じように、人間の暗い想念も、いつか必ず晴れ渡る。
このことを心の底から理解した人こそ、私は大人と呼びたい。
大人は大雨さえも、楽しむことができる。なぜなら、その雨は慈雨であり、万物を育む基だと知っているからだ。
「雨降らば降れ 風吹かば吹け」の洒脱な心境こそ、大人の嗜みであろう。