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Photo bytoriumiyusa

取材がうまくいけば、良い原稿が書ける。逆もまた然り。

    Kaori

    原稿を書くのに想定していたより時間がかかることがある。
    先日、久しぶりにそんなことがあった。

    時間がかかった理由としては、

    ・初めての媒体であること
    ・内容が専門的な医療関連だったこと

    もあるが、決定的なのは「取材がちゃんとできていなかったこと」だ。

    もちろん予習をして、当日もできる限りのことはしたつもりだ。一切手を抜いていないし頑張った。おかげで終始、良い雰囲気だったし、1時間しっかり話を聞けた。決して何か明確な“失敗”をしたわけではない。

    それでも、書いているとわかるのだ。
    完璧な取材ではなかったな、と。
    あと少し突っ込んで聞くために、この分野の医療のことをもう少し調べておけばよかったとか、この質問をもう少し深掘りすべきだったとか、このことも追加で聞いておけばよかったとか、書きながら自分の取材のアラが見えてくるのだ。

    こういうとなんだが、そのアラをフォローする”書く技術”はある。
    誰にも「取材がイマイチだった」なんて自身で思っていると悟られないような書き方ができる。長年の経験からできてしまう。(プロなので、むしろこれができないと大問題だ)
    結果、クライアントから原稿はOKをもらえるが、自分ではモヤモヤが残る。

    悩みながら書くので時間もかかる。
    これは持論だが、「良い取材ができれば、良い原稿が書ける」。逆も然り。

    結局、仕上げて提出しようと思っていた日、途中まで書いて、続きは翌朝にすることにした。(もちろん締切には間に合っている)
    寝る前、夫に「今日終わらせようと思ってた原稿、できんかった。難しかった」と嘆いたら、
    「難しいんや!そんなん言ってるの久しぶりに聞いた」
    と、なんだか嬉しそうに言う。
    「うん、難しかった」と言ったら、
    「難しいっていいよな。挑戦してるってことやから」と、にんまり。

    この人はいつだってポジティブだ。
    彼の天然の前向きさに、これまで何度助けられたことだろう。

    そうだよなぁ、自分が「簡単だ」「得意だ」と思うことばかりやっていたら成長はない。一方、チャレンジや反省から生まれる成長は必ずある。
    久しぶりに自分が「難しい」と思うような案件がまわってきたことはラッキーだったなと思う。

    「私、失敗しないので」
    とは言えないが(ちょっと古いドラマの名ゼリフ。わかる人だけわかってくください)、

    「私、同じ失敗は繰り返さないので」
    とは言える。

    26年も取材ライターをやっているのに、まだ駆け出しの頃みたいに学ぶことがあるし、反省も多い。
    でも、お酒造りの杜氏さんだって、30年、40年とやっていても「毎年が1年生です」とおっしゃる。それは毎年お米のできが異なるからだ。

    私も毎回取材する相手は違う。日本酒のことばかり書いているわけではなく、基本的に「何でも屋」だから、いろんな分野の人を取材する。
    じゃあ毎回1年生でいいのかもしれない。

    でもそれは「失敗してもいい」という意味ではない。1年生のつもりでしっかり勉強し、全力でぶつかるということだ。経験や技術でごまかしてはいけない。でも、その上での失敗なら、成長につなげればいいのだと思う。

    ゴールデンウィーク明けに、また医療関連の取材が入っているが、次こそうまくやる。やってみせる。
    取材がうまくいけば、絶対に短時間で良いものは書けるのだ。

     
     
     

    Kaori

     
     
    30年目を迎えるフリーライター。得意分野は企業取材と日本酒(唎酒師)。訪れた酒蔵は120社以上。業界誌『酒蔵萬流』でも執筆中。初エッセイ集『書く人の幸福論』を出版しAmazonなどで好評発売中!実績・仕事のご依頼はこちら→https://www.k-sannou.com/

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